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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > NUMMI(トヨタ/GMの合弁会社)の解消決定(国際企業戦略論/永池克明)

NUMMI(トヨタ/GMの合弁会社)の解消決定(国際企業戦略論/永池克明)

09/07/27

米連邦破産法のもとで経営再建を目指しているGMは6月29日、
トヨタ自動車との合弁工場
「NUMMI・New United Motor Manufacturing, Inc(ヌーミー)」
カリフォルニア州フリモントの事業運営から撤退すると発表しました。
事実上の合弁解消です。
日米自動車摩擦を機に発足した日米両国トップ企業による合弁事業は
25年の歴史に幕を下ろします。
2008年の生産は34万2千台、トヨタブランドでは小型車「カローラ」と
ピックアップトラック「タコマ」、
GMブランドでは小型車の「ポンティアック・バイブ」を生産しています。
従業員は4600人、とトヨタの北米生産の2割を占めます。

1970年代以降、国際競争力を強めた日本は繊維、テレビ、工作機械に続いて
自動車の集中豪雨的な輸出攻勢が始まり、
日米間で深刻な通商摩擦が発生しました。
日産、ホンダ、トヨタ等の日本車は
デトロイトの労働者によってハンマーで叩き壊され、
ひっくり返されて穴に埋められるという事件が続発しました。
トヨタは北米市場上陸を通商摩擦対策とセットで考え、
GMとの合弁工場建設を模索しました。
GMも小型車生産ノウハウやトヨタの生産管理ノウハウの学習を望みました。
両者の利害が一致して
1983年にトヨタとGMは折半出資で
カリフォルニア州フリモントのGMの閉鎖工場を使って
国際合弁会社NUMMIを設立しました。
当時、GMは自社のノウハウだけでは
グローバル市場で通用するコンセプトを持った
小型車のプロトタイプを開発することができなかったのです。
GMはトヨタとの合弁会社設立によって
小型車の開発に強みを持つトヨタからの学習を通じて
小型車開発のノウハウを自社に蓄積して、
初めて小型車を市場に投入することができました。
加えて、GMは自動車生産の管理システムをトヨタから学習し、
当初日本に比べて格段に見劣りした生産性の向上に成功しました。
当時、NUMMI工場の生産はGMの平均的な国内工場の生産性の2倍であり、
NUMMIの奇跡とまで称されました。

一方のトヨタは、
UAW(全米自動車労働組合)とのパートナーシップを構築することで、
トヨタ生産方式をスムーズにアメリカに移植することができました。
同時に、トヨタはGMからアメリカの労働者、部品メーカー、政府等に関する
情報を自社に蓄積しました。
そして翌年にはケンタッキーに100%出資の子会社を設立するなど、
学習により蓄積した情報を北米展開にわたって適用して、
後発ながらホンダや日産などよりも
スピーディかつ円滑に北米でのオペレーションを進めていくことができました。
NUMMIは大学やビジネススクールの国際経営論などのテキストでも
日米の自動車会社の国際戦略提携の成功事例として採り上げられてきました。

問題は今後のNUMMIの行方です。
GMは主要ブランドを半減するなど大幅なリストラを打ち出していますが、
生産能力はいまだ過剰となっています。
ポンティアックブランドも廃止が決まっています。
トヨタにとって新たなパートナー探しや他社への売却は現実的ではなく、
選択肢は株式買い取りなどで子会社として存続させるか、
会社を解散するかの2つに事実上迫られます。
現在、トヨタ単独の工場はメキシコも含め北米に5つあります。
生産能力は余っており、北米生産体制見直しを迫られています。
NUMMIは北米のトヨタの工場では唯一全米自動車労組(UAW)の傘下にあることも
事業継続の障害です。
GMの破たんの背景には労使交渉での膨らんだ人件費の問題があります。
トヨタが単独で圧倒的な交渉力を持つ
UAWと渡り合うのは難しいとの指摘も社内にはあります。
仮に解散に踏み切った場合、4600人の雇用問題がのしかかります。
配置転換に応じない従業員への割増退職金などもかさみます。
設備の除却費や生産移管費用もかかります。
また、NUMMI向けの部品供給のために
西海岸に進出した国内部品メーカーも多く、
部品メーカーへの支援も必要となります。
これまで、トヨタは国内外で需要工場を閉鎖した例はありません。
社内には「解散するよりも存続させた方が資金負担が軽い」との声もあります。
いずれにしても、トヨタは7月中にも何らかの決断を迫られるでしょう。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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