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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ムハマド・ユヌスから学ぶ2(国際企業法務/岡田 昌治)

ムハマド・ユヌスから学ぶ2(国際企業法務/岡田 昌治)

09/06/17

■ソーシャルビジネス
前回、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士について、
お話しさせていただき、今回はその続きです。

言葉が正しいかどうかは分かりませんが、世界には先進国と、
開発途上国間の問題、即ち南北問題と言われている問題があります。
この地球の上で持てる国と、貧困に瀕している、持たざる国とがあるわけです。
その中で、資本主義や社会主義が、この数百年の期間に誕生し、
またそのようなイデオロギーや考え方が、それぞれ、崩れてきました。
社会主義は社会主義で壊れ、資本主義は資本主義で、
崩壊してしまったため、次は、何をすれば?という社会になってきました。
現状を見てみますと、地球上の人口の4分の3は貧困に瀕し、
12億の人たちは1日1ドル以下で生活しています。
このような社会を見て、貧困をもう少し現実的に受け止め、
それに対して、何か行うべきだということが「ソーシャル・ビジネス」、
の根本にあると思います。
チャリティや慈善活動は、ある意味では、自己満足の世界なのです。
それをもらった人たちは、一時期には潤うかもしれません。
しかし、彼らの生活の中にシステムとして「自立」を植え付けないかぎり、
貧困からは絶対に脱することはできないということだと思います。


■グラミン銀行
そのソーシャル・ビジネスの火付け役となったのが、
前回もお話ししましたマイクロ・クレジットあるいは、
マイクロ・ファイナンスで有名なグラミン銀行です。
先日、ユヌス博士にお聞きしたら、貸し出すお金の平均額は、
9ドルほどだそうです。
お金をもらった女性は、それを元手に、たとえば、
洋服をフリーマーケットのような場所で売ったりしながらお金を稼ぐ、
生活をつないで自立していくというケースが非常に多いようです。
ユヌス博士は、女性は子供を育て、ご飯を作ったりするため、
金銭感覚が男性よりも優れているとおっしゃっています。
そこで、女性にお金を貸すことで自分でビジネスを展開していけると、
考えたようです。
そのグラミン銀行は、1983年に正式に設立されました。
その後、グラミン・グループとして、次々と様々なビジネスを展開しています。
例えば、携帯電話会社のグラミンコミュニケーションなどがそれです。
あるいは、グラミンとヨーロッパの会社でジョイントベンチャーも、
多く設立しています。
例えば、ダノンというヨーグルトの会社とジョイント・ベンチャーを、
バングラディッシュに設立して、安くヨーグルトを販売する、
ということも行っています。
それもソーシャルビジネスです。
ユヌス氏は、まず、ダノンは絶対に儲かってはならない、
ということを提示した上で交渉を始めました。
それでも、両者は合弁会社設立の契約を締結しました。
今でこそ、CSRなど企業の社会的責任が叫ばれていますが、
そのCSRをソーシャル・ビジネスというビジネスとして行っているのが、
グラミン・グループの昨今の動きです。


■日本のソーシャル・ビジネスのこれから
ソーシャル・ビジネスの日本での可能性ですが、
ユヌス博士は日本には非常に期待しているとおっしゃっていました。
特に日本の技術力に期待されています。
例えば、日本の様々なメーカーやエンジニアの方々、
企業が持っている技術は、本当に素晴らしいレベルなのです。
ユヌス博士は、それをバングラディッシュという国をテストベット、
すなわち実験場にして、開発途上国用のもっとシンプルで、
もっと低価格で、かつ使いやすいアプリケーションを、
一緒に開発しましょうと言っておられます。
そのテストベットで試験して出来たアプリケーションを、
4分の3の世界の人口を占めている開発途上国に、
ソーシャル・ビジネスとして提供していきませんか、
と先進国に対して提案されています。

ダノン社の例のように、基本的にほとんど儲けは期待できません。
しかし、経営者あるいは企業は、無私の部分、いわゆる社会貢献、
という部分も持っているとユヌス博士は言われます。
最近、資本主義が壊れた理由は、最大利益を追求した結果、
私利私欲を追求した結果だと思います。
その反省として、これからは、もっと自分自身を見つめてみましょう、
ということです。
きっとそこには、社会のため、あるいは人のためという自分がいるはずです。
これは、個人であれ法人であれ同じだと思います。
その無私の部分をもう少し大事に使わないといけないでしょう。
ただ、誤解のないように言っておきますと、ユヌス博士は、
ソーシャル・ビジネスだけをやっていこうと言われているわけではなく、
いわゆるこれまでの伝統的な利益追求をするビジネスも、
やってくださいと言われています。
それもやりながら、ソーシャル・ビジネスもやるという、
そのようなバランスが、これから非常に大事ではないかということなのです。

結局そのようなキャピタリズムが壊れたのも、個人の中にあるバランスが壊れ、
私利私欲に走ってしまい、それが法人・個人として、あるいは、
国として起こった結果、現在のような恐慌が起きてしまう、
ということなのでしょう。
これを修正するためには、やはり人間本来の道徳的な、
良心的な人間を自分の中に見出して、それをベースにしたビジネスを、
やっていくことが21世紀の世界に大事ではないかと思います。


■九州大学での動き
現在、九州大学として、グラミン・グループと様々な連携の可能性について、
検討をしています。
グラミン・クリエイティブ・ラボというものを両者で設立する計画があります。
現在、グラミン・グループは、グラスゴー大学、ベルリン大学などと、
グラミン・クリエイティブ・ラボを設立しています。
ソーシャル・ビジネスの研究・教育のための機関を大学の中に設立する、
というプロジェクトです。
もう1つは、先程も申しました日本の技術をグラミン・グループと一緒になって、
開発途上国向けの新しいアプリケーションを開発していく、
というプロジェクトを検討しています。

分野: 岡田昌治准教授 |スピーカー:

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