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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 簡保の宿(財務戦略/村藤 功)

簡保の宿(財務戦略/村藤 功)

09/07/31

■かんぽの宿売却問題
今回は、改めてかんぽの宿問題とは何だったのか、
そしてその今後についてお話ししたいと思います。
かんぽの宿はまだ売却されてないため問題は終わっていません。
かんぽの宿も含めて、その関連の施設を含めた、
売却問題だったのですが、大変な価値がある資産が、
とても低い金額で売られそうになった、
という印象を受ける方もおられると思います。
しかし本当にそうだったのかも、よく分からないところがあります。

そもそも今回は、国会が不動産として売るのではなく、
全ての事業を継続するようにしなさい、
という付帯決議を付けての売却でした。
そうすると、買った後の経営が難しくなるため、
入札には参加できなくなります。
そのため当初は27社が1次入札に興味を示していましたが、
結局入札に参加したのは7社しかいなかったのです。
国会が、購入後もこれまでの事業を継続したままにしなさい、
従業員の継続雇用義務があります、
といった付帯決議を付けること自体が、間違っていたと思います。
それを外してからでないと、次の譲渡もうまくいかないと思います。


■売却のプロセス
27社も興味を示して資料を見たのに、
1次入札に参加したのは7社だったのは何故かというと、
国会がかんぽの宿を売却する時に雇用維持を、
付帯決議として義務付けたからです。
そんな雇用維持をさせられるのなら、事業価値向上は、
難しいのです。
実際には、不動産として売却した方が価値がある物件が、
多いわけです。
従業員の雇用を継続して事業を継続することが、
無理だと思われる物件は沢山あります。
そのため興味を示した企業は買った後に事業をやめて、
不動産として売ればいいと思っていました。
しかし、付帯決議がついたために、三井不動産、森トラスト、
日興プリンシパル、みずほキャピタルといった、
大手が入札参加をやめてしまいました。
ここで1次入札に参加しなかった原因は、
国会にあると思います。雇用維持条件を作ったためです。

ここでプロセスを一つ誤ったことは間違いありません。
その下手なプロセスを行った最大の原因は、
国会だったかもしれません。
事業の継続が無理でも不動産として売却すれば、
価値があるのに、事業継続を行って、
赤字を垂れ流さなければならないという義務を付けられたら、
興味がなくなるのが普通です。
27社も興味を持ってくれていたら、15~20社ほどは、
1次入札に参加してもらい、2次入札で5社ほどに絞り、
最後に1社にするというのが通常のプロセスです。
ところが、今回は27社があっという間に7社となり、
2次入札では住友不動産が参加を見送って、
オリックスとホテルマネージメントの2社しか入札していません。
さらにその後、簿価を大幅に下回る評価しかえられなかった、
ゆーぽーと世田谷レクセンターを外した条件での、
再提示を求めましたが、これに応じたのはオリックスだけでした。
そのためオリックスが、いんちきをしていたという、
疑惑を鳩山元総務大臣が叫んだのです。
しかし、入札プロセスを見てみると、本当に、
不正があったかどうかは分かりません。
証拠がないのでそうだったのかもしれないし、
そうじゃなかったのかもしれません。

マスコミで騒ぎになっていたのは、
鳩山元総務大臣VS西川社長だけでした。
そのため麻生総理はどちらかを選ばなければならない、
という状況になってしまいました。
どちらを選べばいいのか、よく分からなくなり、
麻生総理を支持していた鳩山元総務大臣を、
ある日突然クビにして、西川社長が、
継続するようになってしまいました。


■かんぽの宿の価値
かんぽの宿と社宅とを合わせて79の施設がありましたが、
鑑定評価額としては250億円で、固定資産税評価額が、
856億円となっています。
この固定資産税評価額は固定資産の価値を、
表しているわけではありません。
政府がこの評価に基づいて固定資産に対する、
税金を取ると言っているだけなので、
市場価値が856億円もあるわけではないのです。
今回の問題で、最もおかしいのは、元々の建設費を、
2,400億円もつぎ込んで無駄にした人々が、
問題にされていないことです。
2,400億円の建設費を投入して価値を下げたのは、
旧郵政省や旧簡保福祉事業団なのです。

このかんぽの宿にオリックスが今回提示した金額は、
100億円程度です。
2番手は60億円しか出さないといっています。
さらに他の人たちは興味がないと言っているのです。
しかも放っておくと、毎年40~50億円も、
赤字を垂れ流す施設です。
2,400億円もの施設をこんなものにした、
郵政省や簡保事業団が一番悪いはずなのに、
その郵政省を引き継いだ総務省のトップである、
鳩山元総務大臣が、他人事のように、
文句を言っていること自体にそもそも違和感があります。
今回の売却で損をしたわけではなく、売る前に、
何千億円も失われていたわけです。


■今後の展望
今後は、従業員の雇用維持は外すべきだと思います。
実際、かんぽの宿にはホテルとして継続することが、
可能な物件と事業を止めて不動産のまま売った方が、
高い値段になるに決まっている物件があるはずです。
なぜ、ずっと国民の税金を食い続けた従業員を、
守らなければならないか分かりませんし、
国民としてはもう2,000億円ほど使ってしまっているわけですから、
許せないですね。
このあたりで、一番高く売った方がいいのではないかと思います。
そうすれば、100億円という金額ではなくて、
200億~400億が出てきてもおかしくありません。
これは事業の継続を前提として、国会が、
従業員雇用義務を付けているため、
買い手がそういう値段しかつけないという話です。

今後はどのようにすべきという話と、
どのようになりそうかという話はなかなか一致しません。
雇用維持義務を外して、事業としてやっていける物件は、
事業として継続し、事業継続が難しく、
不動産として売った方が高い物件は、不動産として売却せよ、
とまず言いたいです。
しかし、そのようになるかは分かりません。
そろそろ衆議院の解散総選挙で、
民主党に変わる可能性が強まっています。
民主党の鳩山代表は、政権を取ったら、
西川社長を更迭すると言っています。
そうすると、郵政民営化自体もどうなるか分からなくなってきます。
私個人としては、民主党は国民新党のような、
郵政民営化の抵抗勢力とくっついて、
郵政の過去の財政投融資の縮小や、
民営化の流れを全てひっくり返すことはやめて欲しいです。
最近、このような方向に走り始めているようなので、
少し許せないところがあります。
政権交代は結構としても官から民への改革の波は、
止めないで欲しいと思っています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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