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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > できるという感覚 ~自己効力感とは何か (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

できるという感覚 ~自己効力感とは何か (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

09/08/25

今日は、できるという感覚についてお話したいと思います。
できるという感覚は一般的には
「自信」という言葉で私たちは使っています。
一方、心理学の世界では「自己効力感(self-efficacy)」
という言葉で表現されます。
私たちが「自信を持って」という言葉を使うように、
人が何か行動を起こす時や、
出来ることをもっと上手にやる時には、
この自己効力感がとても大事だと言われ、
心理学でも研究が進められています。


■自己効力感について

最初に、この自己効力感という言葉を作った人は、
1977年のバンデューラ(Albert Bandura)という心理学者です。
バンデューラは、教育心理や臨床心理でこの言葉を使い、
2つの自己効力感があると言っています。
1つ目は、一般的な(general)な自己効力感で、
自分自身について自信を持つというな、
自分に対する全体的な自信です。
これは、課題や行動に限定しないものになります。
パーソナリティに近いともいえます。
もう1つは、課題に対する自己効力感で、
こちらが心理学の世界では、特に注目されています。
課題や状況や行動に対して限定された
自己効力感であれば、一般的な自己効力感よりも、
うまくコントロールできるのではないか
と考えられているからです。

課題に対する自己効力感とは、
“勉強”は苦手だけど“スポーツ”は得意だ
という自己効力感です。
より細かくすると、スポーツの中でも
“水泳”は苦手だけど“陸上”は得意というふうに、
細かく分類していくことが出来ます。
これらの細かい自信を作っていくことで、
もっと大きな自分自身に対する全体的な自信に
つながっていくと言われています。


■4つの情報源

多くの学者は、自己効力感は最初からあるものではなく、
自分自身で作っていくものだと言っています。
実行したことがない行動や課題が目の前にある時に、
自分で、自己効力感を作っていきます。
その過程として、4つの情報源があると言われています。

1、行動達成
自己効力感の情報源の1つ目は、行動達成です。
まずは、やってみることが大切です。
まずトライしてみてうまくいったら、
また次はできそうだという予感、
自己効力感が持てるようになります。
一方、失敗をしてしまうと、
次はまた失敗してしまうかもしれないという不安、
つまり自己効力感が低下してしまうとも言われています。

2、代理的経験(モデリング)
実際に自分がその行動をしなくても、
例えば、先輩や先生や仲間が
その行動をするのを見て、モデリングをすることで、
もしかすると自分にもできるかもしれない
と思えるようになります。
例えば、スポーツでは、
とても難易度が高い競技をする前には、
モデリングとしてイメージトレーニングを行い、
その後直接自分で行動するというプロセスを踏んでいきます。

3、言語的説得
先ほど述べた2つ(1、2)は、実際の行動に関わることですが、
3つ目の言語的説得は、自分自身で自分は出来ると、
自己暗示をかけることや、周りの人からやれば出来るよ
と背中を押してもらうようなことです。
つまり、言葉によって気持ちを高めていく方法が
有効だということです。
例えば、大事なプレゼンで、人前で話をする時に、
練習もしっかりしたのだけれど、
なかなか当日実力を発揮できない人がいます。
そのような人は、意図的に自分で自分の状況を整理する、
自分を励ますということをしてもいいかもしれません。

4、情動的喚起
4つ目の情報源は、情動的喚起です。
簡単にいうと、いつもできることができないという人は、
その場になって、緊張してしまい、胸がドキドキして、
焦ってしまってできなかったりします。
つい、うまく出来ないと思ってしまうのでしょう。
そこで、あえてリラックスする状態、
できると思える状態を作っていくと、
人は自己効力感予感を持つことができます。
別の言い方をすれば、できないと思ったことも、
とても気持ちがいい時とか、何か皆に応援されていると、
何かできるような気がしてくることがありますね。
応援の力が有効なのは、気持ちを高めることができ、
先ほど話した言語的説得とも関連して、
皆からの励ましが背中を押すというプロセスに
なっているからだと思います。


■自己効力感は少し高めのほうがいい

自己効力感とは、これは本当にできるかどうか
という「事実」ではなく、自分は目の前の課題が出来る
と思えるかどうかという「見込み」や「予測」です。
つまり、自分の能力に対する自分自身の評価です。
だから、必ずしも正確ではありません。
人によっては、同じ位の実力を持っていても
低く見積もる人もいます。
逆に、少し高めに見積もる人もいます。
それぞれ一長一短あるのですが、
自己効力感の研究を始められた、バンデューラという方は、
少しくらい過大評価をしている方がいいと言っています。

日本人は、過少評価をしてしまう人が多いようですが、
自己効力感が高いと、課題に対して挑戦してみよう
という気持ちが生じ、その課題に対して
努力してみようという動機付けが高まります。
そのため、自己効力感は低いよりは、
少し高いくらい良いようです。
もちろん低くても、自分の力を高めよう
という動機付けになりますので、
低いことが悪いというわけではありません。
ただ、少し高い方がちょっと難しい課題にトライしてみよう
という気持ちを引き起こすと言われています。


■できないと思う時に

「自分にはできない」と思ってしまったら、
先述の4つの方法を自分なりに試してみてください。
また、ちょっとしたゲームをしてみてほしいと思います。
このゲームでは、できないと不安に思う時は、
まずそれを書き出してみることを薦めています。
実際、書き出して見てみると、
意外にそれは「できない」のではなく、
単に「していない」だけだったということに気付くことできるそうです。


参考文献
坂野雄二・前田 基成 2002 セルフ・エフィカシーの臨床心理学 北大路書房
日本学生相談学会編集 1989 論理療法にまなぶ 川島書店

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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