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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 教育の多国籍展開(国際経営・国際ロジスティックス/星野裕志)

教育の多国籍展開(国際経営・国際ロジスティックス/星野裕志)

09/06/30

■教育の海外展開

昨日は製造業と同様に、サービス業も
海外に展開するというお話をしました。
今日はそのひとつとして、教育についてお話をしたいと思います。

もう10年くらい前になりますが、神戸にある
オックスフォード大学セントキャサリンズ・カレッジ
という大学の寮に1年間住んでいたことがあります。
おそらくオックスフォード大学のカレッジが、
日本の神戸にあることはほとんど知られていないと思います。

なぜかというと、日本の企業がバブルの時期に
寄付を集めて、オックスフォード大学を構成する
セントキャサリンズ・カレッジを神戸に誘致したからです。
本来は、おもにアジアの学生が、2年間日本で学んで、
後半の2年間を英国の本校で勉強することで、
学士号を取得することを想定したそうです。
ただ考えてみれば、物価の高い日本で2年間勉強するのであれば、
最初から英国に留学すればいいことになるわけです。
現在神戸に残ったキャンパスは、
研究者の宿舎やセミナーの会場として利用されています。


■日本に設立された海外の大学

これはほんのひとつの例ですが、
バブル期には多くの海外の大学が日本に進出し、
米国の大学だけでも30校以上が
日本に設立されていたようです。
私立、市立、州立など様々な形態の大学がありますが、
州立大学だけでも、ネバダ州、オレゴン州、ワシントン州、
アリゾナ州、オクラホマ州、フロリダ州立大学などが
1990年前後に設立されたようです。
ただ、それらのほとんどは5年以内に日本から撤退しています。

1982年に東京で設立されたペンシルバニア州立の
テンプル大学ジャパンキャンパス は、
現在でも残る数少ない海外の大学のひとつですが、
米国の本校に留学せずに、学士号を取得できる
日本で唯一のプログラムとのことです。
フィラデルフィアの本校と日本のほかにも、
ローマにキャンパスを有しています。

さきほどのオックスフォード大学や
日本でMBAが取得できる
カナダのマギル大学などの伝統のある大学も、
今まで日本で正式なコースを提供してきたわけですが、
欧米の著名な大学の中にも、本国以外にキャンパスをもって、
4年制の学部教育やビジネス・スクールなどを
展開していることも決して珍しくはありません。


■海外に進出する理由

なぜこのような教育機関が海外に進出するのかは、
企業の多国籍化と同様です。
先月の「折衷理論」による所有特殊優位、
立地特殊的優位、内部化優位の3つの要素を
当てはめてみるとわかりやすいかもしれません。

まず所有優位性ですが、それぞれの大学の持つ
優れた教員などの人材や教育のメソッドやカリキュラムは、
日本の学生に魅力的に映るのかもしれませんし、
留学せずに英語で学ぶということに
関心を持つ人もいるのでしょう。
次に立地の優位性ですが、一部には遠隔教育などの方法も
実施されているものの、実際に学位を授与する教育機関として
正式なプログラムを提供し、学費を受けることを思えば、
やはりその国に直接進出して、キャンパスを構える必要があります。
最後に海外に進出する方法ですが、
現地の大学と提携をしてプログラムを提供する方法と
直接に進出することが考えられます。
大学のもつ独自性の高いカリキュラムを
持って参入することの差別化やコスト、
日本の大学に比べて学費が高いことなどを考えると、
やはりリスクはあるものの直接に進出する
という選択がされるのかと思います。
内部化の必要性です。


■撤退の理由

企業と同様に、新たな市場を求めて進出してきた
海外の大学の多くが、今は撤退して存在しないことを考えると、
その理由はいくつかあるかと思います。
やはりバブルの時期であり、日本の企業や自治体に
誘致されて日本に進出してきたけれど、思ったほど
利益があがらなかったことも理由のひとつだと思います。
また、実際には日本での大学卒業資格が得られないことや、
語学力をとっても本校とは大きなレベルの差が生じたことも、
学生が集まらなかった理由かと思います。

いずれにせよ、教育機関も海外に投資し、
新たな市場を確保することを狙っている
ということは企業とまったく同様です。
ただ、海外の大学の日本校については、
バブル期のひとつの現象であったように思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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