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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 英国の階級(異文化コミュニケーション/鈴木 右文)

英国の階級(異文化コミュニケーション/鈴木 右文)

09/08/10

毎年夏に学生を連れて、イギリスの大学に
留学に行きますが、今年ももう間もなく出発です。
学生の皆さんは、last-minute endeavor をしています。
最後のドタバタでございます。


■階級制度

イギリスは、日本と本当に大きく違う文化、習慣があり、
その1つとして、階級というものがあります。
例えば、大陸の方で、早々と革命を迎えたフランスなどでは、
もう貴族というものは正式には存在しません。
しかし、イギリスは、一応王国で、ロイヤルファミリーをトップにして、
その下に階層的に色々なランクの貴族の人がいます。
これは、法的にそうなっていて、この中身の全体像を
捉えることは、非常に大変です。


■貴族

ごく簡単に説明してみますと、
貴族と呼ばれているものの中には、
本当に貴族だというものと、いわゆる準貴族と言われて
いるものがあり、少し法的にステイタスが違います。
貴族の方は、全体の中で700人位います。
その700人というのは、貴族本人だけを指し、
その家族は法的には、貴族ではありません。
扱いとしては貴族に準じて、パーティーに呼ぶこともあるわけです。

実はこの制度、日本にも明治時代に入ってきており、
明治時代の公、侯、伯、子、男(こうこうはくしだん)
と言われた、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵という、
この5つのランクが、イギリスでも当てはまります。
英語では、duke、marquess、earl、viscount、baronとなります。
これらのランクの差がどれくらいあるのかという細かいことは、
さすがに私もよく分かっていませんが、
今言った5つはいわゆる世襲です。
つまり、ある方が亡くなると、
その長子がそれを受け継ぐという形になります。
それ以外にも、同じ先程のランクの一番下の
男爵と同じ名前ですが、一代限りの男爵
というのもあるようです。これが貴族です。


■ナイトの称号

その他の準貴族の中にも、世襲と一代があり、
その一代限りの準貴族の中にいわゆるナイト爵、
日本語では騎士爵とでも言いましょうか、
ナイトの称号というものがあります。
このナイトの称号は、名誉職で、日本でいうと、
国民栄誉賞まではいきませんが、
紫綬褒章あたりのようなものです。
ナイトの称号は、皆さんよく聞いたことがあると思いますが、
それは、いわゆる有名人の人が活躍に応じて
もらうことが多いからなのです。

私が知っている中だけでも、
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)、
U2のボノ(Bono)さん、ミック・ジャガー(Mick Jagger)、
エルトン・ジョン(Elton John)とか
そうそうたる名前が出てきますし、
その他、ビル・ゲイツ(Bill Gates)さんや
映画監督のスピルバーグ(Steven Spielberg)さん、
たくさんよく知っている名前が出てきます。
日本人も何人かいて、1人だけ挙げるとすると、
トヨタ自動車の豊田章一郎で、
その他にも、音楽で活躍した人など、
色々な意味合いで、ナイトの称号をもらっているようです。


■sir(サー)の使い方

よく聞く、sir(サー)をという言葉を使うときに、
どのような違いがあるかについて説明したいと思います。
sir(サー)は、ナイト爵に付けられる称号です。
我々にとって、なじみが無いのは、
sirの後に何を言うかということです。
例えば、ポール・マッカートニーにsirを付けて呼ぶ時は、
Sir Paul McCartney(サー・ポール・マッカートニー)と
given name(名)とfamily name(姓)の両方を付けて呼ぶか、
もしくは、名か姓1つだけで呼ぶとすると、
マッカートニーかポールかというと、
我々の期待に反してSir Paulと呼ばなくてはなりません。
Sir McCartneyではありません。

そのような約束事がいっぱいあり、
例えば、公爵の夫人は何と言うのか、
公爵の息子さんの最初の称号は、
何と呼ぶのかなどを調べあげると、
一覧表がずんずん出てきて、どうしようもなくなります。
私も、東京の英国大使館にパーティーに招かれたことが
ありますが、そこで作法を覚えるのが大変でした。
恥ずかしながら、その時に初めて、
sirの後はファーストネームを付けることを知りました。
それを初めて知り、これを知らなかったら、
大変なことになっとったなと思ったわけなのです。
実際に行ってみると、物凄く緊張するような
雰囲気ではなかったからいいのですが、複雑なことがたくさんあり、
なかなか把握しにくいところがあります。


■ランクに応じた違いがあるか?

今では、階級によって生活に関する大きな差はありません。
昔はもちろんあったと思いますが、今は貴族だから、
ランクに応じて年金がガボッと入るとかいうことではなく、
皆さん非常に生活が苦しいようです。
苦しい貴族も多いと思います。
田舎の方に行き、貴族のお屋敷が博物館みたいにして
公開されていますが、入場料を2,000円位
取るようなところなどが結構あり、皆さん大変なようです。
ダイアナさんのオルソープ(Althorp)だって、
ファンのためということもあるでしょうが、
王室も財政が大変なのだと思います。
一般庶民の人たちは、称号がある・ないということで、
扱い的に差別されていると感じる生活は
していないというわけでもありません。
庶民の人たちは、貴族みたいな
はっきりとしたランクはないですが、
日本の昔のように、あの人はこのランク、この人はこのランク
という意識の中のランクみたいなものは、やはりあるようです。

ちなみに、エリザベス2世の正式名称はとても長いことで有名です。
Her Majesty Elizabeth the Second,
By the Grace of God of the United Kingdom of Great Britain
and Northern Ireland and of Her Other Realms and Territories Queen,
Head of the Commonwealth, Defender of the Faith
というのが、正式名称だそうです。

私も英国大使館の大使から招待状をもらいましたが、
やはりこの位の名前の長さでした。
英国では、位や勲章など、もらったものを
全部書くのが正式な書き方なので長くなるようです。
ほとんど寿限無(落語)の世界で、1回毎に、
正式な名前を言っていたら、会話になりません。
そこで、エリザベス2世ということでも良くて、
その場合は、Queen Elizabeth the Secondと言います。

分野: 鈴木右文准教授 |スピーカー:

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