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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > キャリアとは何か (社会心理・組織心理/藤村まこと)

キャリアとは何か (社会心理・組織心理/藤村まこと)

09/07/08

■キャリアとは
今日は、キャリアとは何かというテーマで、
お話しさせていただきます。
私たち、特に組織の中の人間行動や、
組織にとっての人材をどうマネジメントするか、
ということを研究する立場の人々は、
キャリアというものをこのように捉えます。
1つは、そのまま、経歴というように、過去・現在・未来、
と一生涯にわたってつながる職業の経験です。
キャリアには、一生涯について発達していくという、
根本的な考え方があります。
どこかで成長が止まったり、老化するのではなく、
常に新しく生まれ変わるものと考え、アメリカの、
シャイン(Edgar.H.Schein)は、キャリア発達の過程を、
モデル化しました。

その発達モデルでは、仕事に入って慣れるまでの、
大体10代半ばから20代半ばの時期をキャリア初期、
と呼んでいます。
人は仕事に就いて、仕事の中で必要なものを学ぶ、
という訓練を繰り返しながら、組織の一員としての地位を、
確立していきます。
そして、一人前として働き始めて慣れ始めた、
おおよそ30代半ば頃でしょうか。
その前後からキャリア中期が始まります。


■キャリア中期とキャリア・アンカー
シャインの調査では、およそ就職して10年目頃、
キャリア中期の時期に、多くの人がふと立ち止まると、
指摘しています。
キャリア中期の危機として、ふと立ち止まり、
「自分はこれでいいのだろうか」と考える時期だ、
というわけです。
実際に周りを見渡しても、ビジネススクールに来られる方も、
日本では30代前後が多いですね。
おそらく、このままでいいのかと、
自問自答されている方も多いと推測されます。

この時期についてはまた面白い指摘があります。
これでいいのかと考えた結果、おおよその人は、
やはりこれは譲れないという何かよりどころのようなものを、
心の中に見つけるそうです。
それを分類したのが、「キャリア・アンカー」です。
アンカーとは碇のことです。
船がどこかに行ってしまわないように、
よりどころとするような碇のことです。

キャリア・アンカーは8つに分かれています。
その1つが専門職としてのアンカーです。
ある業界や業種、分野にこだわって、
専門性を目指したいというものです。
それから、専門特化ではなく、総合的に組織や、
その領域を見渡すようなマネジメントするような、
アンカーがあります。
さらに、誰にも縛られず自立したいというアンカーがあります。
研究者などがここに当てはまりますが起業家はまた別です。
起業家には起業家的なアンカーというものがあり、
自立よりも自分のアイデアで創業したい、
何かを始めたいというアンカーを持っています。
その他にも保障や安定のアンカー、これは、
チャレンジングなことをするよりも、どちらかといえば、
誰かのもとで働き、安定を目指すものです。
また、誰かの役に立ちたいというアンカー、
医療職、保育、教育職などが該当するものがあります。
最後が生活様式、仕事よりも生活を求めたい、
というアンカーがあります。

人は、キャリア中期の頃、自分にとって譲れないもの、
つまり、アンカーを探して、このまま今の場所で、
頑張っていくのか、それとも考え直すべきなのか、
ということを考えるそうです。
そして、何らかの方向性を定めて、アクションを取り、
(取らないという選択もあります)、
決めた方向へ頑張っていくと、今度は、
キャリア後期というところにたどり着きます。


■キャリア後期
キャリア後期は40代頃から始まります。
管理職の人、自分の専門を特化した人、
個人営業をしている人でも、時期の違いはあるかもしれませんが、
皆さんキャリア後期を迎えます。
この時期は体力の限界等もあり、次の世代に譲り渡す時期です。
後に続く人をどう育てるか、どうやって自分は引退するか、
どの時期に引退するかということが、
1つの課題になります。
上手に辞めるということも、自分のキャリアを振り返った時の、
全体的な満足感などを規定する大事な要因になるわけです。


■キャリア初期のリアリティ・ショック
キャリア初期の時期に、就職して3年以内に離職する人が、
多いという問題がよく指摘されています。
今では、「第2新卒」という言葉もあり、企業で働いても、
3年経つまでは新卒として迎える企業も増えています。
キャリア研究では、若者の早期離職の原因として、
リアリティ・ショックが挙げられています。
言葉のままに、現実に幻滅する、ギャップに戸惑う、
という意味を持ちます。
仕事とはこういうものだ、きっとこういうことができると、
若者は夢を持って職場や組織に入っていきます。
しかし、現実はそんなに甘くはなく、理想や予想とは、
異なる状況に、何らかのショックを感じます。
大卒の場合で3年以内に辞める割合は、
日本でも平成7年以降、3割を切ったことはありません。
最近では、3年勤務したら表彰するという会社も出てくるほど、
3年続くことを重要視しているようです。

この問題への対応として何があるでしょうか。
組織としては、人事部門でよく使われている手法ですが、
期待を過度に持たせないようにするということです。
つまり期待し過ぎて幻滅するのであれば、
なるべく過度な期待を持たせないように、
ありのままの姿を入職前から見せるのです。
職場に来て実際に体験をさせる、なるべく、
詳細な情勢を伝える、などが就職前に、
人事部で行われています。
その他の方法として、組織だけでなくて、
個人としてもリアリティ・ショックに、
備えるようにすることがあります。
このキャリア初期を乗り切るために、
多くのところで指摘されているのは、垂直の交換状況、
つまり上司との関係をうまくやりましょうと。
昔から、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」、
と言われていますが、これはとても基本的なことで、
今でも上司に今の自分の状況をきちんと伝えて、
相談して、指示を仰ぐという関係は、
とても重要であると言われています。

<参考文献>
Edger H. Schein 1978 Career Dynamics: matching individual and organizational needs Addison-Wesley
(二村 敏子・三善 勝代 1991 キャリア・ダイナミクス―キャリアとは,生涯を通しての人間の生き方・表現である.白桃書房)

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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