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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > イノベーションの普及プロセス (中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

イノベーションの普及プロセス (中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

09/06/02

イノベーションは、具現化された製品やサービスを市場に提供し、
それが市場に受け入れられて初めてイノベーションの経済的成果が実現されます。
普及せずに終われば、単に発明・発見・思いつきにしか過ぎません。
社会に広く普及してこそ、イノベーションとして重大な意味があります。
この普及プロセスはどのようになっているのかということについては
いろんな議論がありますが、最近主流になっている一つの見方には、
技術の固定な論理に従って客観的に進行するものではなく、
イノベーションに関わる人々、社会集団の評価、
解釈により普及するというものがあります。

■ 技術の普及曲線
アメリカの社会学者ロジャースはイノベーションの普及プロセスとは、
「あるイノベーションがある社会システムの構成員の間で、
なんらかのチャネルを通じて経時的に伝達していく過程」と定義しています。
要するに社会の構成員は新しい技術、
製品を一斉に採用するわけでないということです。
彼は「普及曲線」とう概念を提示しておりますが、
これは釣鐘のような正規分布の形をしています。
要するに、普及の過程は、イノベーションを受け入れる人間の認識や信念、
その背後にある文化的社会的、制度的文脈に大きく影響されます。
これについてロジャースは大変面白い事例を紹介しています。
ペルーのある小さい村で、衛生管理の為飲み水を煮沸するキャンペーンが
80年代に2年間にわたって実施されました。
しかし派遣された専門家の努力にも関わらず、
この煮沸の習慣を受け入れたのは200家族中わずか11でした。
意外な結果ですが、村には伝統的に病人だけが
熱い水を飲むという信仰があったことに加え、
外部の専門家がこの伝統を理解しなかったため、
村の実力者の協力を得られなかったことで、
この煮沸キャンペーンは失敗に終わりました。
この習慣を受け入れた少数派は病人あるいは
村のアウトサイダーでしたが、ここで派生的概念としては、
オピニオンリーダーという概念があります。

■オピニオンリーダーの役割
ロジャースの普及曲線に従えば、
この正規分布の中で平均偏差から2倍以上乖離しているところは
全体の約1.5%を示しており、このグループに所属している人々というのは、
他人よりいち早く新しい技術を採用する人々と定義され、
革新者(イノベーター)と呼ばれます。
新しい技術と製品に対して、全ての人々が同じような反応を示したわけではなく、
革新者と初期少数採用者は、外部からの情報を元にして
自分なりの判断を直接加えることが多いのです。
これに対して、その後に採用する人々は
革新者あるいは初期少数採用者の意見を参考にすることが多いのです。
例えばパソコンを全く知らない人々の購入パターンを考えてみてください。
全く使用経験のない製品に対して、誰かの意見(口コミ)にかなり影響されます。
ただ初期の段階で、少数でもそれがじわじわ伸びていくケースもありますが、
結局はオピニオンリーダーあるいは初期少数採用者に対して、
どのようにアピールするかが最重要ということです。
したがって少数でも、それを現存させていく戦略を企業としても考えざるをえないでしょうし、
先の煮沸の例では衛生管理の専門家が村の実力者にもっとアピールしていけば、
上手くいったかもしれません。
コミュニティーの中で、外部からの情報を伝達していく役割が必要です。
オピニオンリーダーというのは、まさにこうした役割を果たす人々なので、
コミュニティーの意見形成上、非常に主導的な役割を果たしています。
なぜなら、後に技術が定着してから技術を採用する、
追随者と呼ばれる人々は自分で判断することはあまりなく、
誰かの行動に影響されて行動をとりがちだからです。
従って技術、新製品を普及させるには、
オピニオンリーダーである初期少数採用者に対して、
どのようにアピールするかが、企業にとっては非常に大きな問題であると思います。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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