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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 英国での新型インフルエンザ体験(異文化コミュニケーション/鈴木 右文)

英国での新型インフルエンザ体験(異文化コミュニケーション/鈴木 右文)

09/10/08

夏に、イギリスに行った時に、新型インフルエンザを身近で体験しました。
私がかかったわけではありませんが、同じカレッジで
生活をしている世界各地から来ている学生の中に、
インフルエンザにかかった方が何人かいました。
その時のイギリスでの対応を見ていて、なるほどと思うことが
色々あったので、お土産話として、お話ししようかと思います。


■寮での新型インフルエンザ患者への対応

新型インフルエンザで、日本の皆さんが現場で
どういう対応をしているかをあまり見たことがないので、
日本との違いはわかりませんが、
イギリスで見てきた対応についてお話します。
今回のイギリスの場合は、寮に学生さんがずっと住み込みで、
昼間もそこで勉強しているところで起こりました。
そのような状況で患者が出た時に、イギリスのカレッジが
どういう対応するかについてお話しします。
日本でそのようなところで流行っているという例は
あまり聞いたことがないので、日本との比較になりませんが、
イギリスの場合をお話します。

向こうでは、来ていらっしゃる学生さんの中で、
最初に数人に新型インフルエンザの症状が出始めて、
次から次へというわけではないですが、
ある程度の人数が感染してしまいました。
そこで、カレッジに1人いる専属の看護師の方が来てくれて、
この方が日夜献身的に働いて、学生の隔離をしたり、
タミフルの処方をしたり、色々な事をしてくれました。
その中で、なるほど、イギリスではこういう対応をとるのだな、
ということや日本と少し違うなあ、と思う点がいくつかありました。

イギリスでは、
咳が出ること、頭痛があること、38.2度以上の熱があること、
この3つの症状を満たすとほぼ間違いなく
新型インフルエンザではないかと考えます。
この症状が出たときに連絡すると、
看護婦さんが飛んでくるようになっています。
ただ予防をするために、この3つの内の1つだけでも
何か深刻な問題があれば、すぐに病院に行きなさいということになっています。
患者だというふうに認定される人もいれば、
この3つの症状の内の1つだけ訴えてきた人に、
検査もせずに予防的にタミフル飲ませているところもありました。
日本でいえば、いわゆる擬似症状扱いみたいな形で、
何となく終わってしまうという人も結構いました。


■予防的なタミフル投与

タミフルを、予防的に飲まされると言いましたが、
このような処置をするところとしないところが国によっても、
色々あると思いますが、そのカレッジではしていました。
本来、タミフルは処方薬ですから、
医師の判断があって初めて処方できるものです。
しかし、例えば、カレッジで、夜10時や11時に、
学生が症状を訴えてきた時に、専属の看護師が
自宅から飛んで来るわけですが、
その時間に、病院は開いておらず、医師がいません。
その時に、専属の看護師の判断でタミフルを飲ませることがあるのです。
看護師は、1人分多くタミフルを備蓄しているのだそうです。

例えばある人がインフルエンザにかかると、その人の情報をもとに、
タミフルを処方してもらい、届けられるまで待つと数時間かかります。
タミフルが来るまでに、昼間でも待たなければいけないと思いますし、
夜では1晩待たないといけないでしょう。
カレッジでは、ある人がかかった時に、処方されるタミフルは
備蓄に回し、その人は前の人がかかった時に、
処方されて備蓄に回っていた分を、すぐにその場でもらう
という形にしていました。
要するに、自分よりも1人前の患者さんの分のタミフルを
すぐその場でもらうという形で、症状を訴えた人が、
すぐ飲めるというような形で対応をしていました。
日本の薬局では、こういう対応は絶対しないそうです。
やはり、国によって色々な基準が違うのだなと実感しました。

外国で出される薬は、不安になることもありますが、
たまたまタミフルの場合は、英語圏でもタミフルという名前で、
中身も一緒に見えたので(少し量が違うかもしれませんが)、
それは比較的安心して服用できそうでした。


■マスクをしないイギリス人

イギリス人は、冬に風邪などが流行っても、
日常生活の中では、絶対マスクをしませんが、
今回カレッジで対応に回った看護師などは、マスクをしていました。
それに付き添って入る色々な先生方も同じくマスクをしていました。
マスクをしているというのは、いわゆる医療行為をしている
という意味に考えられているようです。
マスクは、感染を防ぐのに大いに意味があるわけですが、
イギリスの一般の人は着けません。そこは、日本と違うところです。

今回、新型インフルエンザが、わっとメキシコ発で広がった
今年の中盤頃も、世界各地の映像の中では、
マスクをしている人はあまり見かけませんでした。
メキシコの人たちが、何か青いマスクをし始めた映像が流れて、
それは異様だと世界中の人が言っていました。
しかし、その後は、外国の人の多くは、マスクを外しており、
慣れないからやりにくかったというところなのでしょう。


■インフルエンザ患者の隔離について

インフルエンザ患者が出ると、隔離しなければならず、
それも結構大変でした。
その人が使っているトイレ、バス、寮の中の施設もできるだけ
その人専用にして、他の人が使わないようにしていました。
また、食事を運んでくる人には、特別な人が割り当てられたりしました。
そのようなマニュアルはしっかりしていました。
患者の部屋の前には、フルーキット(flu kit)といい、
中に入る人が使うマスクや透明な手袋などが
入っている袋が必ず用意されています。
そして、部屋の上には、
「ここは、隔離部屋だから、入っちゃだめよ」
というようなノーティス(警告)が表示してあり、
3日位隔離という形をとっていました。
隔離されている間は、授業に出られません。


■イギリスと日本の医療制度の違い

新型インフルエンザと別の話になりますが、
いつか詳しい話をできる時があるといいのですが、
僕はイギリスの医療を見ていて、うらやましいなと思うのは、
GP(General Practice)という制度があることです。
この制度では、まず初めに何か症状が出た時に、
GPという自分のかかりつけの医者のところに行きます。
その医者に見てもらい、「この症状なら、何科の医者に行きなさい」
というふうに指示をうけることができます。
日本では、最初に自分で判断した診療科に
いきなり行くことになっています。
GPでは、色々なところを調べたりせずに、
「あなたはこう言うけど、何科に行くのが一番いい」
と判断してもらい、紹介してもらっていくという形になるのです。
素人判断に頼らなくて済むから、これは良い制度ではないかなと思います。
GP以外の、イギリスのNHS(National Health Service)
という制度の話もできるといいなと思っています。
このように、イギリスには、昔、マイケル・ムーアの
ドキュメンタリーでも紹介されていましたが、
独自のしっかりとした医療制度があるのです

分野: 鈴木右文准教授 |スピーカー:

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