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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 最近の中国自動車業界事情(国際企業戦略論/永池 克明)

最近の中国自動車業界事情(国際企業戦略論/永池 克明)

09/06/04


■中国経済の復調
今回は、中国の自動車業界事情のお話です。
最近の中国では、景気刺激策が上手くいきつつある、
というトピックスが出てきています。
昨年来のアメリカ発の金融危機や世界同時不況で、主要各国の経済は、
軒並み大きく落ち込んでいます。
しかし中国は今年の3月5日から13日にかけて開催された、
全人代(全国人民代表大会)で、近年の経済成長率を8%成長を、
依然として目標として掲げ、包括的な景気刺激策を打ち出しました。
それによって、内需、特に個人消費を刺激すること、また技術革新を行う、
過剰気味の設備を整理・廃棄して産業構造を変えることを決定しました。
そのために約4兆元という非常に思い切った、
巨額の財政支出を行うことを決定しました。

その効果がすでに出てきたのかどうかわかりませんが、
今年の1~3月期の経済統計を見ると、かなりの数の経済指標が、
いい方に向かいつつあります。
これが本格的に景気の底を打ち、回復基調に移ったポイントとなるかという判断は、
まだ慎重に見守る必要があります。
しかし、いずれにしても、明るい材料が出てきたことは確かです。
3月に入ってからのアジア主要企業の対中輸出は上向き始めています。
例えば、シンガポールの対中輸出は、前期比で29%の増加です。
また、日本や韓国、台湾からの対中出荷も増えています。
特に、エレクトロニクスで台湾の友達光電など、自動車では日産自動車、
韓国の現代自動車などが、3月に対中輸出で売り上げを伸ばしています。


■中国の自動車が仕掛けるM&A
中国の自動車業界の動きを最近の統計から見てみましょう。
中国汽車工業協会(日本でいえば自動車工業会に相当)がまとめた、
最新の統計によりますと、3月の中国のメーカー別乗用車の販売は、
特に1600cc以下の小型車が、減税の対象になるということもあって、
2月に続いて非常に伸びているようです。
従って、商用車も含めた、3月の中国の新車販売台数は、
前年度比で5%の増加となっています。
台数にして119万9800台ということで、単月ベースで過去最高を記録しています。
乗用車がその内77万台ということで、伸び率では全体よりも高く、
2桁の10%の増加です。
今年1~3月を通しての前年同月比が、中国では8%の増加ですから、
世界の国別市場規模では、遂に世界トップに踊り出たという統計となっています。
このように中国国内の自動車メーカーの調子がよければ、
中国自動車メーカーもより融資を拡大しようという動きに出ます。
4月の下旬に上海モーターショーが開催されました。
ここには、大変な数の世界の自動車メーカーが出展しました。
特に、中国の自動車業界は、最近とても活発です。
まさに今が、海外勢を追い上げるチャンスだという気運が高まっているわけです。
例えば、広東省にある、通常はBYDと略称される新興自動車メーカーの、
比亜迪(ヒアチュウ)、また遼寧省の華晨(カシン)汽車、
さらに浙江省の吉利汽車などが、国内販売を伸ばしていると同時に、
欧米市場に打って出ようと、本格進出を目指して、売り込みをかけています。
時あたかもまさに、アメリカのビッグ3の解体が始まったということもあって、
中国メーカーは、こぞって今がチャンスと見て、ビッグ3や海外メーカーの、
ブランド買収に積極的に動き出そうとしています。

クライスラーはフィアットが買収することになりました。
フォードは比較的大丈夫という状況ではありますが、
今後はGMもどうなるか分からない状況です。
そういった中で、例えば、GMの不採算部門を切り売りしよう、
という動きがあります。
フォードも一部では、そのようなことを考えています。
中国メーカーはそこを狙おうと考えているわけです。
中国メーカーが買収に期待するのは、ブランド、技術、知的財産、
あるいは海外での販売網です。
これらを一挙に手に入れて、先進メーカーとの距離を一気に縮める。
そのための最大で有効な手立てが、まさにM&Aなのです。

過去、2004年には、上海汽車が、韓国の双竜(雙龍、サンヨ)自動車を、
買収しました。
また2005年には南京汽車が、イギリスのローバーを買収しました。
過去にはこのような実績があります。
また今年に入っても、3月に吉利汽車が、世界2位の変速機メーカー、
オーストラリアのDSIを買収しました。
それから、重慶市にある、大手の長安汽車が、スウェーデンの、
ボルボの買収に向けて、フォードから株式譲渡を受ける見通しです。
この買収額は、12億ドル、約1190億円となっています。
それだけでなく、様々な会社が、アメリカ、ヨーロッパの海外自動車メーカーの、
買収に乗り出そうと、ひしめいています。
また、GM傘下のアメリカで最も大きな自動車部品メーカーである、
デルファイのブレーキ部門を北京にある京西重工が買収しました。
このように、部品メーカーでもM&Aの話が出てきています。


■買収した後の経営手腕が課題
韓国の双竜自動車を買収した上海汽車は経営に苦労して、
遂に更正法の適用を受けてしまいました。
それから、国は違いますが、インドのタタ自動車も、昨年、フォードから、
イギリスのジャガーやランドローバーを買収したのですが、
その後は苦戦しています。
このように買収後の企業をどううまく経営していくか、
という経営手腕が問われることになるでしょう。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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