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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ロジスティクスのコスト①(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

ロジスティクスのコスト①(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

09/10/12

■物流はビジネスにおける暗黒大陸

「アメリカ人の消費者が商品に対して支払う
1ドルに付き50セントは、商品が生産された後の業務に費やされている。
これは物流業務と呼ばれ、アメリカのビジネスにおいて、
今まで最も無視されてきた分野であり、将来性のある分野であるといえる。」
著名な経営学者であるピーター・ドラッカーは、物流という業務を
「ビジネスにおける暗黒大陸」と呼びました。

物流・ロジスティクスについては、何度か解説をしてきましたが、
あまり一般にはなじみがないですし、企業においても
専門家が担当している分野と言う位置づけかと思います。
例えば、物流部門の人が担当していて、他の営業や製造の人は、
あまり深く立ち入らないし、分からない部分になっているのではないかと思います。
P.ドラッカーが暗黒大陸と称した物流業務は、
日本でも同様の意味でブラック・ボックスとも呼ばれて、
実際にどんな活動が行われているかわからない分野ということです。
ところがその誰にもわからない分野に、
大変なコストがかかっていると言うことです。


■物流コスト

昨年の日本の物流コストは、44兆円5千億円で、
GDPに占める割合は、8.7パーセントでした。
つまりものづくりの現場においては、徹底してコスト削減が図られていながら、
物流業務にはとても知らないでは済まされない
巨額のコストが毎年費やされていることになります。

P.ドラッカーが指摘した
1960年代のアメリカでは、1ドルにつき50セントですから、
売上高の約5割が物流コストであったようですが、
現在はそこまで比率は高くはありません。
最近発表のあった日本ロジスティクスシステム協会の調査によると、
2008年度の日本の全業種に占める売上高物流コスト比率は、
4.87パーセントでした。
日本企業は、1990年代半ばの6パーセント台からロジスティクス・コストを
着実に削減して、最近は5パーセントを切ることに成功しています。
ただ業種によっては、売り上げに占める物流コストは決して小さくありません。
たとえば通販は売り上げの12.4パーセント、コンビニエンスストアでは
売り上げの約一割の9.9パーセントにもなります。


■なぜ物流コストがかかるか

考えてみるとコンビニエンスストアのように、限られたスペースで
ほとんど保管場所を持たない店舗への商品の輸送は、
一日8回前後のトラックによる搬入が行われていますし、
お弁当や生鮮品のような温度管理の求められる商品が
必要なタイミングで輸送され、24時間のオペレーションを
サポートしているとすれば、コストも大変にかかるということになります。

製造業の業種別に見ると、最も売上高比率の高い食品では
9.1パーセント、反対にその価格と形状からロジスティクス・コストの
インパクトの比較的少ない医薬品は、売り上げに対して1パーセントでした。

景気が悪くなり、企業は今まで、交際費、広報、宣伝、
色々なところでコストを削減してきました。
しかし、今では、このブラック・ボックスである物流コストにも
メスを入れたら、コストの削減が出来るのではないかと、
皆さん思い始めているようです。
共同配送という名の下に、コンペティターとも手を結び、
物流は一緒にするという方法も実行しています。


■物流に関するコスト

物流に関するコストというとどのようなものがあるかというと、
輸送、在庫、荷役、包装、流通加工、情報管理など、
ものを動かす際に生じる様々な活動が含まれます。
またその内訳をみると、輸送費が圧倒的に高く、
全体の6割程度を占めており、約16パーセントの在庫費用が続きます。
在庫費用は、出来上がった商品を保管する、
あるいは原材料を持って来て生産するまで置いておくために必要です。
例えば、置いておくことによって倉庫を借り、それを管理するコストがかかり、
置いている間には保険が必要ですし、金利もかかります。
保管という行為だけでも、コストがかかっているのです。
またそれ以外の費用としては、ものを積み降ろしたり、箱に詰めたり、
積み降ろしたりの作業である荷役にもコストがかかります。
また、次に包装するコストもかかります。
そして、1つのパッケージの中に色々な品目を詰める流通加工にも
コストがかかりますし、お客様からの注文を受けて発送するときには、
情報管理にもコストがかかります。
つまり、物流に関するコストを簡単にいえば、
顧客からの注文に応じて製品をセットに組み合わせて包装し、
倉庫に保管し、トラックなどに積んで輸送する
と言う全体のプロセスにかかってくるコストになります。


■物流の重要性

また今は、商品の出荷の例をとりましたが、
サプライヤーから原材料を調達すること、
工場内で必要なときに必要な原材料を供給すること、
そして最終的に製造した商品を最終消費者に送り届けること、
これらはそれぞれ調達物流、社内物流、出荷物流と呼ばれていますが、
すべて物流の活動としてコストがかかっています。

海外から原材料を調達すること、海外で商品を製造すること、
世界の市場に商品を出荷するというグローバルなオペレーションが
当たり前に行われている企業活動においては、
ますますものを安く作ると同時に、ロジスティクスのコストを
コントロールしながら、安定的なものの動きを確保するかが求められています。
ロジスティクスは、いまや暗黒大陸どころか、
企業の競争優位性に重要な意味を持っていると言えます。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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