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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 失業とデフレ(財務戦略/村藤 功)

失業とデフレ(財務戦略/村藤 功)

09/10/09

■世界の経済状況
これまで世界経済のお話をさせていただいていますが、
景気は底入れしたという話も聞かれる、
最近の経済状況を見ていきましょう。

景気が回復してきたという話が聞かれる一方、
どうも失業だけは却って悪化しつつある、
という状況がまだ続いています。
景気が戻っても雇用危機は当分続きそうです。
それから、世界中が軽いインフレ傾向にある中、
日本はデフレに入ってきつつあります。
下手をするとデフレ・スパイラルになるのではないか、
という懸念が出てきています。
今日はその、失業とデフレについてお話させていただきます。

まず、世界の経済についてです。
世界銀行の2009年の実質経済成長見通しは、
マイナス1.7%です。
そこで,G20では5兆ドルほどを使って、
来年は2%位に回復させようという計画が決まっています。
しかしIMFやOECDは、来年の、
2%成長という数字に懐疑的で、
1.2%ほどだろう、ということも言っています。
景気がどの程度戻るか分かりませんが、
来年度をプラスにしようと、
世界的に計画しているということですね。

これにより経済成長は回復するかもしれませんが、
経済成長と失業率はまた別問題です。
経済成長が戻ったとしても、企業は普通、
先行きを心配するため、新規雇用を、
躊躇するがことが続きます。
そのため景気が回復しても、失業率が回復するのには、
少しタイムラグがあるというのが普通ですね。


■アメリカと世界の失業者
アメリカの失業率は、今年の8月で9.7%ほどです。
2年前には5%を切っていましたが、
今ではもう約2倍になってきています。
そこで、景気対策法案という、2年で80兆円ほどを使って、
約350万人の雇用を作ろうとしています。
しかし自動車業界、金融業界、さらにデパートなどが、
結構大変な状況になっています。
そのため、雇用を増加させるのは危険だと、
企業は慎重な姿勢を取っています。
このようなこともあり、現在の9.7%から、
年末には10%の大台に進んでしまうかもしれない状況です。

世界全体では失業率が7%ほどとなっています。
去年の時点で1億9千万人ほどいた失業者ですが、
国際労働機関(ILO)が発表した、
世界の失業者に関する報告では、
09年の失業者数が最大で2億3000万人に、
達する可能性があるそうです。
世界全体のことですから、統計も、
真正面からは信じられないようなものですが。
しかし、世界の失業者が増えているのは確かなようです。
金融危機は収束してきていますが、
それによる雇用危機は世界中で広まっているという状況です。


■インフレ懸念と日本のデフレ
一時、原油や穀物の値段が上がって、
2008年度の初めは、インフレ懸念がありました。
しかし世界の金融危機で6千兆円の株価総額が、
3千兆に減ったことをはじめ、金融資産が、
あっという間に消失してしまいました。
そのため、新しくお金を刷りながら様々な政策を行っても、
なかなかインフレにはならない状況となりました。
日本に至ってはインフレというよりデフレになり、
現在2%ほどのデフレ状況です。

日本では円高になったので、海外からのモノを、
安く買えるため、製品やサービスが、
どんどん入ってくるようになります。
しかし供給能力は余っているのに、
買う人があまりいない状況です。
雇用環境悪化でクビになる人が増えたり、
所得が減ったため、個人消費が低迷してしまい、
モノがあるのに誰も買わないという状況です。
作っている側はモノや設備が余っているため、
値下げしてでも量をさばこうと、どんどん値下げしています。
そのため日本はデフレとなっているのです。

買う側としては、安くなることはいいことなのですが、
価格が下がるのなら買うのを少し待とうかな、
という買い控えも起こります。
企業としては値下げ競争をしなければならないので、
コスト削減のために設備投資をやめたり、
人員をカットして新規雇用を控えたりすることにもなってきます。
それで赤字になれば、ますます雇うことをやめよう、
ということになり、デフレ・スパイラルと言われる、
不況がどんどん続いくということになります。
このようにデフレは必ずしもいいことではありません。


■日本の経済状況
アメリカの2008年10-12月の実質成長率は、
前期比年率で3.8%のマイナスで、
2009年1-3月期は年率6.4%のマイナスでした。
そこで日本が同じ程度のマイナスかというと、
その何倍もマイナスとなっています。
去年の第4クオーターは、13.5%のマイナス、
さらに今年の第1クオーターは14.2%のマイナスと、
バブル崩壊の時を超えるほどのマイナスだったのです。

しかし今年の第2クオーターは、
少し景気が戻ってきた感じで、
マイナスの14%から一転してプラスの3.7%でした。
この数字は、去年の同じ期と比べているわけではなく、
前期と比べているのです。
そのため下落するほど戻る数字は大きくなるため、
去年の4Qから14%、14%、と下落したので、
4%くらい戻ることは、ある意味当たり前といえます。

とは言え、また景気が回復してきたということで、
前政権による財政出動の一定の成果はあった、
という意見もありますが、真偽の程は、
多少怪しいところがあります。
政府の財政が厳しいのに、大判振る舞いしてしまって、
大丈夫なのかと心配です。
民主党は政権を受け取った段階で、
財政がかなり破綻している状況なので、
可哀そうそうといえば、可哀そうな状況です。

失業率は過去最悪です。
去年の10月から12月で4%ほどでしたが、
今年7月で5%、5月で5.2%、6月5.4%、
7月5.7%と、どんどん上昇しています。
このまま放置しておくと、年末には、
6%まで進行する可能性があります。
特に心配なのは、民主党や社民党などが、
派遣労働者を規制し、最低賃金を引き上げようと、
主張していることです。
これにより企業が、派遣労働者の雇用をやめたり、
引き上げられた最低賃金に対して人を雇うことを、
やめたりする可能性があるのです。
そうなると却って失業者が増える可能性が高いのです。
このような状況では年末には6%までいってしまうのでは、
と懸念してしまいますね。

世界的に景気は回復しつつありますが、
日本を含めて失業の問題があり、
日本では特にデフレの問題があることが、
これからの課題でしょう。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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