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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > キャリアを作る (社会心理と組織心理/藤村まこと)

キャリアを作る (社会心理と組織心理/藤村まこと)

09/07/15

■キャリアという言葉
今回はキャリアを作るというテーマで、
お話しさせていただきます。
最近、キャリアという言葉がとてもよく聞かれます。
つまり、「あなたはキャリアをどうするのか」、
「キャリアを作っていきなさい、マネジメントしなさい」、
という風潮がありますね。

もともとこのキャリアという言葉は欧米から入ってきました。
アメリカでキャリアという言葉が注目されたのは、
1950年代頃で、日本では90年代半ば頃です。
欧米と日本で共通するのは、終身雇用体系が、
崩壊した時期にキャリアが注目されているということです。
それまでは、一度就職すれば、
会社がキャリアを作ってくれました。
会社に任せておけば退職時までどうにかやっていける、
という時代でした。
しかしそれが終わると、会社は面倒を見きれなくなり、
正社員でもリストラがあるかもしれない、
そして、代わりに非正規雇用、つまり派遣や契約、
パートといった働き方をする人が増えてきます。
そうなると、ひとつの会社や組織での長期的な雇用が、
保証されなくなります。
キャリアを会社任せに出来なくなったため、
一生涯を通しての仕事の経験、つまり「キャリア」を、
どう作っていくかを自分で管理、マネジメントすることが、
求められるようになりました。


■キャリアの作り方
まずキャリアを個人の視点から考えてみましょう。
個人というのは、キャリアは自分にとって、
たった一つのオリジナルなものです。
自分のやりたいこと、出来ることに沿って、
どうやって一生の仕事やキャリアを、
作っていくかと考える時、個人から見れば、
組織(会社)とは選択肢の1つになります。
どの仕事をするか、どういった会社に入るか、
ということを個人で選ぶことになるのです。

一方、組織から見ると、組織という場で、
たくさんの従業員の方が働いていて、
それぞれのキャリアを資産として所有していることになります。
組織から見れば、キャリアをマネジメントする時には、
一人一人のことも大事だけれど、やはり組織にとって、
きちんと利益を生むように、組織の目標と合致するように、
個人やそのキャリアをマネジメントするという立場にあります。
これは、組織が人材育成や人的資源管理を、
いかに効果的に行うかという問題になります。

もちろん、組織の中に属しながらも、個人が目標を持って、
キャリアのデザインを行っていくことはできます。
ただ組織に属してれば、組織もこの人材は、
このように育てていきたいなという考えも出てきます。
それが必ずしも一致するとは限りませんが、
できれば個人と組織の要望がフィットすることが一番良いですね。
一致しないことがあることを前提に、どうすればうまくいくか、
個人と組織のそれぞれにとって、
最善となる方法を考えることが一つの課題といえますね。

■トランジション・モデル
最近は転職する人も多くなり、欧米のように、
「ステップアップのための転職」という考えが、
日本でもかなり定着しつつあります。
仕事をしていれば、転職に限らず1つの組織内での異動、
ということもあります。
キャリア研究の中には、いわゆる変化に対する理論として、
トランジション・モデルがあります。
これは面白いことに臨床心理学の分野から出てきた言葉です。

人生では、仕事に限らず様々な転機があります。
就職、結婚、昇進などの変化にうまくついていけず、
困っている人たちを対象に集団療法をしたのが、
ブリッジス(William Bridges)という方です。
その中で彼は、転機を上手に迎えるために、
新しく何かを始めるためには、「終わり」-「中立圏」-「始まり」
という3つのプロセスが重要だと言っています。
1つ目の「終わり」とは、変化する前の状況から、
新しい状況に行く、つまり、前の状況を、
きちんと終わるということです。
次が、新しい状況への移行期間、つまり、
「中立圏(ニュートラルゾーン)」を経て、最後に、
気分を新たにして「始まり」を迎えます。
新しい何かを始めるには、きちんと前の段階の、
「終わり」を経験することが大切なのです。

例えば、昇進や出産とは、社会的に見ると、
喜ばしいことです。
しかしそれでも、新しい状況に適応できない方がいました。
出産であれば、子供ができて嬉しいのだけど、
子供の世話に時間を取られたり、その状況に、
なかなかなじめないことがあります。
よく考えてみると、出産は確かに望ましい状況ですが、
その前の段階であった自分一人の時、つまり、
子供がいなかった頃の自由な時期を失っています。
そのギャップについていけないのです。

仕事の場面では、管理職になることは、
いいことだと思われます。
しかし管理職になるということは、
自分の専門の仕事を離れることになり、
人をマネジメントすることが主要な仕事となります。
この2つの仕事は、とても質的に異なります。
それに適応できずに困ってしまう人もいます。
管理職になるという変化によって、何が失われて、
何を得たのかを考えなければなりません。
自分がやりたいことかどうかを考えることが必要です。
「終わり」、「中立圏」、「始まり」のプロセスの中で、
考えを整理して、新しい状況に、
意味を見出すことができればよいですね。

こうして新しい何かを始めることは、
人生でも仕事のキャリアの中でも1回ではありません。
これらは複数存在していて、人はそれを節目ごとに、
上手にくぐっていくのです。
ここは大事という節目は大事にマネジメントしますが、
節目でない時は流れに身を任せることも、
必要だといわれています。


■キャリア・デザイン
キャリアについて大事なポイントなのですが、
キャリアの良し悪しは、履歴書や、
社会的な良し悪しでは決まりません。
自分が嬉しかったか、辛かったかという、
主観的な評価も踏まえてキャリアを作っていきます。
そのため「自分には何が出来るか」と一緒に、
「自分は何がしたいか」、この2つを自問自答することが、
キャリアを作る上では重要です。







参考文献
古川久敬 (2002) 人的資源とビジネスモデルの相互充足性原理 一橋ビジネスレビュー, 50(1), 54-68.
金井尋宏 (2002) 働くひとのためのキャリア・デザイン PHP新書

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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