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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 経営戦略5.組織は戦略に従う(経営学/久原 正治)

経営戦略5.組織は戦略に従う(経営学/久原 正治)

09/07/21

■組織の問題点―GMの例
これまでシリーズで経営戦略のお話をさせて頂いておりまして、
今回は組織というテーマでお話しさせて頂きます。
企業には様々な戦略があり、多くの企業が、
戦略を考えながら成長しています。
そうすると、望むような戦略をとるにはそれを実現する、
組織を作ることがすごく大事になるというお話です。

今回、金融危機が、経済の非常に大きな危機に発展して、
その中でGMとシティグループはいずれも、
世界を代表する大企業であったわけですが、
経営危機に陥り、この組織の不全が明らかになりました。
つまり組織が破綻してしまったということです。

GMの場合は、皆さんよくお聞きになっていると思いますが、
キャデラックやポンティアック、シボレーなどのブランドが、
それぞれの事業部で分かれていたということがあります。
もともとそれぞれの会社を全て合併して、
ゼネラルモーターズという大きな会社にした、
という経緯がありますから。
そのためシボレー事業部、キャデラック事業部など、
それぞれが自主的に経営して、本社はそれぞれの事業部に、
資金をどのように配分するか、あるいは、
それぞれの事業部の業績をどのようにコントロールするか、
ということを行っていて、GMの本社は段々と、
財務コントロールの機能だけになってしまったのです。
つまり現場を見なくなってしまいました。
そこに出てきたのがトヨタなどの、日本のメーカーです。
彼らはトップの人間が現場で自動車の作り方を見て、
いい車を作っているのです。

一方のGMは大企業になっていくにつれ、
本社の人間が工場になど行かなくても、
出てきた数字だけで経営するようになってしまいました。
これが段々とひどくなって、現場の労働者も、
それぞれ自分のことだけをやるようになってしまいました。
アメリカの自動車工場を見ればびっくりしますが、
例えばタイヤの縁のチェックをやっている人は、
一生それだけをやっています。
他人の作業をやらないため、タイヤの、
他のところをチェックする人が休んだら、
そこは誰もチェックしないようになってしまいます。
このように、それぞれが分業を徹底化してしまい、
それを全体として財務という数字だけで、
見るようになっていきました。
これがいきつくところまでいって巨大化し過ぎて、
経営できないほどになってしまったのです。


■シティグループの組織不全
そしてもう1つのシティグループも、
金融危機の影響を受けて悪くなっている、
と言いたいところですが、ここにも、
組織としての問題があります。
アメリカのJPモルガンという、同じような商業銀行で、
ダウ30社に入っている企業があるのですが、
ここは非常に安定した収益を出しています。
しかしシティグループは、ジェットコースターのような損益で、
2007、2008、2009が大赤字となってしまいました。
その原因はやはり多角化し過ぎたことがあります。
シティグループはもともと商業銀行だったのに、
証券、保険、トラベラーズグループと合併して、
金融コングロマリットと呼ばれる巨大で多角化した金融機関になり、
あらゆる種類の金融を取り扱うようになりました。
そのため、先ほどのGMと同じように、大きくなり過ぎて、
経営ができなくなってしまったのです。
つまりトップの人間は現場で何をやっているか分からないし、
一方で現場はなるべく分権化して自由に収益を上げさせる、
という方向になってしまい、そのコントロールが、
きかなくなってしまいました。
GMもシティグループも多角化と巨大化し過ぎて、
コントロールができなくなり、今回のような、
破綻につながっているという、組織の問題が、
明らかになっています。


■金融危機が組織について教えるもの
おそらく、今アメリカの経営学者が言い出しているのは、
このような大規模・多角化した企業は、
もはや今の時代に合わなくなっているのではないか、
ということです。
むしろフォーカスして、自分が強い分野で、
経営者が全てを見ることができるような範囲で経営して、
必要な都度、他の企業と提携する、
ネットワーク形の企業を目指すというものが1つです。
それからもう1つは、株式公開している企業は、
やはり他人のお金で経営をしていますから、
経営者は株主のお金を大事にせずに、
リスクを過剰に取る経営をしてしまいます。
それよりは、寧ろ非公開会社の方が、
合理的で効率的なのではないかという議論が出てきています。

そのため、実は組織としてあまりに大きくなり過ぎた企業は、
小回りがきかなくなってしまい、危機が生じた場合には、
立ち行かなくなって失敗してしまう可能性があります。
九州の企業でも、地場企業の経営は大変だったわけですが、
むしろ、昔からのファミリービジネスという形で、
株式も公開せず、フォーカスした経営を継続して、
それがきちんと時代に合うようなビジネスをやっていれば、
その方が組織としての優位性があるのではないかと思います。
時代に合わせるために自分の組織に足りないところは、
他と組み合わせて行うのです。
以前お話ししたように、成長が続くアジアに、
ビジネスのチャンスを求めながら組織を運営していく、
このような組織の優位性があり得るということが、
今回の金融危機で分かってきているのではないかと思います。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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