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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国の動き(財務戦略/村藤 功)

中国の動き(財務戦略/村藤 功)

09/08/07

■最近の中国経済
今回は、世界同時不況の中での中国経済の動きについて、
お話しさせて頂きます。
中国はやはり他国に比べると確実に回復しているように見えます。
中国が回復するために、4兆元つまり50数兆円の、
お金を使って国内の内需を拡大しようとしていることが、
結構機能していると思います。
ただ、既に今年の公共投資予算を、5月までに60%以上、
使ってしまったようです。
今年の後半、中国の回復が本当に持つのかということは、
少し怪しくなってきたという話も出てきていますね。

GDPの成長率は78年からの改革開放の30年で、
年の平均が9.8%と、この30年間大変な成長を遂げてきています。
しかし昨年秋のリーマンショックにより、去年の第4クオーターは、
6.8%まで落ちこみました。
今年のファーストクオーターは6.1%でした。
しかし中国としてはGDP成長率が8%ないと、
まずいという認識で、とりあえず、今年3月の全人代で、
今年度の成長率目標を8%とすると言っています。
しかしこれまで経済を牽引していた輸出が滅茶苦茶になる中で、
どのようにして成長を確保するのかが問題です。
上海や広東など、輸出の中心地だった都市は、
3~6%ほどしか成長していません。
そのため、それを補っているのは内陸部です。
ここは2桁成長になっています。
重慶や四川省などがすごい勢いで伸びていますし、
沿海州でも、江蘇省が4兆元のインフラ投資の一部としての、
高速鉄道の路線を作っています。
江蘇省は高速鉄道が数多く通っています。
この江蘇省も10%成長となっています。
都市部でないところでは、基盤整備のために、
お金を投じていけるため、山のような内需拡大の余地が、
あるということですね。


■中国の家計と社会保障
中国の家計はまだ消費するのが恐いので、
貯蓄の意識が高まり、貯蓄率が高くなっています。
可処分所得の中で貯蓄に回すのが28.8%と、
去年記録されました。実は日本は貯蓄比率が3%ほどに、
下落してしまっていますから、日本の10倍ほども、
貯蓄していることになります。
中国で貯蓄率が高い理由の一つは、
社会保障が心配であるということがありますし、
それからお金を使うといっても使うところがないことがあります。
リーマンショックの前から随分と株式市場が下がっていますし、
最近回復してきたとはいえ、とりあえず、
貯蓄に置いておいた方が安心というようなことです。

社会保障の年金や医療は、沿海州の都市部では、
かなり充実しています。
一方で、最近まで内陸部の農村地帯では、
全く普及していませんでした。
少し大病にかかってしまうと、一族郎党が、
破綻してしまうという状況だったわけです。
しかし最近、医療保険が充実してきています。
中国社会保障省によれば、まだ2億人ほどが、
医療保険でカバーされていないそうです。
そこで、今年から3年間ほどで約12兆円のお金を使って、
2011年までには全国民が医療保険に入るようにする、
ということを目指しています。
このような動きがあるため医療保険が機能してくれば、
貯蓄の意識が低くなり、貯蓄が少しずつ減ってくるかもしれません。


■消費者金融解禁と環境問題
消費者金融は無担保無目的でのお金の借り入れですから、
あまり普及させると危ないと思われていました。
しかし国内消費をバックアップするために、
消費者金融会社を設立することになりました。
これは、大手金融機関が母体となるような、
消費者金融会社ならば許可してもいいか、
という意識が背景にあるようです。
とりあえず上海、北京、天津、成都辺りで、
実験してみようということです。

最近は中国の動きで世界が左右されるということがあります。
最近もイタリアのラクイラサミットの際に、中国国内の、
新彊ウイグル自治区で暴動があり、胡錦濤国家主席が、
突然帰ったということがありました。
環境問題について議論しなければなりませんでしたが、
胡錦濤国家主席が帰ってしまい、深いところまでは、
議論できませんでした。
ウイグルの暴動で数百人の死者がでたための帰国でしたが、
本当はラクイラサミットで、新興国のリーダーとして、
胡錦濤主席が様々な話をまとめて、環境問題でも、
かなり積極的なことを言って欲しいという期待がありました。
しかし今回は棚上げとなってしまいました。

環境問題は、中国でも意識がかなり高まってきています。
中国も深刻な問題が色々と目に見えてきました。
国土の3分の1は酸性雨に侵食されている、
国民の4分の1は安全でない水を飲んでいる、
それから都市人口の3分の1が、
汚染された空気を吸っているなど、結構恐いことになっています。
最近2006年から10年にかけた第11次5ヵ年計画で、
GDP当りのエネルギー消費量を年間で20%引き下げる、
それから汚染物質の排出量を10%減らす、
森林の被覆率という、国土が森林でどれほどカバーされているか、
という数値を18.2%から20%引き上げる、
というような目標を中国政府が正式に決めました。
このように政府が真剣に取り組み始めています。
日本の自治体と中国の地域が組んで、
環境問題に取り組むという動きも出てきているようですし、
日揮や日立製作所が水質浄化に乗り出したりもしています。
日本は環境技術が進んでいるので、ある程度中国で、
環境技術を提供して、商売をしようという動きも出てきていますね。


■世界と中国経済
中国がどんどん成長を遂げて内需も拡大する一方で、
アジアのビジネスを広げていく動きもあります。
中国の国内の経済活動はかなり大きくなっています。
鉄鋼生産も圧倒的な世界ナンバーワンとなり、
日本やアメリカの5倍ほども鉄を作っています。
しかし国内需要があるため5億トンも作っているのですが、
6千万トンほどしか輸出していないという状況にもなっています。
中国は日本の4倍以上も鉄を使って様々なことを行っています。
家電や自動車の製造に加え、高速道路などの、
建設物を大きくすることは当たり前で旺盛な需要があります。

中国は既に海外からたくさん買って、
海外にたくさん輸出するという状況にもなってきています。
中国周辺の動きを見ると、やはり台湾やASEANとの関係が、
だんだんと変わってきています。
台湾は、中国がASEANとの間で関税をゼロにしたり、
物品サービスから投資に自由貿易が拡大してきている状況を見て、
ASEANに負けるわけにはいかないと動いています。
昔、台湾は自分の方が先進国で、メインランド(中国大陸)は、
遅れていると思っていたのが、最近、中国の競争力が、
とても強くなってきたために、一緒になって、
色々とやった方がいいのではないかと考えはじめました。
金融機関が相互進出したり、飛行機の定期便を、
今までの2.5倍飛ばしたり、中国企業が、
台湾に進出することを今まで許してなかったのですが、
これからはそれを認めるということになってきています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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