QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ABACについて(その2)(ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

ABACについて(その2)(ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

09/10/21

前回ABACについて話をしましたが、
その中で議論されるテーマは様々です。
昨年首脳あての提言の中に盛り込まれましたのは、
今現在中断していますWTOのドーハ・ラウンド交渉の推進や、
知的財産権保護あるいはアジア太平洋地区の地域経済統合の加速といった、
貿易投資の自由化・円滑化に資するものに加えて、
零細企業を含む中小企業の育成や食料供給、
エネルギー安全保障の確保、気候変動の緩和への
取り組みなど多岐にわたっています。

ABACには5つの作業部会がありますが、
私が関係しておりました金融経済作業部会では、
途上国を中心に存在する銀行借入を利用することのできない
多くの層にファイナンスを提供するための
マイクロ・ファイナンスという取り組みを
幅広く行いやすくするための環境を整備すること、
あるいは気候変動緩和に貢献するための金融の役割
といったことも含まれています。

さらに昨年はサブプライム・ローン問題の表面化や
リーマン・ショックなどを受けて、十分な流動性供給により
信用収縮に取り組むことや、機動的な財政出動で対処すること、
金融機関監督体制の見直しや保護主義へ対峙することなどを求める、
「首脳に対する緊急提言」も行いました。
また、G20加盟国とそれ以外の途上国・地域を含む立場から、
G20メンバーであるAPEC加盟国首脳に対して、
G20では途上国にも配慮した議論をするよう働きかけを行いました。

■ 今年の話
8月にベトナムで開催された第3回の会合では、
G20財務大臣会合あての声明を出しています。
内容は、金融機関に対する資本規制強化の動きに対して、
世界的な景気の回復が本当に確認されるまでは、
金融機関に対する資本規制の強化を急ぎすぎて、
金融機関による融資の減退を招くことがないようにというものです。


■ 身近な活動成果も上げているABAC
これまでの話で、ABACで採り上げるのはテーマが大きくて、
私たちの生活や直接のビジネスからはいささか遠い、
という印象を持つかもしれませんが、
ビジネスに直結する成果も上がっています。
その一例がAPEC ビジネス・トラベル・カードというものです。

これはAPEC加盟21カ国・地域中、昨年末現在で
18の国・地域が加盟しているのですが、
これ等の国相互間では商用で出張する場合に、
通常はビザが必要な場合でも、このカードを持っていれば
ビザが要らずに入国できるというものです。
さらに主要空港に設置されているABAC専用レーンを
通ることができるので、パスポート・コントロールの長蛇の列に
並ぶ必要もないというメリットがあります。

このカードはABACによるAPECへの働きかけで実現したものです。
私もこれを使っていましたが、日本の出国の際に
エクスプレスレーンが通れることから始まって、
到着先の空港でもスムーズにパスポート・コントロールを
通過できるので非常に効率的でした。
日本のビジネス関係者に対しては外務省が交付することになりますが、
申請方法については外務省のウェブサイトに掲載されています。

■ 2010年は日本が議長国
以上、ABACの内容について簡単にご説明しましたが、
来年は日本がAPECの議長国に就任することになっており、
従ってABACの議長国も日本になります。
(今年はシンガポール、また再来年はアメリカ)
そのため来年1年間はAPEC首脳会議や
第4回のABAC会合が開催される横浜ばかりでなく、
貿易大臣会合が開催される札幌他、
福井、沖縄、大分、広島、仙台などでも
APEC関連の会合が開かれます。
また、ここ数年中小企業をテーマにしたSMEサミットというのが、
APEC・ABACイベントの一環として開催されていますので、
これは日本でも開催されることになるのではないかと思います。

この2010年のAPEC・ABAC日本年に有意義な提言や合意を
取りまとめることができるよう既にAPEC、ABACの
官民の協働による準備が少しずつ始まっています。
金融危機の影響もあって、世界各国の経済の
舵取りは非常に難しくなっています。
各国の対応次第によっては保護主義的な動きが
広がることも懸念されるような状態です。
九州のビジネスにとってもアジア太平洋地区というのは関連の深い地域です。
今から注目しておかれてはいかがでしょうか?

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ