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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 資金調達(財務戦略/村藤 功)

資金調達(財務戦略/村藤 功)

09/07/17

■世界での資金調達の現状
今回は資金調達の市場に関して、リーマンショック前後で、
どのように変わったのかを見ていきたいと思います。
企業が本業を行う際、お金を調達しなくてはなりません。
銀行から借りたり、債券や株を発行したりして、
調達するわけです。
リーマンショック以前から、サブプライムの問題で、
様々な資金調達が難しくなっていました。
借り入れしにくくなったり、証券化商品のマーケットが、
滅茶苦茶になったりしていたのです。
その後、リーマンが破綻したことで金融市場は、
更に大混乱に陥りました。
どうやっても資金調達できないマーケットに、
一時なりかけたほどです。
そのような中からだんだんと立ち直ってきて、
最近ではいい企業と悪い企業が二極化し、
いい企業は大変な勢いで社債を発行して、
現金調達している状況です。

社債による資金調達は、世界でも、
日本でも起こっています。
世界では、スイスのロシュ(Roche)、ファイザーなどが、
300億ドル、240億ドルと、つまり2~3兆円ほどの金額を、
調達しています。
それからシーメンスやフランスの電力公社などの、
大変な優良企業が大金を調達しています。
ただその場合、消費が好調だから設備投資をしよう、
という話では必ずしもなく、今まで借りていた、
借り入れの借り換え部分が大きくなっています。

社債は発行できますが、銀行は大変な状況にあるので、
借りにくく、株式市場が立ち直りつつあるとはいっても、
まだかなりの低レベルに留まっていますから、
IPOなど新規株式公開しようとしたり、
株式市場で資金調達するという動きは、
非常に鈍くなっています。

公的債券はたくさん発行されています。
世界中の国で、何とか国の経済対策をしようとして、
国債を発行しました。
これを全部合わせると既に100兆円を超えています。
更に最近、IMF(International Monetary Fund:
国際通貨基金)がSDR建ての債権を、
700億ドル発行する見通しとなった、
というニュースが出ています。
SDRとは、Special Drawing Rightsという、
IMFの国債通貨のようなものです。
IMFでは通貨をドルではなくSDRに変えようという話を、
40年ほど前の1969年ごろから継続しています。
IMFは、これまで加盟国の出資金や加盟国からの、
借り入れで資金調達してきました。
しかしSDR建ての社債は設立から、
60年位経って初めて発行するものなのです。
SDRはBRICsの中国、ブラジル、ロシアなどが、
7兆円ほど購入するということになってきています。


■日本企業の資金調達
日本企業も、優良企業が社債を発行して、
手元資金を積み増すという動きが出ています。
日本企業の資金調達ですが、もともと、
バブルが崩壊した時に有利子負債が多過ぎて、
自己資本が殆ど無くなってしまうという、
大変な目に会いました。
株式や不動産価格が暴落して、
自己資本がなくなったあとに長い時間をかけて、
何とか自己資本を増やして有利子負債を返済する、
ということで回復してきたわけです。
そしてやっと健全な形になってきたと思った瞬間に、
世界の金融危機が襲ってきて、資金調達が、
難しくなってしまったのです。

日本を代表する大企業も赤字の状況です。
当初、日本には金融危機の影響はあまりない、
と考えている人々もいましたが、3末の決算が、
公表されるにつれ、どこも赤字だということが分かりました。
多くの大企業は赤字が見えてきた時点で、
銀行から借りる動きに走りましたが、
銀行も痛手を受けていたので、
銀行自体が自己資金を調達しないと、
貸し出しできない状況でした。
そこで大手銀行に頼らなくても、
投資家に買ってもらえそうな優良企業は、
直接、個人投資家に社債を発行する、
という動きに出ています。

個人投資家は、既に株で損をしましたが、
例えばトヨタやソニー、NTT、第一三共、サントリー、
ホンダのような、AAA(トリプルA)、AA(ダブルA)という、
どうやっても破綻しないであろう、これが破綻したら、
日本は終わりだというような企業は信頼していますから、
そういう企業の社債なら買うのです。
そのため優良企業は大変な勢いで社債を発行して、
資金調達し、現預金を貯め込んでいます。
今後何が起こるか分からないから、
とりあえず現預金を沢山持つために、
社債を山のように発行しているのです。

ところが、BBB(トリプルB)ということになると、
話は違います。
世界的に有名な格付け機関のムーディーズや、
S&P(スタンダード&プアーズ)と比較して、
日本の格付け機関の、
R&I(株式会社格付投資情報センター)やJCRでは、
格付けの基準が少し違います。
国内の格付け機関は国内企業に対して少し甘いのです。
R&IやJCRがつけるBBB程度では、
ジャンクボンドかもしれないという疑いが出てきたのです。
この結果、トリプルB企業の社債発行は、
リーマンショックから今年の5月ごろまで、
ゼロだという状況でした。
しかし近鉄が5月にBBB企業として8ヵ月ぶりに、
100億円の社債を発行しました。
このようにやっと動き出していますけれども、
まだBBBだとかなり危ないという認識があり、
発行の主体はAAA、AAの企業となっている状況です。


■日本の株式市場
去年のリーマンショック以降、外国人は皆、
日本の株式市場から逃げていき、株式市場の株価は、
大きく下げました。この結果、日経平均が、
8千円ほどになった時に、日本の家計は、
これだけ安くなれば買い時なのではないかと判断し、
株式を買い始めました。
日本の家計はこれまであまり、
株式市場に投資する人たちではなく、
バブル発生や崩壊と言われても、
あまり関与してきませんでした。
しかし外国人が皆逃げていく中で、
8千円はいくら何でも安すぎる、
1万2~3千円ほどまで上がるのでは、
と見て買いに入ったのです。
それで1万円位まで戻してきたという状況です。
このように個人投資家が買っています。

資金調達を取り巻く環境は、銀行借り入れや、
株による調達が難しく、優良企業のための、
社債しかない状況です。
社債と株式市場が正常にならない限り、
事業会社として正常な資金調達ができません。
そのため現在はまだ正常化していないと言えるでしょう。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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