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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > GM破産法申請(財務戦略/村藤 功)

GM破産法申請(財務戦略/村藤 功)

09/07/03

■GMの破産法申請
これまで何度もお話ししてきましたが、
今回はGMの破産法申請のお話です。
クライスラーがチャプター11を申請して、一月ほど経ち、
GMは一体どうなるのかと思って見ていましたが、
結局連邦倒産法11条適用を申請することになってしまいました。
アメリカ政府の事実上の傘下管理に入ったわけです。

クライスラーの場合は、大体一月ほどで裁判所により、
譲渡が承認されたということで、アメリカ政府はGMの場合も、
優良資産の譲渡を一月あまりで行いたいと言っています。
少し気になるのは、7月10日までに優良資産の譲渡を、
裁判所が承認しない場合は、政府は支援を撤回する、
と言っていることです。
これは結構大変なことです。もし一月で譲渡が出来ず、
支援を撤回することになると、一気に100万人あまりの失業者が、
発生してしまう可能性があります。
しかしクライスラーと同様に一月で出来るかというと、
GMとクライスラーの規模が全く違うため、少し心配です。


■労使交渉と債権者交渉
労使交渉は、クライスラーの場合もGMの場合も、
最後のところで何とかなりました。
ところが、債権者交渉は両方とも失敗してしまいました。
ここでは労使と債権者は両方のバランスが問題になります。
労使がうるさいため、とりあえず労働組合を黙らせよう、
ということになると、債権者が文句を言うという話なのです。
まず労使と、労務費を削減する、200億ドルほどあった、
医療保険債権の約半分を免除する代わりに、
普通株で17.5%受け取るということで合意しました。
それから2.5%のワラント、65億ドル分の、
優先株を譲り受けることで合意に達したのです。

ところが、債権者交渉は、債務の株式化を実現して、
政府とUAWの医療保険基金がGM株の89%、
債権者が10%を保有するという話になりました。
ここで債権者の9割以上の賛成がなければ、
チャプター11に移行するとしていましたが、
債権者は取得株が少なすぎるとして反発し、
期限の5月26日までに、9割どころか、
1割の同意も得られませんでした。
これはまずいということで、GMと政府が債権者のために、
少し条件を引き上げました。
10%株に加えワラント15%分で、債権者の合意を、
得ようということです。
しかし、これはチャプター11に突入した現在も、
まだもめている最中です。
この場合、新GMの出資比率は政府が72.5%、
UAW17.5%、債権者10%+ワラントになります。
政府72.5%の内訳はアメリカ政府が60%、
カナダ政府が12%です。
新しい提案には54%の債権者が応じる意向を示しました。
しかしチャプター11では、債権額の3分の2、
債権者の過半数の同意がなければ再建計画が、
承認されないため、これからまだまだ大変という状況ですね。


■メーカーとブランドの今後の再生計画
メーカーとブランドの再建、これが一番重要なところです。
新GMではシボレー、キャデラック、ビューイック、GMC、
という4つのブランドに集中することになりました。
ハマー、サターン、ポンティアックはやめることになっています。
一番の大物はオペルという、ドイツで、
フォルクスワーゲンと戦っているブランドです。
オペルをめぐっては、当初フィアットが欲しいと言い、
その後、カナダ自動車部品大手のマグナ・ロシアGAZ連合、
それからRHJインターナショナル(旧リップルウッド)、
中国の北京汽車などが名乗りをあげ争っていました。
しかし、結局カナダのマグナと組んでいた、
GAZという自動車会社が、メーンバンクのズベル銀行という、
ロシアの銀行に代わり、結局マグナ・ズベル銀行チームが、
勝ちました。
ただ、マグナがオペルをコントロールできるようになったかというと、
実はそうではなく、マグナの案では株式を20%持つだけです。
実はGMが35%、ズベル銀行が35%、オペルの従業員が、
10%持つということになっています。
そのためマグナが完全に責任を持って、
何とかするわけではないようです。
マグナ自体が世界で最も強い自動車部品会社の一つです。
GMも出資し、オペルをこれから成長するロシア市場で、
売ろうという考え方が背景にあるようです。
これからはロシアの影響が強くなってくるでしょう。


■ハマーの売却
ハマーを買収しようとしているのは中国の成都という、
四川省の省都にある、四川騰中重工機械という、
中堅重工機械メーカーです。
ただ、この企業は売上げが400億円ほどしかありません。
そのため中国内でも、蛇が象を飲めるのかと、
若干の疑いが生じているようです。
GMとしては、ハマーを四川騰中に売ることを、
暫定合意したようですが、実行するためには、
中国政府の承認が必要で、この承認がおりるかどうかは、
分かりません。まだ揉めているという状況ですね。
環境対応車が主流になってくる時代に、
このような大型のスポーツ・ユーティリティ・ビークルブランドが、
今後やっていけるのかというのは少し心配です。


■GM破綻の影響
GMがクライスラーに続いてチャプター11適用となったため、
4月以降は工場生産がかなり止まっています。
そのためクライスラーやGMに対して、
部品を納入している会社がかなり困っています。
またクライスラーは部品を買ってから組み立てて、
自動車を売るわけですが、自動車を消費者に売る際には、
ディーラーが間にいるわけです。
このディーラーをクライスラーでも25%は削減する、
という話になっています。
クライスラーは25%の削減を裁判所が認めたわけですが、
認めたからといって、ディーラーが素直に納得しているかというと、
まだ怒っている状況です。

GMも同様で規模を縮小することになるでしょう。
4つのブランド、シボレー、キャデラック、ビューイック、
GMCは残すけれども、ハマー、サターン、ポンティアックは、
やめるということになると、去年836万台売っていた販売台数が、
600万台ほどになってしまいます。
トヨタに続くフォルクスワーゲン、ルノー、日産などが、
大体600万台なので、GMは2位グループに、
落ちてくることになります。
そうなるとディーラーは現在ほど必要がなくなるので、
20~30%のディーラーがおそらく切られるでしょう。
切られるとディーラーの生活は立ち行きません。
生死をかけた部品メーカーやディーラーが、
契約条項を盾に裁判所に訴えるというようなことを、
始めているので、この問題は結構長引きそうです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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