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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日本の危機対策(財務戦略/村藤 功)

日本の危機対策(財務戦略/村藤 功)

09/05/15

■経済対策の背景
前回は世界の経済危機の状況について、お話しさせて頂きましたが、
今回は、日本の危機対策です。まず麻生総理が発表した、
追加の経済対策を確認しましょう。

リーマンショック以降、去年の10月、12月と経済対策を打ち出しました。
それを、2008年度の補正予算で財源を作ったり、
2009年度の予算を通したりしました。
今の状況としては、4月半ばに発表した追加経済対策を、
ゴールデンウィーク後に補正予算を通して財源を確保する見込みです。

全体の背景としては、世界の実質経済成長率は、
前回1.7%ほどのマイナスになりそうだというお話をしましたが、
日本はもっと悪いということがあります。
今年の日本の成長率はマイナス3%ほどになるという見通しです。
このマイナス3%は結構大変なことです。
バブルが崩壊した89~90年頃でも公共投資など様々な対策を行って、
何とかフローを守って来ました。
しかしフローが3%下落するというのは、バブル崩壊以降ですら、
なかった状況なのです。


■追加経済対策
対策は、経済対策に金融対策、それから税務対策まで幅広くあります。
経済対策としては、まず雇用調整助成金、それから、
一兆円の新地方交付金、エコアクションポイント(EAP)まで、様々です。
EAPは、なかなかユニークで、我々にとっては分かりやすい経済対策です。
似ているものとして中国の農村で、中国政府がお金を払うから、
家電や車を買いなさいという政策があります。
日本では、エコアクションポイントということで、単なる家電や車ではなく、
省エネ型の家電製品や、省エネ型のハイブリッド車を、
買ってもらおうということです。
冷蔵庫や洗濯機は、販売価格の5%分をエコアクションポイントとして、
消費者に還元して、消費者が他の家電商品を買えるという仕組みです。
自動車では13年以上経過した車を廃棄して下さい、
など変わった条件がついています。
13年以上乗っていて、それを廃車にして環境対応車に乗り換えると、
1台につき25万円の補助が出るというものです。
これは大きいですよね。
それから、今まで自動車を持っていなかった人が、買い替えではなく、
環境対応車を購入する際も、普通車で10万円、軽自動車で5万円、
という補助がでます。この自動車の取り組みは、ドイツで、
上手くいっているそうで、2~3月の販売台数が大きく伸びたと聞いています。
これは、日本でも効果があるといいですね。

金額が大きいものが、地方自治体への一兆円の新交付金です。
これは地域活力基盤創造交付金と言われる交付金です。
混同しがちですが、去年の12月の緊急対策で一兆円の、
地方交付税が発表されて、09年度予算に、もう組み込まれています。
しかし今回のものは、地方交付税ではなく、地方交付金です。
これは地域の活力基盤を強化しようというもので、本来ならば、
中央が行う工事で、地方が負担しなければならない分の9割を、
国が払うというものです。


■金融対策
少し気になるのが、金融対策です。
中でも一番心配なのは、株の買い取りについてです。
バブル崩壊後、政府は下落した株式市場の水準を維持するために、
株を買いました。その結果、利益に対して株価が上がりすぎ、
日本の株式市場では、株を買うとリスクは高いがリターンは低い、
一方で国債を買うと、リスクは低いのにリターンが高いという、
おかしな状況が継続していました。
そこで小泉元首相が、税金を投入して株式を購入するような、
不自然なやりかたを廃止しました。
そのため大きく株価が下がり、一時期大変なことになりました。
今回も大きく株価が下がったので、税金を投入して買おう、
という話が出ています。
しかし株式取得機構が買うのか、それとも政策金融公庫や、
政策投資銀行が買うのか、まだもめています。
これについては50兆円ほどの政府保証枠を想定しています。
現在の東証一部の株価総額は300兆くらいしかありませんが、
その株価総額の2割近い、50兆円の税金を投入して株を買おう、
という大変な話です。
株に投資されている方は、ラッキーと思われるかもしれませんが、
またリスクとリターンが合わない不自然な市場ができてしまいかねません。

一方で、困っている中小企業と大企業の支援を、ずっと行っています。
中小企業には緊急保証制度が去年の10月から導入されています。
これは、中小企業が銀行などからお金を借りる時に、
信用保証協会が保証するという制度です。
この枠が20兆円ほどあったのですが、去年の10月に始めてからこの春までに、
もう9兆円余りを使ってしまいました。
ですから、20兆円では足りないかもしれないということになり、
使ってしまった10兆円分を増やして、30兆に上乗せすると、
今回の対策で決めました。
中小企業は資金面で結構困っていて、保証の申し込みが、
殺到しているという状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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