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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グリーン・イノベーション:ニッチ市場からマスプロダクションへのシフトは可能か (中国産業とイノベーション/朱頴)

グリーン・イノベーション:ニッチ市場からマスプロダクションへのシフトは可能か (中国産業とイノベーション/朱頴)

09/08/19

以前、技術の普及曲線というものが存在するということを紹介しました。
つまり、消費者は新技術に対して異なる反応を示すので、
技術が市場に普及するまでには多大な時間がかかるということです。
今回は、環境対応車のような環境に関連する技術が、
どのように市場に普及していくのかについて話します。

グリーン・イノベーションの条件として、
当然ですが民間企業の研究開発あるいは大学の基礎研究が
重要であると言われておりました。
しかし、開発されたものをいかに市場化あるいは商用化していくのかが
より重要なものとして考えられるべきでしょう。
ある技術普及に関するマーケットからの認識として、
消費者の行動パターンを理解しなければなりません。
つまり消費者は技術の革新性だけで製品選ばないこともあるということです。
従来の技術と比べて新しいものがどのような性能を持つのかを考えて
購入するかどうかという意思決定を行うことが、
消費者の行動パターンなので、これを理解しないと
新技術だから誰もが買う訳ではありません。
例えば、政府の補助金はとても大事ですが、
税の仕組みを考えると、これが永遠に市場に普及する保証はありません。
一方、消費者が求めている製品を開発することが、
最も重要な問題といえます。
トヨタプリウスをはじめ、ホンダのインサイトなどのハイブリッド車に続き、
三菱自動車は今年電気自動車を発売する計画ですが、
今後日本の自動車市場では、どれが主流で推移していくのでしょうか?
これは、とても難しい問題であり、将来予測は数年のタイムスパンで
考えなければならないと思います。
大変重要なキーワードとして、電気自動車の話をしましたが、
現在のマーケットではニッチカーにすぎません。
ニッチカーは5パーセント以下のマーケットシェアしかないという定義がありますが、
電気自動車は環境にいいと宣伝しても、
価格が従来の自動車より50%割高なので、
大変限定的な、環境を意識するような消費者でないと
買わないという結果になります。
したがって、消費者は何を求めているのかを再認識するべきです。
ハイブリッド車のプリウスは97年に発売されましたが、
当時はあまり売れませんでした。
自動車メーカーにとって、量産車の一つの基準は月産3千台という
数値目標があるのですが、プリウスは千台以下でした。
しかも環境が全面に出ると、敬遠する消費者も出てきました。
ところが、トヨタはニッチ市場からマスプロダクト市場へ移行する
素晴らしい戦略をとりました。
第一に車種の多様化です。当時の1車種から車種を拡大し、
2010年までに車種14まで拡大する計画があります。
第二は普通の車戦略です。
ハイブリッド車は総合効率ではガソリン車の2倍でしたが、
出力の点では若干劣っていました。
パワーとエコの両立が課題です。
第三に、企業間競争です。
ホンダのインサイトは200万以下という、
大変大胆的な価格設定でした。
トヨタは対抗するために、205万まで価格下げました。
つまり、企業間競争によって技術開発も促進されていくということです。
技術が洗練されてマーケットの中で普及していくという、
最も面白い事例だと思います。

技術の普及曲線を考えると、
新しい技術の普及には相当時間がかかると言えるでしょう。
エネルギーなどは新規性の高い技術とか、
代替エネルギーの開発になると多大な時間がかかるので、
長期的なタイムスパンで考えなければなりません。
企業にとって現存する多くの技術を普及させていくことです。
発展途上の技術を洗練し、改善・改良を加えて
市場に浸透させるという戦略も当然あるでしょうから、
短期目標と長期目標のバランスが大変重要です。
更に、消費者行動、消費者が何を求めているのか、
市場デザインということも重要の観点になるでしょう。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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