QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > GM・クライスラー破綻の影響(財務戦略/村藤 功)

GM・クライスラー破綻の影響(財務戦略/村藤 功)

09/10/16


■GM破綻の影響とオペル売却問題
今回は、久しぶりにアメリカの自動車業界について、
お話しさせていただきます。
GM・クライスラー破綻のその後を見ていきましょう。
GMは特に、6月1日にチャプター11の適用を申請し、
7月5日にニューヨークの連邦裁判所が、
旧GMが優良ブランドや資産を政府が60%出資する、
新GMへの売却計画を承認して、そして、
7月10日に売却手続きが完了しました。
新GMは負債を3分の1以下に圧縮しまして、
2010年には上場しようと計画しています。
今、政府が株式の60%を持っているため、
早くその株を民間に売ってくださいという話になっています。

ただ、様々なところで影響が出てきています。
GMとトヨタはNUMMI(ヌーミ)という、
カリフォルニアの合弁会社を持っており、
継続していきたいとトヨタは思っていました。
しかし、今回の破綻で継続は勘弁して下さいと、
GMが逃げ出してしまいました。
トヨタは、ただでさえアメリカ市場の下落で、
困っていますので、1人での継続は難しく、
閉鎖を決めました。
NUMMIで作っていた車種もあるのですが、
カローラをオンタリオに移す、
タコマの生産はテキサス工場に移すなど、
様々な対応をとらなければならない状況となっています。

それからオペルの問題です。
実はヨーロッパでは素晴らしいオペレーションなのです。
そのためGMのヨーロッパのオペルを、
本当に売ってしまうのかということが問題になっています。
当初売却しなさいということになって、
カナダの自動車部品会社のマグナと、
ロシアの国営ズベル銀行のマグナ連合に売るということで、
一時決まったかと思われていましたが、
それに絡んで小競り合いがありました。

まず、プーチンが喜んでいるのが許せない、
それからズベル銀行に売るということは、
ロシアに技術が流出して、過去敵国だったロシアに、
アメリカの自動車技術が全部渡ってしまうのではという懸念があり、
それからGM再生といっても、欧州事業をどうするのかということで、
やはり売却を止めた方がいいという声が湧き起こったのです。

ところが、その後、ドイツのメルケル政権が、
待って下さいと言いだしました。
マグナ連合がドイツの工場と、ドイツの従業員を、
全部守ると言ってくれていたためです。
マグナ連合がそういうからには、ドイツは、
マグナの味方ですという話になりました。
結局、アメリカ政府としても、ドイツ政府に約束を破るのか、
と言われてしまったため折れました。
結局、ズベル銀行・マグナ連合で55%、
GMが35%、従業員が株式を10%持つことになり、
予定通り決着したということですね。

これはまだ黒字化までに2年かかり、それから、
2014年までドイツ政府から資金を借りて、
2015年頃に株主配当を始めるという、
かなりの時間がかかる話なので、
アメリカとしてもドイツ政府の支援を得ておかないと、
ドイツでのオペレーションが難しくなると思ったのでしょう。


■クライスラー・フォード
クライスラーは、GMに先立って、4月に、
チャプター11の破産法を申請して、
フィアットに支援をよろしくお願いしました。
しかし簡単には販売が回復するわけもありません。
法的手続きにいったん入ってしまった以上、
GMもクライスラーも販売高が回復するまでに時間がかかるでしょう。

アメリカのビッグ3の中ではフォードだけが、
なんとかやっていけるということになっていますので、
あまり販売額が下落していません。
日本の3社に比べても販売の落ち込みは、
小額にとどまっているという状況ですね。


■日本の新車販売とトヨタの減産
日本もエコカー減税を導入し、コマーシャルでも、
減税の宣伝を一生懸命やって、
販売が回復してきている状況ですが、
政府の減税支援がなくなってしまったら、
一体どうなるのかという問題があります。
そもそも世界全体で、今年、販売出来そうな台数が、
5,400万台ほどなのに、生産能力は、
約9,400万台もあるのです。
そうすると4,000万台ほど生産能力が余ってしまいます。

トヨタの、生産能力は現在、約1千万台あります。
そこでトヨタとしては、これを100万台ほど下げて、
900万台に絞り込もうという戦略を立てています。
1千万台から900万台にすれば、
稼働率が採算ラインぎりぎりの7割程度になってくるので、
何とか赤字から黒字にしようと努力しています。
ただ、100万台分下げるといっても、
過剰分を廃棄処分にするということではなく、
とりあえず動かさずにそこに置いておいて、
需要が回復したらすぐ再稼動しようというものです。
販売量が回復してきたら、あっという間に、
皆で作り始めるわけです。
しかし生産能力が需要に合うようになるまでには、
かなりの時間がかかりそうですね。

トヨタはアメリカだけでなく、ヨーロッパや日本など、
各地で生産量を少しずつ減らすようです。
自動車では、大体ワンライン、
10万台位が生産単位です。
ですから、100万台減らすということは結構大変です。
あちこちで生産を止めないと100万台は減りません。
このように自動車生産はグローバル市場の影響を、
受けている状況です。


■一時雇用問題とホンダ
自動車メーカーにしてもその他の業界にしても、
一時的に働いてくれて、もし状況が悪くなれば、
いなくなってくれる従業員はありがたくてしょうがないのです。
ただ働いている方からすればちょっと待ってくださいとなります。
そのため民主党や社民党は派遣や期間工の雇い止めをやめて、
全員正社員にしなさいというようなことを言っています。
しかし結果として、先週申し上げたように、
派遣を禁止するような動きに出ると、
雇用自体を止めるという話になる危険があります。

ホンダの販売はアメリカ市場では、
3割位下落している状況です。
ハイブリッドや電気自動車などを来年ごろ投入して、
環境対応する形で頑張っていこうとしています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ