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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日本のモノづくり産業が直面する課題と対応策(1回目)(永池克明/国際企業戦略論)

日本のモノづくり産業が直面する課題と対応策(1回目)(永池克明/国際企業戦略論)

09/10/28

■世界のモノづくりは国際水平分業型へ
日本の場合、ものづくりには長い歴史的な積み重ねあります。
飛鳥・奈良時代以降、鎌倉時代の刀を作る鍛冶から始まって
現在へと続く職人文化があり、手作りで組み合わせながら
精密に作り込んでいく伝統がありました。
しかし、今、こうした日本の技術の強みが現代の状況に
適応しているのかどうかというのが今議論になっています。
日本のものづくりの特徴というのは、
絶えまない技術革新あるいは工夫を積み重ねながら、
いち早くそれを商品化していくことです。
それはこれからも続けていけかなければいけないことですし、
常にイノベーションを積み重ねながら
革新的なデジタル商品あるいは電機製品を
世に問うてきたということですが、
それは失ってはならないと思います。
80年代前半まではどちらかというとアナログの組み立てで
擦り合わせるという作り方が、日本だけでなく欧米企業にも
一般的でしたが、80年代後半デジタル化が世界的な潮流で波及して以降、
容易に汎用の部品があちこちで販売され、
それをうまく組み合わせることで簡単に
完成品が出来るようになりました。
つまり技術がデジタル化され、簡単に転写されてコピーされ
ライバル企業や後発国に移転されるという現象が起こってきたわけです。
そこで、欧米企業がいち早くそれに着目して、
デル・コンピューター(Dell)に代表されるように、
研究開発、販売あるいはマーケティングなど、
一番付加価値の高いところにだけ手掛けるようになりました。
それ以外は全部コストの安いところに委託して、
世界中にアウトソーシングして国際分業を行い、
組み立てて完成品として出すというモデルが、
一般的になりました。そういう中で日本企業は
そうした傾向を取り入れる企業も増えましたが、
依然として部品や組み立て工程などをアウトソーシングせずに
自社で1から10まで作り上げる(これを垂直統合型という)
企業が主流になっています。

■日本のモノづくりの「ガラパゴス」化現象
(垂直統合型生産の問題点)
前回の放送で言いましたように、多くの日本企業は部品から
完成品まで自社で行う垂直統合型の生産を守ってきました
70年代には、日本だけでなくIBM、シーゲート(Seagate)、
シーメンス(Siemens)、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)
ヒューレッドパッカード(Hewlett Packard)など欧米企業も垂直統合でした。
しかし、次第にそれが世界中に色んな形で工程を分業してやる
水平統合(水平分業)という形に変わってきました。
米国企業のほとんどそうなっています。
ところが日本の場合には依然として、
垂直統合型を相当程度尊重した形になっています。
しかし、今は「デジタリゼーション」の時代です。
容易に技術がデジタル化され、転写されてコピーされて
、途上国にも移転されていきます。そうなると、
かなりコストが安くなり価格競争に巻き込まれる
そこが一番大きな問題です。
日本企業は新製品を世界に先駆けて出すのですが、
短期間に追いつかれ、結果的に価格競争に巻き込まれ、
得られるはずの利益を次第に持っていかれるという
ジレンマがこの十数年間の大きな問題点でした。
その中で日本の電機あるいは自動車メーカーは
最適なモデルは何かを模索しているのが現状です。
現在では完全な垂直統合型の企業はほとんどなくなり、
中核の技術部分以外はかなりの程度中進国あるいは途上国に
委託をするという作り方に変わってきています。
日本企業は日本という世界第2位の大きな市場を持っていて、
この市場だけでも食べていくこともできました。
このため、多くの日本企業は日本人顧客を意識して、
ともすると過剰品質・過剰機能、高価格製品を競う傾向がありました。
一方、世界の流れは最小限の機能があれば十分で、
それよりも安い商品を求める方法に変わりました。
この結果、日本メーカーの製品は日本国内では通用しても
世界では適応できなくなる傾向が強まり、
世界市場で敗退するようになっています。
これが、太平洋の南米沖に浮かぶガラパゴス諸島だけに
生き残っている希少生物に似ているとして、
最近「ガラパゴス化する日本」という表現も出てきました。
つまり、日本国内で生き残れても、
世界では生きていけない日本製品という意味です。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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