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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ムハマド・ユヌスから学ぶ(国際企業法務/岡田 昌治)

ムハマド・ユヌスから学ぶ(国際企業法務/岡田 昌治)

09/06/16

■ムハマド・ユヌス博士
今回は、ムハマド・ユヌスから学ぶというテーマです。
ムハマド・ユヌス博士といえば、ノーベル平和賞を2006年に受賞され、
福岡にも縁がある方です。モーニングビジネススクールをお聞きの方は、
ビジネスやビジネススクールにご関心がある方が多いと思いますが、
今回は少し視線を変えて、心が洗われるお話をさせていただきたいと思います。
ユヌス博士はノーベル平和賞を受賞されていますし、
2001年に福岡アジア文化賞大賞を受賞されています。
実は今年の9月、26~28日に、ユヌス博士はまた来福されます。
今年のアジア文化賞の授賞式にプレゼンターとして来福されるのです。
母国バングラディッシュでされていることをお聞きすると、
慈善家というようなイメージもありますが、
ユヌス博士がおやりになっていることはまさにビジネスであり、
氏が言うところの、所謂、「ソーシャル・ビジネス」です。
私は、今年の3月に神戸大学で開かれたシンポジウムで、
ユヌス博士と初めてお会いしました。
ユヌス博士のお顔をご存知の方も多いと思いますが、
実際に会ってみると、本当にオーラを感じます。
しかしお忙しい方で、その時もニューヨークから帰る途中でした。
またその後にパリに行かれました。
世界中を回られてお疲れなのに、それを表に出さない方でした。
私も、生まれて初めて、ノーベル賞受賞者とお会いできた、
すばらしい経験でした。


■グラミン銀行の設立
ムハマド・ユヌス博士は、グラミン銀行を設立されたことで有名です。
ユヌス博士自身は、バングラディッシュの小さな村で、
1940年にお生まれになりました。
とても教育熱心なお母さまの下で、一生懸命小さい頃から勉強しました。
そして1970年頃に、アメリカに渡り、経済学を学び、
アメリカの大学で助教授を2年ほどお勤めになられて、
1973年頃にバングラディッシュに戻られました。
母国バングラディッシュの貧困からの脱出のために、
何かをやりたいというお気持ちで帰国されました。
それに加えて、翌年の74年には大飢饉がありました。
皆さんもよく覚えておられることと思います。
その惨状を見て、何かしなければならないと思われて、
1976年に自分の資材を投げ打って、今でいうところの、
マイクロ・クレジットを始められたのです。

47人の女性に合計で27ドルという微々たるお金を貸し、
女性たちはそれを元手に、自分で様々な仕事を起業していったのが、
その始まりです。
その後、83年に法的にも認められたグラミン銀行を設立されました。
ユヌス博士のお話を聞くとその設立も大変だったようです。
要するに、当時のバングラディッシュ政府に対して、
このようなマイクロ・クレジットの銀行を作りたいと申請したのですが、
低所得者に貸し付けるわけですから、当然そのような銀行が、
成り立つわけがないと言われて、拒絶されてしまいました。

しかし、次第に実績が付いてきて、83年に遂に認められて、
グラミン銀行が生まれました。
この銀行は無利子だとお思いの方もいるでしょうが、
実は20%ほど利子を取ります。
ただ、バングラディッシュは、未だに物価上昇率が10%以上ですから、
20%といってもあまり大きな額ではなく、また複利ではなくて単利なので、
実質的には、それほど高い利率ではありません。
グラミン銀行のもう1つの特徴は、お金を借りる人々に、
5人組を作らせたことです。
女性だけの5人組を作らせて、最初の1人にお金を貸します。
そしてその1人が返したら、次の1人に貸す。
それをまた返したら、残りの2人に貸すという方法を採ったのです。
これは、連帯保証ではありません。
ところが、この5人については一人一人、責任が分担されています。
一見、昔の日本で行われていた五人組のように見えます。
これは日本では講(こう)と呼ばれていましたね。
このグラミン銀行のすごいところは、現在バングラディッシュで、
660万人位がグラミン銀行からお金を借りられていますが、
その内の97%が女性であり、しかも借りたお金の98%が、
戻ってきているということです。


■広がるマイクロファイナンスとソーシャルビジネス
実際にマイクロファイナンスは、世界中に広がっていまして、
23ヵ国、主に開発途上国やアフリカとでも既に使われています。
ビジネスモデルの特許を取っているわけでもありませんから、
ユヌス博士の例から学んで広まっているのです。
現在、世界の人口の大体30億人ほどが貧困に瀕している、
と言われていますが、その30億の内の5億人ほどが、
既にこのマイクロファイナンスやマイクロクレジットを利用されている、
という数字もあります。

このようなビジネスが成立するのは、人間というものについて、
ユヌス博士が色々と考えられた結果だと思います。
それがユヌス博士の言う、ソーシャルビジネスと言われているものです。
ユヌス博士の言葉を借りると、「貧困を救うためのビジネス」です。
慈善事業や、チャリティでもなく、ボランティアでもありません。
それらでは貧困を救うことはできないのです。
それらはその場限りのお金の施しに過ぎず、本当に貧困を救うためには、
その貧困に苦しんでいる人たちが、自らビジネスを行い、
自立する必要があるのです。
その為のサポートを行うことが、ソーシャルビジネスだとおっしゃっています。
グラミン銀行がまさにそうです。
次回、更に詳しくお話させていただきます。

分野: 岡田昌治准教授 |スピーカー:

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