QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 世界の金融市場再建 (財務戦略/村藤 功)

世界の金融市場再建 (財務戦略/村藤 功)

09/09/18

世界銀行によると、2009年の実質経済成長はマイナス1.7%に落ち込む見通しです。
そのため、G20は2010年末までに5兆ドルの財政出動を予定し、
2010年の経済成長をプラス2%に回復させようとしています。

今回はその回復に大きな影響を持つ、世界の金融市場の状況についてお話しします。


■金融市場への資本注入

IMFが今年4月に行った発表によると、
2007年以降のローンや保有証券の評価損による世界の金融機関の損失は、
2010年までに4兆540億ドル(約400兆円)に上る見込みです。
金融危機後これまでに世界中で、
9千億ドル(約90兆円)の自己資本が金融機関に注入されてきました。

しかし、IMFの報告によると金融機能を金融危機以前の水準に戻すためには、
今後、さらに9千-1兆7千億ドル(約90-170兆円)の自己資本注入が必要であると計算されています。
自己資本注入のためにこれまでと同じ位かその倍の金額が必要かもしれないという状況です。

世界の株式市場時価総額は2007年秋のピークの63兆ドル(約6000兆円)から、
2009年2末には約28兆ドル(約2700兆円)と大幅に減少しました。

その後中国やインドの株式市場は大きく回復し、
日米の株式市場もゆるやかながら戻りつつあります。

世界の株式時価総額は2009年6月末で37兆ドル(約3700兆円)まで回復しました。
株式市場は他の実業よりは早く回復する可能性がありますが、
それでも数年はかかるとみられています。


■先進国中央銀行の政策

では、金融危機後、先進国の中央銀行はどのような舵取りをしてきたのでしょうか。

政策の一つとして中央銀行が現金を投入する場合もあります。
しかし、今回の危機に際して日本、アメリカ、そしてヨーロッパの中央銀行は、
紙幣を印刷して国債を購入し、その資金を基に政府が政策に取り組むという形をとりました。

通常、貨幣の供給量が増えるとインフレが発生してしまいます。
しかし、金融危機の結果、金融資産が大幅に縮小したため、
今のところインフレになっていません。
むしろデフレ気味の状況で推移しているという状況です。

しかし、通貨の過剰な発行は、株価をはじめ金融市場が戻ってくれば、
将来通貨価値を下落させる可能性があります。
そのため、経済の回復に伴い通貨を回収し、
中央銀行のバランスシートを小さくする必要があります。


■回復基調にある途上国

今回の世界同時不況では途上国も大きな被害を受けました。
しかし、資源新興国といわれるオーストラリアや南アフリカ共和国、
ブラジルは為替相場が非常に好調に推移しています。

オーストラリアドルは金融危機前の安値から51%アップしていますし、
南アフリカランドは金融危機前の安値から50%アップしています。
また、ブラジルレアルも金融危機前の安値から47%アップしています。

この急上昇には、世界的に資源需要が上向いてくれば、
これらの資源国の経済成長が加速すると見越して、
投資マネーが資源新興国に向かっている、という背景があります。


■停滞するアメリカの現状

しかし、世界全体が回復基調にある中で、
今回の同時不況の震源地であるアメリカではマイナスの経済成長が続いています。

2008年の経済成長率は第3四半期がマイナス2.7%、第4四半期がマイナス5.4%でした。
2009年の第1四半期もマイナス6.1%、そして直近の4月-6月の第2四半期でマイナス1%と、
4期連続のマイナス成長となっています。

とはいうものの、マイナス幅が小さくなってきていることは事実です。
その理由には、オバマ政権が景気対策法を通過させたことがあげられます。
これにより、政府支出がマイナス2.6%からプラス5.6%に好転しました。
政府の公共投資や官需を下支えに年内の底入れを探りつつありますが、
個人消費は依然として低迷しており、まだどう転ぶかはかよく分からない状況です。

また、不動産市場に目を転じると、商業用不動産やオフィスビルの高い空き室率が目立ちます。
住宅価格も大きく下落したため買い手が増えた一方で、
雇用環境は悪化しているため、銀行による差し押さえが高水準で推移しています。

加えて、来年には高リスクを懸念して商業用不動産に対して、
借り入れ金利が上乗せさたために不動産ローンの借り換えができず、
その結果、商業用不動産は一段と下がるのではないかと見られています。


■ニューヨークダウの変化

東京株式市場では株価が1万円台に回復しましたが、ニューヨークのダウはどうでしょうか。

2007年の9月にはニューヨークのダウは14164ドルと史上最高値を記録しました。
ところが、金融危機で2009年3月9日には6547ドルまで下落しました。

その後不良資産買取りの枠組みが3月末に具体化したことで、
ダウ平均は回復し、これを収録している8月12日には9365ドルまで戻りました。
しかし、一昨年は14000ドルだったことを考えると、まだ戻りきってないという印象を受けます。

また、2007年と2009年ではダウ30種平均の構成は「様変わり」しています。
2008年9月にはAIGが外れ、2009年の6月にはGMとシティバンクが外れ、
シスコとトラベラーズが新たに加わりました。
1896年の算出開始以降、一貫して残っている企業はGEのみという状況です。

世界の金融市場全体を見渡すと、金融危機以前の水準に戻りつつあります。
しかし、失業率がアメリカやヨーロッパでは10%位、
日本でも5%と高い水準にあるため失業率を減らす必要があります。
そして、インフレを回避するために、
中央銀行のバランスシートをこれから小さくしていくことも一つ重要なことと言えるでしょう。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ