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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 道州制と市町村再編(財務戦略/村藤 功)

道州制と市町村再編(財務戦略/村藤 功)

09/05/29

■政界と道州制
今回は、道州制と市町村再編のお話をさせていただきます。
麻生首相は道州制の推進論者で、自民党ではこれまでも安倍内閣、
福田内閣の頃から、道州制が消えたことは一度もありません。
しかし、ずっと導入すると言っていましたが、
どのように議論を盛り上がるのかが、今ひとつ分かりませんでした。
対して、民主党の小沢元代表は、道州制否定派で、
基礎自治体と国の二層制にしようと言っています。
一方で基礎自治体と広域自治体と国という三層制が道州制というわけです。
自民党は道州制導入を主張していますが、民主党は議員によって、
賛成派と反対派がいます。ですから民主党では鳩山代表へと変わったことで、
また変わってくるかもしれません。
麻生総理は道州制をコア政策の1つとして、衆議院選を戦う、
と言っていますので、衆議院の選挙でまたこの話も、
盛り上がることもあるでしょうが、今後どのように転がっていくのかは、
よく分かりません。


■道州制と平成の大合併
道州制とは日本の国土は狭いので、47都道府県も必要なく、
10~12くらいの道州に分けたほうが地域の人が生活しやすい、
地域に密着した政策を行うことができるという主張です。
10ほどに分けて、その広域自治体が必要なインフラを考えるわけです。
九州ならば、九州1つでよいでしょう、という話ですね。
さらに市町村も規模が小さすぎるので、九州の久留米市ほどの、
30万人位の規模にした方がいいだろうということです。
そうしなければ、規模が小さすぎて水道や下水道の、
効率的運営が難しいのです。
現在は小さい自治体ごとに運営を行っており、効率的ではありません。
30万人位の基礎自治体を作り、インフラなどはもっと大きい道州で、
行おうという話です。

PHP総研の江口社長が、座長を務める道州制ビジョン懇談会は、
2018年までの10年で道州制に完全移行すべきだという内容の、
中間報告を2008年3月に提出しました。
一方で自民党の保利耕輔氏を本部長とする道州制推進補本部は、
今年にも道州制基本法案を提出しようと言っています。
このように、様々な形で計画が進んでいますが、
着実に進んでいるわけでもありません。
総務省もこれに布石を打ってはいますが、コントロールしきれていません。
前回の財政健全化法導入で財務がおかしくなっている自治体が、
多くこのままではいけないということが嫌というほど分かってきています。

平成の大合併では、2005年3月までに合併してくれたら、
合併特例債を発行していいことになっていました。
合併特例債の返済資金の7割は、後で地方交付税をあげるので、
それで返済してくださいということでした。
さらに合併特例債による調達資金の95%を使って、
様々な事業を行っていいという飴を用いて、合併を促進させました。
その結果、1999年に3,232あった地方自治体が、2007年の3月までに、
1,800に減少し、かなりスリムになりました。
しかし、小さな市町村に暮らしていた人たちは、
今まで私達のことを考えてくれていたのに、管轄が大きくなったら、
何にも考えてくれない、というような不満が出たりしています。

このように合併が行われたのですが、総務省は1,800という自治体数を、
多いと考えています。
もし1つ30万人規模の基礎自治体を作れば、つまり1億2千万人を、
30万人で割れば400基礎自治体となります。
400の基礎自治体が10の道州の下にできるとすれば、
1道州あたり40の基礎自治体を持っている計算です。
しかし理想基礎自治体数400に対して、現在の自治体の数は、
1,800あります。
つまり、現在の4.5分の1ほどの数にさらに減らさないと、
予定の基礎自治体数にならないのです。

平成の大合併は、駆け込みで多くの自治体が動きましたが、
その後はほとんど動きが止まっています。
総務省としては合併させたかったのですが、なかなか上手くいかず、
さらに都道府県が色々と言って、合併させるように動きましたが、
嫌がる自治体はなかなか合併してくれませんでした。
そのため、総務省は、飴をぶら下げない限り駄目なのかと、
悩みを抱えています。


■九州と道州制の先行導入
日本を10~12に括ると言っても、どこで括って10~12にするのか、
ということが問題です。
例えば、四国は中国地方と一緒なのか、それとも独立なのかとか、
色々と揉めています。しかし九州は割と分かりやすい区分なので、
一番分かりやすそうだから、先にやってみたらいかがかと勧める人々もいます。

私は個人的には、道州制の先行導入をしてもいいのではないか、
と思います。
ただ、その際、先に行動してリスクをとるのだから、その見返りとして、
国税庁に福岡の法人税を低減してもらったり、法務省に、
ワーキングビザを緩和してもらい、アジアの人が、
自由に来られたりするようなことを福岡アジア特区でやればいいのではないか、
ということを提唱したいです。

そして東北アジアホールディングを福岡に置いて東北アジアの事業を、
統括するようにすべきだと思います。
香港がグレーターチャイナ、シンガポールが東南アジアや、
インドを背景に繁栄しているように、福岡も東北アジアを背景に、
繁栄すべきだと思います。
福岡が九州の中心になる時には、東北アジアのビジネスは、
安い税制と自由なビザの取り扱いを生かして全部福岡ホールディングが持つ、
ということにすればいいと思うのです。
今まで、国税庁は頑なで法人税の特例は沖縄でやっと許す、
という程度で、本州~九州辺りでは、全く認められませんでした。
しかし道州制を先行導入する、つまり先んじてリスクを取るわけですから、
福岡アジア特区における特例の議論をしたらどうかと思います。
また中国、韓国、それから東南アジア、インドなどから、人々に来てもらって、
福岡や中洲を六本木のようにする、福岡六本木化を行ってみてはと思います。
東北アジアの事業を担う経営者が福岡に集まって、
昼は経営会議を行い夜は飲み歩くということです。

様々な人々が集まることは重要ですが、経済として成立させるためには、
お金も福岡に集まってこなければなりません。
福証(福岡証券取引所)はシステムが東京証券取引所のものを使っているので、
上場メリットも少なく、このままだとなくなってしまうかもしれません。
香港、上海、深圳などのインデックスリンクファンドを福岡証券取引所に上場し、
アジアの証券取引は福岡だということにすべきです。
さらにタイ・バーツ、マレーシア・リンギ、インドネシア・ルピアのような、
東南アジアのインフラ・プロジェクトをファイナンスするような現地通貨建ての社債は、
福岡で発行するということにすればいいと思います。
ユーロ・ボンドが流行するまで、ロンドンは大して発展しませんでした。
このように、アジア通貨建てのアジアの株式や債券の運用と資金調達を、
福岡で行うことによって、世界のお金が福岡に集まってくる、
という形で福岡は大繁栄するというようになったら面白いのではないかと思います。
そうすると東京に本社がある企業が、競って福岡に東北アジアホールディングを、
置くようになる可能性もあります。

現在、福岡は10%経済と言われていますが、生産の殆どは大企業の九州支店、
九州支社、九州工場等で、九州の外での意思決定に依存しています。
しかし道州制になった暁には、九州で自分の意思決定を行うようにし、
福岡を本当に九州の東京にすることで、全ての人、物、金と知恵が、
ここに集まるようにすれば良いと思います。

九州大学ビジネススクールは、東北アジアの成長を支える幹部候補生を作る、
九州、ひいては東北アジアで一番のビジネススクールとして、
これからも発展していかせようと思っています。
今後、博多駅にサテライトスクールを置きますので、九州中から、
社会人学生が新幹線で集まってくるということになるでしょう。
お待ちしております。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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