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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 衆議院解散 (財務戦略/村藤 功)

衆議院解散 (財務戦略/村藤 功)

09/08/14

■衆議院解散まで
今回は、衆議院の解散についてお話します。

民主党の圧勝に終わった7月12日の都議選後、
翌13日には解散の意向を表明し、
21日には衆議院を解散、と麻生総理の解散の決断は迅速でした。

当初は党内に抵抗した人たちもいましたが、
最終的には解散後、8月30日の投票という方向に決まりました。

自民党内の麻生首相に批判的な議員は、
できるだけ早く両院議員総会を開いて都議選惨敗の総括を求めるなど、
「麻生降ろし」をしようとしました。

その両院議員総会は、
自民党所属国会議員の3分の1の要求があれば開催できます。
当初は3分の1の署名が集まり、
両院議員総会の開催という話になりました。

しかし、実際に署名が集まったのか疑わしく、
「麻生降ろし」とういう趣旨ならば、
総会の開催に賛同しないという議員もいたため、
ガス抜き目的の両院議員懇談会を、
21日の解散前に開催することになりました。

両院総会を両院議員懇談会にするにあたっては、
党執行部は、公認の内定取消や、
選挙費用の支払い停止もちらつかせたようです。

このように、
両院議員総会が両院議員懇談会になった結果、
「麻生降ろし」が不発に終わりました。

しかも、懇談会では反対勢力の中川秀直氏と麻生総裁が握手する、
というパフォーマンスも行われました。
挙党一致体制で衆院選に臨むということなのでしょうが、
政権政党として心許ない印象を受けます。

■選挙後の民主党
今回の衆院選で民主党が勝つには、
現有議席数の112から、
衆議院定数480の過半数である241へと、
2倍以上の積み増しが必要になります。

そのため、民主党が単独過半数を取るというよりは、
民主党が比較第一党になる可能性が強いといわれています。

その場合、社民党や国民新党と合わせて衆議院の過半数を握り、
民主党中心の連立政権が誕生することになります。

また、自民公明と民主が双方ともに過半数を取れず、
過半数を確保するための政界再編が起こる可能性もあります。

しかし、社民党というと労働組合の言いなりの印象を受けますし、
国民新党も郵政民営化の撤回を目論んでおり、
無条件には支持できません。

自民党でなければどこでもいいというわけではありません。
社民党や国民新党には反対な国民も多いことを忘れないでほしいと思います。

■総括麻生内閣
麻生内閣が発足した途端に、
100年に一度の危機とも言われる世界金融危機が発生しました。

これに対して麻生内閣は、
政府がある程度お金を使ってでも経済を回復させるという。
政策の舵取りを行い、その結果財政状況はさらに悪化しました。

2007年の参議院選挙時に、
2011年までのプライマリーバランスの黒字化を掲げていましたが、
実際には2009年度の財政赤字は38兆円に拡大し、
当分黒字化の見込みはありません。

内閣発足当初の2008年9月には50%程度あった支持率も、
解散の先送り、第2次補正の年明け提出、
定額給付金の支給等不人気な政策が続き、
11月末には30%程度に落ち込み、
株価の落ち込んだ翌2月末には20%を下回りました。
小沢代表のスキャンダル等で4月に30%まで持ち直したものの、
7月には再び20%を切りました。

また、麻生内閣では様々な政策を実施しましたが、
大体はばら撒き政策です。

効果が出るのに時間がかかるため、
その成果は分からないというのが現状です。

■自民党と民主党の公約
民主党が現在掲げている政策にも、
かなりばら撒きが入っているようです。

財源が気になりますが、
どのようにして現在の財政状況が出来上がったのか、
ということにも留意しなければなりません。

実のところこれまで自民党の長期政権で、
大量の負債が生み出されました。
民主党だけを非難するのではなく、
自民党も悪いのではないかと言いたいところではあります。

政策の方針に関しては、
自民・民主両方ともそれほど言っていることは変わらないと思います。
民主党というのは「お金を使ってでも弱者を保護しよう」という政党です。
自民党はどちらかというと「自分で頑張って勝手にしなさい」という政党です。

つまり、小さな政府が自民党で、
大きな政府が民主党であるはずです。
ところが実際には自民党はかなり大きな政府でこれまでやってきました。

今回の金融危機後も大きな政府で政策運営を行っています。
自民・民主両党とも「高齢者を守る」とか「子供を守る」とか、
様々なことを言ってきています。

そのため、政権が変わって一体何が変わるのか、
ということやその理念の違いがよく分からない状態にあります。

しかし、両党とも財源がないのに、
色々なことをやろうとしているということだけは間違いありません。

私としては、どちらかが民営化を促進して小さな政府を作ると、
言ってくれれば、安心してその党に投票するところですが、
そうではないので残念です。

■民主党の政策
今回の衆議院選挙では、
地方分権が一つの争点になっています。

民主党の小沢前代表は元々道州制に対しては、
「300自治体とそれから国の二層制で十分ではないか」と、
否定的な立場でした。

ところが、民主党の改革派が道州制の導入に積極的な姿勢を示し、
党全体が小沢前代表の「二層制」から「道州制」へとシフトしました。

与党が自民党になろうが民主党になろうが、
道州制が導入されるかもしれない状況になってきているというのが、
一つ面白いところです。

そういう意味では、道州制で基礎自治体の導入に向かって、
色々な動きが起きつつあるということだと思います。

その一方で、外交・安全保障政策は民主党の弱点です。
インド洋の給油活動に反対し、
民主党は日米地位協定も抜本的改定を求める立場でした。

しかし、「(インド洋の給油活動を)ひょっとするとちょっと延ばすかもしれない」、
と給油反対をマニフェストから外し、
日米地位協定の改定もアメリカとの交渉を予測して、
あいまいな表現に変更したようです。

また、民主党は製造業派遣の大幅な制限を提案していますが、
派遣制限をすれば民間企業の活力をそいでしまうのではないか、
という懸念もあります。

民主党は小規模農家を保護する個別所得保障を掲げていますが、
生産性向上を伴う農地集約政策はどこにいってしまったのでしょうか。

弱者保護の下にバラマキをすれば長期の成長は達成できません。
民主党に政権をとらせて一回やって見てもらうのは良いとしても、
財務内容をさらに悪化させそうで心配です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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