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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 経営戦略4.国際戦略(経営学/久原 正治)

経営戦略4.国際戦略(経営学/久原 正治)

09/05/28

■国際化とは地域多角化である

前回は、製品を多角化するというお話でした。
日本のマーケットは人口も減っていますから、
日本だけで物を売っていくことは、
どうしても限界があります。
そこで、地域を多角化して、
国境を越えていかなければなりません。
これを、多角化の中での国際戦略と言い、
これからの日本企業は、皆、国際戦略を
していかなければならないという話をしたいと思います。


■味千ラーメンの海外進出

前回お話した、ブリヂストンタイヤも、
すぐに国際化を行い、戦前から
海外に工場を作っていましたが、
熊本の味千ラーメンという会社は、
1968年に創立されたのですが、
それがもう1996年には海外に出ています。
このようなラーメン屋さんでも、
すぐに海外に出ないといけないといいますか、
海外の方が利益を得るチャンスが
大きいということがあるのです。
特に、この味千ラーメンは、進出の仕方が凄いのです。
例えば、私はよくシンガポールに行きますが、
シンガポールでは、味千ラーメンは、
かなり若い人に人気があります。
それから、中国での味千ラーメンの店舗数は、
324店もあります。
これは、九州に存在するよりも多い店舗数です。
例えば、吉野家などが、海外に積極的に
進出していると言いますが、中国では、まだ153店で、
味千ラーメンは、その倍くらい進出しているのです。

味千ラーメンの2007年の売り上げは、
日本では13億円ですが、
中国だけで、売り上げが117億円、
利益が28億円もあります。
日本での利益よりも、中国での利益が大きい
という具合になっています。
投資の収益を考えた場合に、
日本のマーケットには限界があるけども、
中国は、これだけ大きなポテンシャルがあるということです。
中国の留学生に聞きますと、
デートに行く時には、味千ラーメンに行くそうです。
つまり、中国では、味千ラーメンは、
高級な飲食店と思われているみたいですから、
思わぬところが進出すれば、海外で
高い利益を上げることができるかもしれません。


■キッコーマンの国際戦略

味千ラーメンの他に、国際戦略をとっている企業として、
有名な事例としては、キッコーマンです。
日本の人しか、醤油は食べない、使わない
と思っていたものが、今や、アメリカでは、
大変大きな市場を作り、皆が知っていて、
スーパーに行けば、必ずキッコーマンの醤油が
売っているような状態です。
これは、国際化の大きな事例の1つで、
キッコーマンがなぜ国際化したかというと、
1つ目の理由は、皆さんご承知の通り、
醤油は、日本の中でも、地域により、
全然味が違い、キッコーマンを九州で
売ろうと思ってもなかなか売れないため、
日本の醤油マーケットには限界があったからです。
もう1つの理由は、不思議なことなのですが、
醤油の原料である大豆が、
日本で採れなくなったからです。
そこで、最大の原料の産地であるアメリカの
近いところに行こうと考え、キッコーマンは
ウィスコンシンの工場を、1972年に作りました。
ソイソース(soy source)よりも、
キッコーマンと言った方が、
醤油だとアメリカの人は分かる位だと言いますし、
You Tubeで、動画を探すと、アメリカのキッコーマンは、
スーパーマンみたいなヒーローになっています。


■KUMONの国際戦略

食品関係以外では、
皆さんの地元に必ずある公文という勉強の教室も、
早い時期から海外進出をしています。
1974年にニューヨークに出ています。
なぜ、最初にニューヨークに進出したかというと、
日本人の駐在員が増え、子供が日本に帰っても
勉強に支障がないようにするために、
ということで始められました。
その内に、今度は日本人の駐在員が
多く住む高級住宅街の地元の高所得者が、
「日本人が勉強している公文方式は、
えらく勉強が進むようだ。」と思い始め、
公文式の算数教室は1980年代以後
アメリカでとてもポピュラーなものになりました。

昔、公文は、公に文章の文、と書いていましたが、
最近は、KUMONと書いています。
グローバル化すると、会社は、
企業のミッションやビジョンを非常に明確化して、
それを世界で共有することが必要になってきます。
公文は、特に、日本と同じ教材を使っていますから、
ローマ字でKUMONと書き、色々な理念を
きちんと皆で共有するようになっています。
今や、世界の45ヵ国で、
400万人以上がKUMONに通っています。


■国際戦略の種類-ローカルかグローバルか

国際戦略にも、いくつか種類があります。
どれくらい、その地域に合わせたものにするか、
あるいは、地域に合わせず、世界中統一のものにするかで、
戦略が大きく違ってきます。
地域に合わせたものにする例として、
マクドナルドは、日本では、
日本人向けのハンバーガーを作っていて、
アメリカのマクドナルドとは味が全く違い、
それぞれローカルに合わせた国際戦略をやっています。
コカコーラ社も、アメリカではコカコーラというと、
コーラを考えますが、日本でコカコーラというと、
お茶やコーヒーも考えると思います。
このように、全然地域によって違うのです。

他方で、トヨタやキッコーマンは、
世界的に統一された車や照り焼きソースを作り、
グローバルな戦略として、
日本と同じものを売っています。
公文も、算数の教育システムは、
日本もアメリカも海外も同じで、
翻訳はしていますが、なるべく統一された教材を使い、
教え方も統一されています。
公文は、地域本社といい、アメリカやアジア、
世界の5つの地域に本社を作り、
日本からそこに派遣された人が中心となり、
そこに海外の人を雇い、
かなり本格的な国際展開を行っています。
特に、最近はインドを、
メインのターゲットにして行っています。


■本国でマーケットシェアがない会社はすぐに国際戦略採用

トヨタ、ホンダは、
環境に適した自動車を作っているので、
国際的にも評価が高いのですが、
実は、トヨタは国際化がものすごく遅れた会社でした。
名古屋の会社でとどまり、
なかなか海外に出ていきませんでした。
おそらく、日本の自動車メーカーでは
一番遅れて、海外進出をしました。
それは、なぜかというと、
日本でのマーケットシェアが
もう十分にあったからです。
ところが、ホンダは、後発企業で、
日本にマーケットシェアがないので、
最初からすぐにアメリカに工場を作り、進出しました。
これは、国際戦略の大きな違いではないかと思います。
日本のマーケットよりも、海外で先に有名になろう
という戦略をとるという企業も日本でいっぱいありますが、
それは日本のマーケットでシェアがない企業が
そのような戦略をとるわけです。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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