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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国の家電量販店、ラオックスを買収 (中国の経済と産業/国吉澄夫)

中国の家電量販店、ラオックスを買収 (中国の経済と産業/国吉澄夫)

09/08/05

■ 中国の蘇寧電器がラオックスを資本傘下に
中国の家電量販店で第2位の、
南京を拠点とする蘇寧電器が日本の家電量販店ラオックスの
発行済株式の約27%を握る筆頭株主となり、
資本傘下に収めたとの報道がされました。
再編が進む日本の家電量販が
中国の大手量販店に買収されるという形で、
日中の家電流通市場のボーダーレス化が進むという、
ある種衝撃的なニュースでした。
そこで、今日は中国の家電流通と量販店のことをお話したいと思います。

中国で今のような家電量販体制が本格的に展開してきたのは、
ほんの10年ほど前からです。
当時は家電販売に占める量販店の割合は
10%にも満たなかったのですが、
現在では、都市部で60%以上、
全国平均でも40%が量販店経由の販売となっています。
トップは「国美電器」という会社で、
ここの黄光裕という会長はまだ40代の若さで、
中国で屈指の大富豪となりましたが、
今年1月に不正株価操作容疑で逮捕され、
会長を辞任後、企業としてリストラを行っている最中です。
その間隙をぬって、トップに肉薄しているのが、今回話題の蘇寧電器です。

■ 急成長の中国家電量販店
そもそも中国における家電販売ですが、
計画経済の時代の1980年代までは
国営の1級、2級、3級卸(おろし)を通して、
大都市百貨店、地方百貨店、小売に配給する
ピラミッド型組織が出来ていました。
そこには、当然のことながら、
配給のための物流システムはありましたが、
販売のマーケットシステムは存在しませんでした。
しかし、1990年代以降、
市場経済化と国有企業民営化が進む一方で、
成長する家電メーカーは自らの製品の拡販とマーケッティングのために、
代理店制度や直販制度を整えていきました。
そうした中で、1990年代後半、
カールフールやウォールマートといった海外流通大手の
中国小売市場参入に刺激されて、
家電代理店の中から量販店が育って来ました。
その急拡大ぶりは、2000年では42店のみであったものが、
2007年には1890店と45倍にも拡大していることでも伺えます。
その代表が北京の国美、上海の永楽、南京の蘇寧で、
それに大中(北京)、五星(南京)といった量販店を加えて
5大家電量販店と言われてきました。
ところが、2006年以降、永楽と大中が国美に買収、
五星が外資のベストバイに買収されるという激しい再編劇の結果、
現在では国美、蘇寧の2大量販に集約され、
それに外資のベストバイが続く体制になっています。

■ 課題多い中国量販店~ラオックス買収の目的は
しかし、急成長の中国の家電量販店も実は、
大きな課題を抱えています。
中国の家電量販店の特長は「店中店」方式と呼ばれる、
家電メーカーへの「場所貸し」の体制です。
メーカーへの高い場所代と
リベート等の不透明な商慣行に頼って薄利多売を続けている彼らには、
小売店としての品揃え、サービス、接客での付加価値やノウハウが希薄です。
トータルのマージン率こそ日本の量販店と変わらないと言えども、
非効率な管理をメーカーからのバックマージンで補っている状態です。
メーカー側もこうした中国量販店のやり方に嫌気がさしていると同時に、
近年、商品別・サイズ別の展示によりしっかりした販売体制を整えた
ベストバイのような外資量販店が市場に参入し、流れが変りつつあります。
こうした状況に危機感を持った蘇寧が、
家電販売の長い経験を持つラオックスと提携して、
販売ノウハウを導入しようとしたものと思われます。
一方、ラオックス側から見れば、
日本国内の赤字続きで先が見えなくなっており、
中国企業との提携に活路を見出したともいえます。
出来たら、もっと早く提携していれば、
中国市場で主導的な立場に立てたのでは、と思わざるを得ません。
また、蘇寧の立場からすれば、
グローバル化戦略の一環として、
日本の家電市場参入のチャンスですが、
この日本市場、サムソンでも参入に15年かかり、
また三洋と合弁で参入しようとして失敗したハイアールの例がある
厳しい市場ですので、現時点では日本進出には、極めて慎重な様子です。
なお、日本の家電量販店の中国進出は
ヤマダ電機が2010年春に遼寧省の沈陽に進出と言われていますが、
2004年には中国の流通の開放が行われたのですから、
もっと早い進出があってもよかったのではと思われます。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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