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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 2008年対中投資実績と日系企業アンケート(中国経済と産業/国吉 澄夫)

2008年対中投資実績と日系企業アンケート(中国経済と産業/国吉 澄夫)

09/06/01

ジェトロ(日本貿易振興機構)が、
昨年11~12月中国、韓国、香港、台湾進出
日系企業に対して、経営実態アンケートを行い、
今年4月に報告書を出していますので、
今日は対中投資に関連して、その内容を紹介したいと思います。
まずは、その前に、2008年の
対中投資実績の概要についてお話します。


■2008年対中投資実績

2008年の世界からの中国への投資は、年の後半、
国際金融危機の影響があり、下降局面に入ったものの、
通年では対前年比23.6%増の923億9554万ドルと、
過去最高を記録しました。
業種別では、製造業54%、非製造業44%と、
従来にくらべ、卸・小売業、運輸・郵便業など
非製造業が伸びているのが特長です。
以前は、ほとんどが製造業でしたので、
非製造業が本当に大きく伸びました。
地域的にはこれまでの沿海地域中心から、
北の遼寧省、吉林省など東北三省や
四川省、重慶市など西部地域への投資が
拡大しているのも特長です。
市場として大きな魅力を秘めた地域ということもあり、
投資が拡大しているものと思われます。
投資国・地域から見ると、従来どおり、香港や、
タックスヘイブン地域(バージン諸島、ケイマン諸島)経由や、
シンガポールなど、華僑資本の直接投資が
過半数を占めている中で、ヨーロッパからの投資も
継続的に伸びており、日本からの新規投資を上回っています。
一方で、韓国からの投資は
大幅に落ち込んでいるのも特長です。


■日本からの投資

日本からの対中投資は、
一時期、2、3年前、少し落ちこみましたが、
ここのところ、また持ち直しました。
2008年の投資実績は、中国側の発表数字では
37億ドルで、対前年比1.8%と微増ですが、
統計数字としての日本側の財務省統計では
6700億円となっており、対前年比▲8.3%です。
ドル換算で67億ドルですので、先に述べた
中国商務部発表数字と30億ドルの開きがありますが、
要は、中国側統計はその年の新規投資と増資のみの
集計であるのに対して、財務省統計は再投資収益や
親会社からの借り入れなども含まれているのが乖離の理由です。
日本側の数字では、2005年~2007年
3年連続7000億円超を続けてきました。
いずれにせよ、対中投資は電機、機械、
化学・医薬、卸・小売、不動産などで、
まだ旺盛な投資が続いています。
具体的な案件としては、王子製紙の南通製紙プロジェクト、
イオンの北京ショッピングモール、アサヒビールの
江蘇、山東ビール製造合弁などなどがあります。


■ジェトロ日経企業アンケート

ジェトロの進出企業アンケートの対象は、
中国、香港、台湾、韓国に進出している
日系企業1760社で、有効回答713社でした。
その内454社が中国で、香港98社、
台湾99社、韓国62社です。
中国の会社が6割以上を占めるので、中国の動きが
中心となってデータに現れているのではないかと思います。
また、製造業と非製造業の比率は大体6:4です。

アンケートによると、2008年に黒字を計上した企業は
製造業では中国で59.6%と、
他地域(香港81.3%韓国80%台湾71%)に比べて低いものの、
2009年の見通しでは、
改善ないし、横ばいとした企業が64%と、
香港31.3%、台湾48.4%より大きく、
中国市場の拡大で売上が伸びることで
業績改善の糸口を探っているようです。
非製造業(金融なども含む)でも黒字計上企業は
中国で59.1%。他地域より低いものの、
国際金融危機の中、2009年の見通しとして
「改善ないし横ばい」と答えた企業が72%と、
製造業と類似の傾向が見られます。
企業に、「改善の糸口は何か?」と聞くと、
「中国の国内市場」と答える企業が多く、
急速に回復する中国を見て、
このような結果になっているのではないかと思います。

また、今後1~2年の事業展開の方向に関する質問では、
「規模拡大」と答えた企業は製造業では、
中国で55.8%、香港46.7%、台湾35.6%、韓国60%であるが、
何れも対前年比減少し、
特に中国は4年連続減少となっています。
しかし、対中進出の「規模縮小」と答えたのは
たったの5%で、95%の企業が
現状維持ないしは規模拡大と答えています。
非製造業でも中国事業の「規模拡大」が70.9%、
「現状維持」26%と、規模縮小は
わずか3.2%にしか過ぎない回答でした。
現状維持、もしくは拡大というのが圧倒的だということです。


■中長期的展望 -「チャイナプラスワン」をどう見るか-

さらに、5~10年の中長期的展望において、
生産拠点として最適と回答した地域は「中国」が68.6%と、
ベトナム(7.2%)、インド(3.5%)を圧倒しています。
今既に、アジアに出ている企業の多くは、
継続して中国に注目しているようです。
これは、多くの日本企業のモデルがあり、
行きやすいということもありますが、
それ以上に、中国は市場として大きな魅力を
持っているからだと思います。
アンケートでは、市場として潜在性の高い国・地域としても
「中国」を挙げた企業が85.8%でした。
非製造業のサービス拠点として「中国」を挙げた比率も
58.9%であり、製造・販売の広い範囲で、
今後数年中国が日本企業にとっての
主要な活動エリアであることをアンケートが示しています。

昨今、中国の投資環境の変化もあり、
「チャイナプラスワン」という言い方がされ、
中国への投資集中を避けて、ベトナムやインド
その他地域への投資の分散が議論されています。
しかし、進出企業のアンケートから見る限りは、
まだまだ「投資先」としての中国の優位は
動かないように思えます。
しかし、中国だけを見ていくのではなく、
これからは、周りの地域も相対的に
見ていかなければいけないと思います。
また、周りの地域がどう動いているか見ることは大切ですが、
浮かれすぎて、これまでに築いた拠点を、
軽々に手放すということがあってもいけません。
中国と周りの地域の両方を、よく見ていく必要があると思います。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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