QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ロジスティクスのコスト②(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

ロジスティクスのコスト②(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

09/10/13

ロジスティクスのコスト②(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

昨日はロジスティクス・コストについて解説しながら、
ロジスティクスは企業の競争優位性に重要な意味を持つということを話しました。
よく軍事用語でも、「兵站線が延びきる」ということが言われますが、
あまりにも広範囲に活動を展開していると、それらを結ぶ
物資の供給のパイプラインが追いつかないということになります。
企業活動に置き換えると、製品を安く生産するために
海外に製造拠点を設けても、原材料の調達や商品の出荷が
安定的に行われなかったり、輸送などのコストがかかれば、
海外生産の優位性が帳消しにもなりかねません。


■地産地消とロジスティクス・コスト

昨日のロジスティクス・コストに続いて、
今日は特に食料品に関してお話をしながら、
最近のトピックについても少し触れてみたいと思います。
「地産地消」といえば地元で収穫したものは地元で消費する
と言う考え方であり、安心かつ安全な食品の供給や
食料自給率を高めるという考え方から非常に重視されています。
これをロジスティクス・コストの観点から考えてみると、
農作物・水産物・酪農製品といった食品は、
なかなか遠距離の市場で競争力を持ちえないということでもあります。
つまり、生産された地元で消費される必要があるということになります。
旬という理由で高く売れるものなどは、遠距離の市場でも競争力がありますが、
恒常的に食卓に並ぶものは競争力を持たないのです。


■青果物のロジスティクス・コスト

2007年の農林水産省の調査によると青果物の出荷に占める
ロジスティクス・コストは6割近くだそうですし、
別の調査では青果物の売上高に占める物流コストは
4割以上とも言われています。
昨日ご紹介した売上高物流コスト比率で、
日本の全産業の平均が4.87パーセントであることを思うと、
青果物の売り上げに占めるロジスティクスのコストの割合が、
いかに高いかということになります。
フレッシュなものを痛まないように持って行くことや
冷蔵が必要なときもあり、余計にコストがかかるようです。

たとえば九州の農作物の生産は、
2008年に全国のシェア18.2パーセント、畜産で26.6パーセント
と全国的に見てもかなり高い比率にあるわけですが、
鮮度とコストを考えると、首都圏や遠隔地での販売は容易ではありません。
千葉県と茨城県の農作物生産額の規模はちょうど南九州に匹敵するので、
首都圏の中にそれだけの生産地が存在するとなると、
生産物の構成に若干の違いはあっても、とても九州からの輸送では
太刀打ちできないと言うことにもなります。
今は、どこでも均一的に色々な農産物を作れるようになっていて、
その土地の名物である農産物と、二種類が
モザイク的に存在していると思います。


■鮮度の求められる品目のロジスティクス

農作物・水産物・酪農製品などの中でも
特に鮮度の求められる品目については、
輸送の時間や距離も重要な要因です。
牛乳や乳製品などの酪農製品の国内生産は
圧倒的に北海道で行われていますが、同時に牛乳の生産は、
必ず首都圏、関西圏、九州などの大都市の市場に
近いところの牧場で行われています。
スーパーに並ぶ牛乳のパックを見ても、
地元産であることがほとんどかと思います。
やはり鮮度と繊細な温度管理が求められるからです。


■これからのロジスティクス

最近はETCを装備した車の高速料金の割引や、
民主党政権になって高速道路の無料化が言われています。
CO2排出量の削減などの環境配慮や社会負担の軽減から、
貨物の輸送方法をトラックから大量輸送機関に切り替える
というモーダルシフトの動きが、
一気に吹き飛んでしまうことが懸念されています。
自家用車の増加で高速道路の渋滞が生じ、
またフェリーの運航会社の撤退など貨物輸送の不安定性が
大きくなれば、ますます食品輸送などの負担を大きくして、
まさに販路を地元に限定しなければならないような状況を
作り出す可能性があります。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ