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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > マーケティングと「ことば」(マーケティング/出頭則行)

マーケティングと「ことば」(マーケティング/出頭則行)

09/05/25

■マーケティングとは 

今日はマーケティングのベーシックに戻ってお話しいたします。
マーケティングというのは、マーケットに、「ing」が付いた言葉ですから、
基本的には、「マーケットに働きかける」とか、「マーケットを説得する」、
つまり説得する技術や、説得する行為というのが「マーケティング」の意味になります。

これは例えば、ビジネス・スクールで教えている
生産管理やリサーチ・アンド・デベロップメントとは、ちょっと違います。
生産管理というのは、工場のことだったり、販売といったら、販売の現場だったりしますけれども、
マーケティングとは一体どこであるのか、ということがあります。
つまりマーケティングとはある意味で、企業活動の多くの部分をカバーしていますから、
一種のコミュニケーション活動ということになります。

マーケティングとはマーケットを説得する行為ですし、技術です。
説得にとって最大のツール=道具というのは、“ことば”ということになります。
従って、「マーケティング」とはまさしくコミュニケーション活動でもあるし、
コミュニケーションツールとしての、“ことば”は非常に重要で、
マーケティングにとっては、とても大事に取り扱わなければならないものであるということが言えます。

■本田宗一郎の“ことば” 

“ことば”ということでいうと、多くの日本の強い企業、永続的に発展した企業というのは、
皆、それぞれに、一種の神話というかストーリーを持っています。
言ってみれば、“ことば”によるストーリーを持っています。
これが非常に企業理念に結び付いていると思います。
例えば、まだホンダが浜松の町工場だった時に、本田宗一郎は「オートバイで、
マン島レースで優勝して、世界一のオートバイメーカーになるんだ」と公言します。
これは有名な話です。
世間の人は一笑に付していたのですけれども、ほどなくして実現してしまいます。
それで、今のホンダの企業スローガンでは「ザ・パワー・オブ・ドリームズ(The Power of Dreams)」
と言っているのです。

まさしく「この夢の力」ということです。
町工場だった時代に、世界一のオートバイメーカーになるぞ、
というような“ことば”が、今の企業理念やスローガンに結び付いているのです。

■ソニー・パナソニックの事例 

同じようなことが、色んな企業に言えます。
戦後でもう1つの雄であるところの、ソニーが
東通工(とうつうこう)の時代・1950年代ですから、
戦争が終わってから、まだ10年というような時期に、トランジスタラジオを作り始めます。
これは本当に売れなくて、販売に四苦八苦しました。
その時に、アメリカの大手のメーカーが、この商品は面白いからOEM生産しないか、
大量に買うから、と盛田昭夫に言ってきた時期があります。
経理的にも四苦八苦していますので、それは渡りに船のような話なのですけれども、
盛田昭夫は自分たちの独自路線を守り、OEM生産はしないとそれを拒絶します。
ソニーの商品はソニーの名前で出していく、ということを守るわけです。
このことは、ソニーの独特の商品哲学だとか、R&Dなどに結び付いています。

もう1つ有名な例でいういと、松下幸之助の水道哲学が有名です。
聞いたことがあるかと思いますが、「水道の水のように家庭電器製品を使ってもらって、
生活を便利なものにし、楽しんで欲しい」と。
松下電器、今のパナソニックですが、パナソニックは、電化製品を水道の水のように
世の中に供給していきたいということをかなり前の段階で言っていました。
今の「アイデアズ・フォー・ライフ(ideas for life)」、生活のためのアイデアという企業スローガンは、
それにつながっているのです。

多くの企業にはこういう神話があって、それが企業の理念に非常に結び付いていて、
経営者や従業員たちの行動の規範になっていると思います。

起業家つまりリーダーは、こういう“ことば”を、自然に生み出して、
それを大切なストーリーとして、行動規範にしている。
そういう企業は、大変強い企業だと思います。
日本の企業だけでなく、欧米の企業でも、永続して強いブランド・強い企業といわれているところは、
何らかの神話を持っています。
何か問題や緊急事態が発生し決断する時に、
“ことば”=ストーリーが具体化されているというのは強いですし、
大きな基準になっています。

■マーケティングとは「ストーリー」をつむぐもの 

強い企業というものには、そういうストーリー、神話があります。
一方、マーケティングというのはコミュニケーションで、コミュニケーションというのは、
“ことば”でつむいでいくものですけれども、“ことば”の1つ1つというのは、
これは、単なる意味の羅列です。
マーケティングというものも、やはりストーリーをつむいでいくものです。
なぜならば、消費者というのはそれぞれの単語を覚えているわけではなくて、
ストーリーを記憶しているに違いないのです。
マーケティングもまさしく、このようにストーリーを伝えるものだということにおいては、
非常に良いマーケティングには、良いストーリーが、背後に必ずあるのです。
そして “ことば”というものは、非常に重要な意味合いを持ってくるのです。

先程のホンダの「ザ・パワー・オブ・ドリームズ」、
パナソニックの「アイデアズ・フォー・ライフ」といい、
“ことば”にはストーリーがあり、社内ではそのストーリーを大事にしている。
そしてそのストーリーを従業員も、経営者も信じている。それが、その企業の強みなのです。

良いブランドとか、良いマーケティングというものも、
そのように強く良いストーリーをつむぎ出す必要があるのです。
“ことば”=ストーリーは企業の理念だけでなく、マーケティングにとっても大事なのです。

明日は、この良いストーリーを作るために、つまり良いアイデアを出すため、
良いプレゼンテーションをするため、良いスピーチをするため、
良いマーケティングコミュニケーションをするためのチェックポイントという話をしてみたいと思います。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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