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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 年金改革(財務戦略/村藤 功)

年金改革(財務戦略/村藤 功)

09/07/24

■ 賦課主義、積み立て主義と過去債務
今回は年金改革についてのお話です。
これまで何度かお話ししてきましたが、まず、
年金制度そのものから見ていきましょう。
現在年金制度は賦課主義という、税金同様に、
義務として集めるものです。
このような、同じ時代に生きている若者が、
高齢者を支えるという制度は、人口が減少して、
少子高齢化社会になってしまうと維持できなくなってしまいます。
そこで賦課主義を積立主義という、自分で自分の取り分を、
貯める方式に変えようという流れが世界の大勢になってきています。

しかし、積み立てるのはいいとしても、若者は、
自分で自分の分を積み立てる分と、既に年金を払って、
もらうつもりになっていた高齢者の分とを、
二重払いしなければいけなくなるのかという問題が生じます。
その二重払いは50~60年生じるという試算もあります。
民主党は最近40年ほどかかると言ったりもしています。
とにかく何十年もかけて、自分の分と過去債務という、
お金を頂く人たちへの支払いとの、二重払いを、
続けようということになっています。


■ 最低保障年金、所得比例年金と家計貯蓄の限界
最近盛り上がってきているのは、年金を2つに分けましょう、
という議論です。
年金には最低保障年金という、月7万円の生活保護のような年金と、
所得比例年金という、稼いだ人は沢山積み立てて、
将来沢山もらうという、2階建てと言われていた部分の、
2つがあります。これらを今後どうするのかという議論なのです。
この内月7万円の最低保障年金は消費税で、
皆から集めて払おうということになってきています。
なぜかというと、既に国民年金加入者の4割ほどが、
お金を払わない状況になってきたためです。
この年金は生活保護に近いので、税金から、
徴収しようというわけです。

しかし、一人当たり月7万円なので年間84万円です。
さらに日本の65歳以上の方は約2,500万人いて、
これから3,500万人ほどに増えようとしています。
2,500万×84万円だと、大体21兆円規模の話です。
この21兆円を消費税で調達しようとすれば、
消費税を8%ほど上げなければなりません。
現在の一般消費税5%は、合計で13兆円位になります。
1%当たりが大体2.6兆円です。
2.6兆円×8%が21兆円ですから、月7万円の、
最低保障年金を消費税から払おうとすると、
徴収額を今よりも8%上げなければなりません。
現在の5%に足せば13%の消費税になります。
日本の家計全体の貯蓄はバブルの頃に、
4~50兆円あって、日本の家計の貯蓄は、
大変高いという話がありました。
しかし今はかなり減って、逆にアメリカが高い、
ということが言われているほどです。
実際に日本の家計の貯蓄は1年あたりで、
10兆円を切ってきています。
10兆円を切っているということは、消費税1%が、
2.6兆円だとすると、4%上げると、家計の貯蓄が、
消失してしまうわけです。
8%に上がったらマイナスになってしまいます。
年金の改革は落ち着いて考えないと大変恐い話なのです。

民主党の主張も注意して聞く必要があります。
民主党はまず無駄を省こうと主張しています。
確かに税金の無駄が沢山あるように見えるので、
省けるだけ省くことは大歓迎ですが、一体どの位の無駄があって、
浮いた分も考慮した上でいつ頃に、
消費税を上げなければならないのか、
民主党は政権を取ったことがないため定まっていません。

気になるのは、消費税を上げるということは、
これまでの社会保障料は払わなくていいのかということです。
要するに、今までの社会保障料には2階建て部分と、
最低保障部分がありました。
最低保障部分を消費税で取られるのなら、
これまでの社会保障料部分は払わなくても、
いいということになります。
それならば名前が変わるだけで、家計貯蓄の10兆円が、
減るわけでもないため困りません。
しかし消費税で、これまでに加えて取られる、
という話になると困ります。
このように中身が今ひとつよく分からないため心配です。
今回の金融危機で運用している年金は、
大きく減ったといわれています。
最近は多くの心配事が出てきています。


■マクロ経済スライド制度へ
賦課主義から積立主義に移行する、
というのは大変な改革ですが、
それ以前の2005年ごろから、
マクロ経済スライド制度というものが導入されています。
マクロ経済スライド制度導入以前は、
物価スライド制度というものが存在していました。
物価スライド制度とは、毎年2~3%インフレがあるとしたら、
もらえる年金も2~3%増えるというものでした。
つまりインフレに合わせて年金給付額が、
増える仕組みです。
しかし2005年にマクロ経済スライド制度が始まり、
既に導入されていますが、これは、
もらえる年金が減る仕組みなのです。
年金給付金が上がる可能性はほとんどありません。

ここで、マクロ経済スライドと言っているものの中身は、
国民年金の加入者や支払者が減少し、
平均寿命がこれから伸びるというマクロの問題を勘案して、
給付金額を下げようという話なのです。
これまでの物価スライド制度は、
給付額を増やすものでしたが、マクロ経済スライド制度は、
インフレ以外のマクロ経済要因を考えて、
年金給付額を減らせる制度です。 
政府・厚生労働省は、これを使って給付額を減らしていけば、
年金制度はもつだろうということで2005年に、
制度変更したわけです。
しかし、それでももたないというのが、今の状況で、
そのため積立制度に移行しようということになっています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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