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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 破壊的イノベーションとしての電気自動車 (中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

破壊的イノベーションとしての電気自動車 (中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

09/07/07

■ 電気自動車の時代が来るのか?

電気自動車の歴史は長くその誕生は1873年ですが
1886年に登場するガソリンエンジンとのシェア争いでも
当初トラスミッションと始動動力が必要ではないという簡単な構造と
取り扱いの容易さから非常に優位でした。
これは自動車の揺籃期に当たる1895年当時のアメリカでは
電気自動車が500台位は普及しており
それに対してガソリン車というのはわずか300台にしか過ぎませんでした。
さらに1899年電気自動車がガソリン車より先に時速100キロの壁を突破し
性能面でも上回っていました。

しかし、1908年の「フォード・モデルT」(T型フォード)の登場によって
状況が一変しました。
T型フォードによって、ガソリン車の大量生産が始まりガソリン車の価格は
安くなって爆発的に普及しました。
結果として、ガソリンエンジンに多額の研究開発費を投入するようになったため
エンジンの技術が非常に急速に向上しました。
ガソリンと電気自動車との価格差が広がっていき
遂にディーラーの店舗から電気自動車が消えてしまいました。
もしも、T型フォードが電気自動車だったら
ガソリン車は普及しなかったんではないかと言われています。

■ 電気自動車浮上の背景

やはり環境対応車しか生き残れないというような風潮になりつつあるのですが
歴史的に見て落ちぶれてしまった
電気自動車の開発が復活した理由は意外なところにありました。
トヨタやホンダが実用化したハイブリッド車の普及は
意外にもそれまで存在が無視されてきた電気自動車の
技術向上をもたらしました。
トヨタは1997年に世界に先駆けてハイブリッド車プリウスを発売しました。
その後、燃料電池或いはハイブリッドという2つの選択肢に関し
日米の自動車産業はかなり研究開発投入して開発を行いました。
例えば、トヨタはハイブリッド車というのはエコカーの本命だということを
ずっと言っていまして
電気自動というのはその時代からあまり選択肢としてありませんでした。
ひそかにその研究開発を行っていたかもしれませんが
自動車メーカーの本音としては本命ではないということを言ってきました。
しかし、ハイブリッド車によって
モーターと電子制御部品の研究開発と量産化にかなり力を入れてきた結果
電子部品の性能が向上しコストダウンを実現しました。
まさにハイブリッド車の普及で、電気自動車の弱点だった
バッテリーとモーターという2つの難問に決着のめどがついた
という結果になります。

■ 破壊的技術としての電気自動車

破壊的技術というのは
既存企業の能力を破壊するような力を持っている技術として定義されていますが
電気自動車というのはまさに破壊的イノベーションとして注目されております。
要するに自動車メーカーにとっては電気自動車の普及というのはある意味
最悪のシナリオです。
ハイブリッドとバイオ燃料車、さらに省エネ型のディーゼルエンジンというのは
いずれも燃料をエンジン内で爆発させて動力を得る内燃機関ですが
これは既存の自動車メーカーの領域では十分対応できます。
しかし、電気自動車の電力源というのはモーターなので全く別次元の車になり
破壊的イノベーションの定義にそっくりなのです。
自動車メーカーが独自に開発しているのはエンジンとトランスミッションですが
この2つはモーターとインバーターで代替することが出来れば
自動車メーカーでなくても車は量産できるということになります。
極端な話、電池がガソリンと同じエネルギー密度になれば
世の中の車は全て電気自動車になります。また生産システムの
バリューチェーンも大きく変わります。パソコンや家電を見れば分かりますが
電子部品はモジュール化でコストダウンしていくので
電気自動車もモーター周りのメーカーが
モジュール化で周辺部品を取り組む可能性が出てきます。
まさにこれは、自動車技術と自動車産業にとってパワーシフト
というものをもたらしますが
当然既存の自動車メーカーはこれを無視するわけにはいきません。
今後、電気業界と自動車業界、更に半導体業界も含めて
どのように協同開発していくのか、あるいはお互いに競争していくのか
1つの流れとして注目すべきところではないかと思います。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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