QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 東京ホテル戦争(財務戦略/村藤 功)

東京ホテル戦争(財務戦略/村藤 功)

09/06/12

■東京ホテル戦争
今回は、東京ホテル戦争についてお話しします。
私は十数年前、1990年代の初めにファースト・ボストンという企業で、
M&Aアドバイザーを務めていました。
その時に、リージェントホテルチェーンというアジア有数の、
ファイブ・スター・ホテルチェーンを、フォーシーズンズ・ホテルチェーンに、
売却するお手伝いをしたことがあります。
そのような経験もあってホテルチェーンには多少の興味があります。
しかしその頃は、日本にはあまり外資系の高級ホテルはありませんでした。

日本には古くから帝国ホテル、ホテルオークラ、ニューオオタニの、
御三家があります。
外資系のファイブスターのホテルは殆どありませんでしたが、
近年、あっという間に沢山出来てしまいました。
90年代の前半に、椿山荘近辺にフォーシーズンズ、新宿にパークハイアット、
恵比寿にウェスティン東京などが出来始めました。
これがはじめの外資系御三家と言われています。

その後更に参入が相次ぎました。
2003年に、六本木ヒルズの中にグランドハイアットが出来てから、
ペースが速まり、2005年には、マンダリンオリエンタルと、
コンラッド東京が出来ました。
マンダリンオリエンタルは日本橋の三越本店の前で、
コンラッド東京は汐留の辺りです。
さらには2007年になって、リッツカールトンとペニンシュラの2つが出来ました。
そのため東京では2007年ホテル戦争と言われていました。
リッツカールトンは、六本木の防衛庁跡地で、三井不動産が開発した、
東京ミッドタウンの中にあります。
私も、経済同友会の4火会でご一緒している現在三井不動産顧問で、
元社長の佐藤さんに東京ミッドタウンを案内してもらったことがあります。
彼らが大規模開発を行う際は、やはりファイブスターホテルを呼びたい、
ということが結構あります。
六本木や汐留、日本橋などで都市開発ブームが起こっています。
そのような開発を盛り上げようとすると、話題性の高いスポットとなるものを、
是非誘致したいと考えるのです。
そこでファイブスターホテル、キラキラのレストランや海外ブランド、
巨大ホテルを誘致するというのが1つの典型的なパターンとなっているのです。
しかし一泊6~7万円はするホテルです。
リッツカールトンのスイートは一泊200万円もするそうです。

金融危機の大騒ぎで、外資系企業のお客さんが東京にあまり来なくなってしまい、
ホテル業界はかなり厳しくなっています。
しかし厳しくなった状況でも、まだ新規オープンしているホテルがあります。
今年3月に、東京駅の八重洲大丸の横、丸の内トラストタワーの中に、
シャングリ・ラというホテルができました。
シンガポール発祥のシャングリ・ラは、豪華なシャンデリアが、
50燈以上も中にあるきれいなホテルです。
出店を企画したのはおそらく金融危機の前で、工事中に金融危機が来て、
困ったことになったということだと思います。
私たちには6~7万の宿泊料は払えないので、お茶を飲みに行く程度なら、
いいかもしれませんね。


■外国からの観光客
日本は、観光立国になりたいということで、2010年に1千万人、
2020年に2千万人のお客さまにお越しいただく企画を盛り上げていました。
ところが、今回の金融危機で、来訪者数が一気に減ってしまいました。
外資系の高級ホテルも客室稼働率が急低下してしまいました。
客室が半分ほどしか埋まってない、4割しか人が来ない、
というホテルもあります。
ここで、その損は誰のものかというのが問題です。
実は、これらの外資系高級ホテルはブランドだけを借りていて、
日本の会社がその損益を取るところと、ブランドだけでなく、
マネジメントも行っていて、稼働率が低い際は自分が損失を被る、
というホテルに分かれています。リッツカールトンや、ペニンシュラは、
自分で損益を取るホテルですから稼働率が下がったら、
値段を下げても稼働率を上げなければならない状況です。
そういう意味では、今は宿泊するチャンスかもしれません。
インターネットや、クレジット会社経由だと、週末でなければ、
半額ほどで泊まれることになるでしょう。


■日本のホテル
日本には、ホテルのほかに旅館だとか温泉付き旅館だとか、
というものがあります。
都内なら、温泉が付いている国際的なホテルというのは殆どない、
と皆さんお考えと思います。
ところが、イギリスのガイドブックなどでは、東京ベストホテルの、
2位にランクされているのが、実は、吉水という旅館です。
1位がマンダリンオリエンタル、2位が吉水です。
吉水をご存知ない方が多いと思いますが、実は銀座にあります。
銀座にありますが、一泊2万円もしません。1万円ほどですね。
しかし11部屋しか部屋数がありませんし、中に入ると、
テレビも冷蔵庫もありません。
布団も自分で敷いてくださいという旅館です。
ただ、土壁で、無農薬の畳で、無農薬の浴衣で、掃除は、
掃除機ではなく、ほうきで行います。
仕入れは毎日、おかみさんがおいしそうな新鮮な野菜と魚を買ってきます。
このように何となく気持ちいいというところですし、外国の人からすると、
そのような旅館の方が日本の文化に触れられる気がします。
このように、全く別の形態の旅館がホテルランキングの、
上位に入っているということです。
立派なホテルを作ればいいというものではないのでしょう。
九州の湯布院や黒川温泉も、たくさんお越しいただいて欲しいですね。

旅館以外の日本勢は外資系のファイブスターホテルの参入で、
本当に競争に勝ち残れるのか不安になっています。
例えば帝国ホテルでは、日比谷交差点の一番いい場所に、
ペニンシュラホテルが来るのを見ながら、2008年までに、
5年間で170億円位かけて改装することにしました。
また自分だけでは心配だということで、グランドハイアットを行っている、
三井不動産にオーナーになってもらいました。
サーベラスが持つ国際航業が帝国ホテルの株式を40%ほど持っていたので、
その大半である33%を三井不動産に買い取ってもらったわけです。
サーベラスとは、前回お話ししたクライスラーの騒動で、
ダイムラーと共に大損をした企業で、有名なプライベート・エクイティー・ファンド
(private-equity-fund、非公開株式買収ファンド)の一つです。
このように帝国ホテルは三井不動産の出資を仰ぎ、またホテルオークラでは、
リーガロイヤルホテルを経営するロイヤルホテルグループと、
去年の5月に業務提携することになりました。
どことも提携していないニューオオタニは、遂に稼働率が40%を切ってしまい、
このままで大丈夫なのかと心配しています。
今年になって37%だというような噂も飛んでかなり厳しい状況のようです。

このような状況では、流石に新しいホテルが建つ動きはしばらく止まるでしょう。
日本系の出資がされているホテルでは、地方では、
一部建設を継続しているものもありますが、ほとんどのホテルは、
様子見をしようという状況になってきています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ