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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > サービス産業の多国籍展開(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

サービス産業の多国籍展開(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

09/06/29

先月の9日と10日に、
企業がリスクのある海外に事業を展開し、
さらになぜ多国籍企業化を図るのかについて、
具体的なプロセスと理論で説明しました。

所有特殊優位、立地特殊的優位、内部化優位の
3つの要素をもって検討した時に、それらの3つが
すべて企業に備わっている場合には、
直接投資をするという判断がなされるとしています。
つまり、自社の子会社を現地に設立して
事業を展開するということです。
これを所有・立地・内部化の要素を合わせて、
「折衷理論」もしくは、「OLIパラダイム」と説明しました。


■多国籍化する企業

前回、日本の代表的な多国籍企業として、
Fortune誌による売り上げの世界のトップ500社の中には、
トヨタ、ホンダ、日立製作所から始まって
64社の日本企業が含まれていると説明しました。
これらの企業の直接投資を見てみると、
2007年の集計で出資比率が20パーセントを
上回る子会社の数は、製造業の中で
最も多いパナソニックで203社になります。
そのうちの53社が中国に設立されています。
次はホンダの144社、SONY、オリンパス、
東芝と代表的なメーカーが並んでいます。

ところが、これらのメーカーよりも
はるかに多くの子会社を海外に展開しているのが、
総合商社などの非製造企業です。
最も多くの子会社を所有する豊田通商で335社、
住友商事の322社、三菱商事の281社以下、
トップの10社のうち総合物流業の日本郵船と
日本通運以外は、すべて総合商社が占めています。


■非製造業の多国籍化

今日と明日は、サービス産業を中心とする
非製造業の多国籍化について、お話をしたいと思います。
財務省の対外直接投資の統計によると、
平成19年度の日本からの対外直接投資額は、
13兆2千億円でしたが、そのうちの約三分の二の
8.6兆円が非製造業でした。
具体的には、金融・保険業の海外直接投資額は
抜きんでて多く、小売業の海外投資額も自動車や
家電や機械などの製造業のどの分野よりも多く、
1兆3千億円が投資されました。

特にこの年は、株の割安感と円高に加えて、
金融機関の自己資本比率に関するバーゼルⅡを
クリアするために、優先出資証券を発行したから
ともいわれていますが、プラザ合意以降に
多くのメーカーが、販売子会社や製造拠点を
海外に設置したこととは、様変わりをしているように見えます。


■サービス産業の海外進出

かつて日本のサービス産業の海外進出はなかなか困難でした。
それはサービス産業に特有の問題もありますし、
さらに日本のサービス企業にはなかなか国際競争力が
足りなかったこともあります。

マーケティングの著名な研究者であるコトラーによれば、
サービス産業には4つの特性があります。
無形性、非分離性、変動性、即時性です。
無形性とは形がないので、購入するまで
成果や効果がわからないことです。
非分離性とは、生産と消費が同時に行われて、
サービスの提供者と顧客が一体化していること。
変動性とは、サービスが提供される場所や
タイミングで大きく変化することです。
最後の即時性とは、蓄積ができないので、
需要と供給の変動の幅が大きいことです。

もう少しわかりやすく言うと、
日本が世界に誇る自動車や家電品などは、
品質や価格やデザインや機能が優れていれば、
世界中の顧客が自分で納得して購入することになります。
ところがサービスは、極めて属人的であって、
誰もが納得させられるレベルのサービスが提供され、
その評判が浸透するのはなかなか困難です。


■サービス企業のターゲット

そうなると、日本のサービス企業が海外で展開するには、
海外でほとんど日本人だけにサービスを提供するか、
日本の顧客企業に追随して進出する方法が
主流であったと思います。
前者は、航空会社、ホテル、旅行代理店、
総合商社などが代表的です。
つまり海外で、日本人を主な対象として
サービスを提供することになります。
後者は、金融機関や広告代理店、監査法人などが、
クライアントの企業の海外進出に追随して、
国内と同様のサービスを提供する目的で
現地法人を設立することです。
いづれにしても、サービスの中心は日本人であったといえます。

そのような中で、完全に現地の人をターゲットとして、
現地市場に進出する小売業などは、
独自のノウハウを蓄積しながら、海外に直接投資を行う
新しい国際経営の形態ともいえます。
明日は教育の多国籍展開について、考えてみたいと思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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