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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 経営戦略6.リーダーシップ(経営学/久原 正治)

経営戦略6.リーダーシップ(経営学/久原 正治)

09/07/22

■シティとモルガンのCEO
今回は経営戦略におけるリーダーシップのお話をさせて頂きます。
今回で経営戦略のお話は6回目ですから、
最後のまとめとして、このような経営戦略は、
やはり結局、リーダー次第であり、
そのリーダーシップとはどのようなものか、
ということをお話ししたいと思います。

前回、シティグループの組織が大きくなり過ぎて、
経営ができなくなったということをお話ししました。
これをよく見てみますとリーダーに問題があることが分かります。
もう1つの大手銀行であるJPモルガンはシティグループと違い、
金融危機の中でもうまくやっており、業績も、
非常に良い状態です。
この2つの銀行を比べた時、どこが違うのだろう、
と見てみると、やはりリーダーが根本的に違っているのです。

このJPモルガンチェースとは、ジェイミー・ダイモンという方が、
現在CEOを務めています。
この方は、アメリカで今最も優れたカリスマ経営者と、
言われています。
彼は、ビジネスの現場の中まで自分で把握しながら、
その中でこの企業とはどのような方向にいくか、
ということを皆に徹底させています。
特に銀行業務ですからバランスシートの健全性が、
大事であるということを徹底させることによって、
危機を乗り切っているのです。
他方で、シティグループは、この3~4年、
エンロン事件があるなど不祥事が多かったので、
社内の弁護士上がりの人がCEOになっていました。
弁護士上がりだから現場のことは何も知りません。
分権化して数字だけを見て経営していたようです。


■CEOの報酬
このシティグループは、金融危機の前に業績が、
偶然にも非常に良かったのです。
アメリカのCEOの所得は業績に連動する報酬になっていて、
業績が良ければCEOの給料が大変良くなります。
アメリカのCEOは給料をいくらもらっているかで、
その人の価値が評価されていることになっています。

様々な調査がありますが、アメリカ企業約500社の、
大企業のCEOを見て、2007年平均で、
どれほどの年収があったかというと、1100万ドルが、
全会社の平均となっています。
1100万ドルは日本円にすると11億円ですから、
年間11億円もらっているわけです。
特に金融機関を見てみると、平均が1600万ドルなので、
1人16億円もらっていたことになります。
これはなかなか一般の人には理解しにくく、
アメリカでも最近ではオバマ政権になってから、
これはあんまりだという議論になり、特に、
経営がひどい銀行についてはそのキャップ、
50万ドルを上限にしようという法案が通りました。
ところが問題は、50万ドルで企業に来てくれる、
有能なCEO がいないということです。
来てくれなければ、銀行も建て直しができない、
という変なことになってしまっています。

アメリカという国では、報酬をもらって自分が優秀だ、
ということを神様の前に見せる、これが、
個人の働く倫理の一つのようなものになっています。
それで自分が使い切れない程お金をもらえば、
当然30億円ももらったら使い切れないわけですから、
これを寄付するわけです。従って、アメリカの大学で、
校舎が立派なのは、このような卒業し成功した人が、
多額の報酬の一部を寄付することで可能になっているのです。


■働く上での倫理観の違い
日本の考え方と違うのは、例えば不祥事を見てみると、
アメリカの企業の不祥事はやはり個人が、
自分の報酬を何とか増やそうという不祥事であって、
会社ぐるみでの不祥事がアメリカの場合、
非常に少ないのです。
ところが日本の不祥事とは、個人が儲けているわけではありません。
何かしら会社のためといって皆で粉飾決算を行ったりすることが、
多いわけです。
アメリカと日本でこのように不祥事も全く違うのは、
倫理観がアメリカの場合は個人に落ちるということと、
日本は会社という集団での倫理観になっているからだと思います。
日本は意外に個人の倫理観を、ビジネスの上では、
あまり感じないことがあります。
このような違いがあるので、日本にアメリカと同じ、
ガバナンスのルールを導入していく、
ということにはならないわけです。
アメリカと日本の経営が違うということは、
この6回シリーズの間ずっと申し上げていることで、
アメリカの仕組みを日本に持ってきてもなかなか上手くいかないのは、
そもそも個人の働く原理から全く違っているということがあるわけです。


■日本のリーダーとアメリカのリーダー
日本は集団で経営しているため、リーダーといっても、
従業員の代表のようなものです。
そのためアメリカ的なリーダーシップはなかなかありません。
アメリカではリーダーとは、その人が責任を持って、
大きな戦略を立てて引っ張っていくものなのです。
一方でグローバリゼーションが進んでくると、
日本従来の従業員の仲間であるリーダーでは、
グローバルな世界でのビジネスは、
なかなか乗り切れないということで、
やはり強いリーダーシップが、
ある程度必要だということになります。

そのため我々は今、九州アジア経営塾という、
リーダーの養成塾をやっております。
そこでアジアのリーダーをと議論をしていても、
どうしても九州の将来のリーダーというのは、
世界の中では若干弱い感じがあります。
そのため、これからの若い人は、
リーダーシップを付けていかなければならないので、
九大のビジネススクールのような場所で、
まず30代の人からリーダーシップの基本を身につけてもらい、
もっとエグゼクティブになったら、
九州アジア経営塾のような場所で、
リーダーとしての考え方を学んでもらいたいと考えています。

ただ、アメリカのように高額な報酬をもらって、
自分の懐に入れるという図式には日本はならないので、
リーダーシップには倫理観など様々な要素を入れていく、
ということになるでしょうけど、いずれにしても、
九州でビジネスを行う人は、
もう少し強いリーダーシップを持って、
やっていって欲しいと思います。
何に価値を見出してリーダーシップをとっていくか、
またどのような倫理観や理念を持った上で、
リーダーシップを発揮していくことが、
これから重要になってくるということでしょう。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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