QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 組織コミットメントとは何か (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

組織コミットメントとは何か (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

09/08/26

会社で働いている人事の方や先輩方にとって、
従業員の方が愛社精神や忠誠心を持って、
会社に尽くしたいと思ってくれることは、
大変ありがたいことです。


■組織コミットメントの必要性

実際、従業員が愛社精神を持つことは重要視され、
組織心理学の分野では、1960年代頃から
研究が進められています。
心理学用語では、愛社精神や忠誠心のことを
「組織コミットメント」と呼んでいます。
経験的にもいろいろな会社を訪問してみると、
会社や組織を愛している方は、
懸命に働いていらっしゃる方が多いように思います。
このように、従業員の組織コミットメントが高い場合、
彼らは組織の目標や価値を信頼し、それに対して
自分も精一杯頑張ろうという意欲づけが高まる
と考えられています。
また、従業員はその組織の一員として
とどまることに価値を見出していますので、
転職や遅刻などのネガティブな行動も
低くなると言われています。


■組織コミットメントの変化

では、個人の中で組織コミットメントは
どのように変化していくのでしょうか。
そのことについて調査を行った鈴木先生という方は、
入社10年間を追いかけてみると、組織コミットメントは
Jの字を描くように変化するとおっしゃっています。
入社当時に個人が持つ愛社精神は、
3、4年かけていったん低くなります。
いわゆる、リアリティショックの影響かもしれませんね。
現実を見て「ちょっと違うな」などと思うことにより
低くなるのかもしれません。
その山を越えると、あとはどんどん高まっていき、
入社当時のものより高い組織コミットメントを
持つようになるそうです。
だから、「J」の字を描くようになると言われています。
会社に長くいればいるほど、それだけ組織に
対する愛着がわいてくるようです。


■組織コミットメントの分類

組織コミットメントは、“個人が組織に対して
どういう気持ちでいるか”と理解できます。
言い換えれば、個人と組織の関係性の表れだといえます。
従来の研究では、組織コミットメントは、
3つに分類されています。

1、情緒的要素
1つ目は、情緒的要素です。
「私はこの会社が本当に好きだ」、
「この会社にいることを誇りに思う」、
「会社でなくとも一緒に働く仲間が好きだ」
という気持ちのことです。
損得感情ではない感覚、
一体感や愛着といった情緒的な要素です。

2、功利的要素
2つ目は、功利的要素です。
これは情緒的要素に比べ、より認知的・評価的なもので、
仕事を続けることによる利益、辞めれば失われる
コストに対する功利的な知覚です。
例えば、そこで培った人間関係や、
会社の近くだからという理由で買ってしまった家など、
今の会社や仕事を辞めて、新しい会社や仕事を始めると、
また1からやり直しとなります。
つまり、失うものが出てきます。
このような具体的な損得に基づいたコミットメントであることから、
功利的な要素と呼ばれています。

3、規範的要素
最後は、説明が少し難しいのですが、
規範的要素で、情緒でも功利的なものでもなく、
「組織にはとどまるべき」、
「仕事は懸命にすべき」、という価値観を持ち、
それに基づくコミットメントのことを、規範的な要素と扱います。


■組織コミットメントを高めていくには

先程、入社してすぐに、組織コミットメントは
一旦低くなり、その後は年数を重ねる毎に
高まっていくという研究を紹介しました。
もちろん何事も、空から降ってくるものではなく、
作っていくものですから、何もしなければ、
従業員の組織コミットメントは高まりません。

情緒的なコミットメントを高める方法としては、
「与えられる仕事」と「職場の人間関係」によって
高めることができるそうです。
つまり、仕事を任せられるということは、
組織からあなたに対して「これを期待している」とか
「これをやってね」という、組織からのメッセージとなります。
人間関係も同じようなものです。
その2つを通して、組織から好意的なメッセージが
あればあるほど、個人は自分の存在意義を見出して、
好意的な感情、情緒的なコミットメントを
組織に返していくと思われます。

入職後、数年経ったところで、
「よしちょっと1回大きい仕事を任せてみよう」
と会社から仕事の機会を与えられると、
入社後いったん低下したコミットメントも
高まるかもしれませんね。
しかし、入社してすぐに大きな仕事ができるわけではないので、
入社してしばらくは自分で出来ることを
コツコツ頑張るということも大切です。
逆に、なかなか育ってくれないという人に対しては、
このあたりでいつもより大きい仕事を任せてみて、
それをきっかけに変わってほしい
という考え方も十分あると思います。

個人の功利的コミットメントに、
会社から影響を与えることは難しいかもしれません。
なぜなら、個人側がいかにその組織に
時間や関係性を投資してきたかによって、
功利的コミットメントは変わってきます。
また、その組織と個人の関係は変わらなくとも、
個人にとって別の選択肢、
つまり別の仕事や会社からのオファーが来て、
そちらの方が良い条件であれば、
これまで培ってきた会社に対する功利的コミットメントが
低くなる可能性があります。
もしくは、結婚や出産などの家庭の状況でも、
このコミットメントは変化する可能性があります。


■コミットメントのバランス

心理学には、色々な概念が出てきますが、
基本的には、低過ぎても高過ぎても
あまり良いとは言えません。
やはり、ほどほどが大事なのです。
組織コミットメントもほどほどの高さが良いそうです。
例えば、あまりにも組織コミットメントが高い場合、
その人は会社人間、仕事人間になってしまいます。
ときには、生活を振り返らなくなり、
家庭生活が崩壊するかもしれませんし、
ときには自分自身の健康さえ損なうかもしれません。
また、会社にとってもネガティブなことが生じます。
例えば、上司や組織に対してコミットメントが高すぎると、
組織が間違ったことを行ってしまった時、
それを修正せずに黙認してしまうことが指摘されています。
「間違っていませんか。」という一言を
言えなくなってしまうという副作用です。
組織と個人の関係をコントロールするために、
会社も私たち個人も、いかにバランスを
とっていくかを考えることが必要です。

引用・参考文献
鈴木竜太 2007 自律する組織人 組織コミットメントとキャリア論からの展望 生産性出版

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ