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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 国の予算と有利子負債 (財務戦略/村藤 功)

国の予算と有利子負債 (財務戦略/村藤 功)

09/09/25


8月の総選挙で与党が自民党から民主党に変わり、鳩山新内閣がつい先日発足しました。
今日は国の財政について、予算と有利子負債の観点からお話しします。


■政府財政の現状

政府のあり方としては、「大きな政府」を民主党は志向しています。
ですから、弱い人に優しくする、つまりお金をばら撒くという政策をやりたくてしょうがないはずです。

しかし、自民党が政府の財政を悪化させるだけ悪化させたものを,
先の政権交代で引き継いだため、そうはいきません。
この意味では、マニフェストでは明言していませんでしたが、
財政再建の責任も同時に負っている民主党は大変だといえます。


■日本政府の有利子負債

2009年6月末段階で、日本政府の有利子負債は約860兆円あります。
日本のGDPが約500兆円ですから、この額がいかに大きいかが分かります。
また、この860兆円には都道府県や市町村の借入金は含まれていません。

通常、国債の買い手には海外の投資家も名を連ねます。
アメリカやドイツは発行した国債の半分位を海外投資家が購入していますし、
イギリスやフランスでもその比率は約3割に上ります。

では日本はどうでしょうか。
海外投資家による日本の国債保有は、
2009年3月末で43兆円と全体の借入金の5%程度です。
国債残高682兆円でみても、そのうちの6.4%程度にすぎません。

このように、海外投資家の国債保有率が海外と比べて極端に低い理由は二つあります。

一つ目が金利です。
日本と欧米の金利差が広がっていることが、
日本国債に対する海外投資家の投資を縮小させているのです。

二つ目が支払いに対する信用です。
現在、日本の有利子負債はGDPの1.6倍もあります。
先進国の中で財政状況が悪い部類に入るイタリアと比べても、さらに悪いという状況です。
ですから、本当にそんなものを買って大丈夫なのか、という話も僅かですが聞こえてきます。


■日本のプライマリー・バランス

日本の場合、バブル崩壊後、1993年に行政の費用が税収を上回るようになりました。
つまり、プライマリー・バランスが赤字化したのです。
そして、その歳入不足を補うために、バブルによる税収増加で,
1990年以降途絶えていた赤字国債の発行が、1993年から再開されてしまいました。

国債の発行については、建設国債に限りこれを認める、
つまり赤字国債は駄目、というルールが日本にはあります。

建設国債では、高速道路や建物といったインフラができます。
これらインフラは後の世代の子供たちも恩恵に与ることができるため、
残った借金を子供たちが返すことになったとしても、特に問題は生じません。

ところが、赤字国債の場合は話が変わってきます。
この赤字国債での収入は単年度で行政サービスする際の不足分に繰り入れられます。
したがって、そのサービスの対象外である後の世代の子供たちに,
その負債を押しつけていいのか、という話になります。

このような理由で、原則として赤字国債は禁止されています。
しかし、それでは行政サービスが提供できないため、
禁止されている赤字国債を、国会で一年ごとに法律を制定することで,
発行してきたという経緯があります。


■債務超過の日本

現在、日本の財政は債務超過の状態にあります。
財務省は5年前位から中央省庁の財務を把握するため、
「中央省庁連結財務諸表」の作成を始めました。
これは、一般会計と特別会計、それから独立行政法人のような傘下の法人を、
全て連結したバランスシートです。

これによると、連結資産が830兆円、連結負債が1100兆円です。
地方自治体の資産と負債は含まれていませんが、
差し引いた約270兆円が債務超過となっています。

債務超過ということは子供たちが資産を受け取るのではなく、
負債を受け取るということです。
相続ですと、負債の場合は相続放棄すれば払わずにすみますが、
この債務超過はそうはいきません。
まさに将来世代の負担です。


2010年度予算の編成
もともと麻生前総理が、来期の2010年度予算の編成を進めていました。
しかし、政権交代で民主党がマニュフェストで掲げていた、
子供手当や高速道路の無料化で財源が必要となるため、
予算を完全に作り直す必要が出てきました。

民主党の想定では、一般会計で90兆円位のお金が必要になります。
現在、税収が約40兆円ですから、国債発行が50兆円位の見積もりになります。
赤字国債の金額が増えるのではないかと心配になってきます。
そもそも、無駄を省いてどこからか財源を見つけてくるのならともかく、
赤字国債が増えるということは、子供たちに「子供手当て」をあげるとともに、
有利子負債も負担させていることになります。

この財政状況と民主党の政策方針では財源がいくらあっても足りません。
小泉政権時代には、2011年度にプライマリー・バランスを黒字化するというような話でした。

しかし、麻生政権時に100年に1度の危機ということで、その路線も放棄されました。

さらに、民主党の公約に「財政再建」の文字は出てきませんし、
むしろ民主党は自民党よりも大きな政府を作るということで、
お金を色々なところにばらまくという姿勢を見せています。

一体いつになったら財政が再建されて、プライマリー・バランスが黒字化するのか、
その将来像が全く見えなくなってきているというのが一番の困りものです。

私としては、プライマリー・バランスを黒字化して欲しいと思います。
現有の資産売却や、公営事業の民営化で財源はいくらでも出てきます。
このような財務構造改革を、この4年で是非やってほしいと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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