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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 世界経済の再建(財務戦略/村藤 功)

世界経済の再建(財務戦略/村藤 功)

09/05/08

■世界経済への対策
今回は、世界経済のお話です。まず現状ですが、世界銀行が、
今年は遂に実質経済成長がマイナス1.7%ほどに落ち込むのではないか、
という見通しを発表しました。
世界全体がマイナスということは大変なことです。
この事態に対して、G20で、今年と来年合わせて、約5兆ドルの、
財政出動を予定しています。
このようにして来年には、成長率をマイナスからプラスの2%ほどに、
上向かせようという議論をしています。
世界のGDPは50兆ドルほどです。
2年で財政出動が5兆ドルの予定ですから、1年当たり2兆5千ドルとしても、
世界のGDPの5%ほどです。
GDPの約5%を、財政出動つまり、政府による公共投資や、
社会福祉などでお金を使って何とか経済成長をプラスに戻そうということです。
各国とも、これまで色々な対策を行ってきましたから、
国よってはこの財政出動に前向きでないところもあります。
アメリカのガイトナー財務長官にGDPの2%ほどを財政出動して欲しい、
と言われたヨーロッパ諸国はそういわれてもね、とぶつぶつ言っているようです。

これまでG7やG8と色々な会議を行ってきましたが、
BRICsに参加してもらわないと、特に中国に参加してもらわないと、
効果がないということになってきました。
中国は、GDPでも、ドイツを抜いて、アメリカ、日本に次ぐ第3位となっています。
そこで、中国、インドなどを参加させたG20で、財務大臣中央銀行会議や、
トップ同士のミーティングを行っているという状況です。
このようにして共同声明で様々な発表をしているのですが、
つい最近はG20のトップが集まって、2年で5兆ドルを使って、
世界経済の成長を2%程度に回復させようということを、決めました。


■世界の株式・金融市場と産業界
株式市場は、以前も申し上げましたが、2007年の秋がピークで、
世界の株式市場全体で6千兆円ほどだったものが、
去年の年末頃に約3千兆円に下落して、それからさらに4~500兆円が、
無くなりました。
ところが、世界の中でただ一つ、中国の株式市場だけが、
リーマンショック以前の状態に戻ってきたという、大変な状況になっています。
アメリカもヨーロッパも回復の兆しが全然見えないのですが、中国では、
輸出が駄目になった代わりに、内需拡大を図る政策を打ち出し、
その効果が出てきているようです。
4兆元の経済対策と聞いた時は、世界中が本当なのかと思いました。
しかもそれに呼応して、地方ではもっと巨大な金額を出動させると言いだしました。
ですから、あまり信じない方がいい、ということだったのですが、
株価も戻ってきていますし、世界経済が中国に頼って回復するかもしれない、
ということになってきています。

中国がどうかはともかく、欧米や日本などの先進国では、
非常に厳しい状態が続いています。
とにかく金融機関にお金を流して金融機関の体力をつけてあげないと、
どの金融機関が潰れてもおかしくないと疑心暗鬼になっています。
リーマンブラザーズが潰れたのだから、シティバンクも危ないかもしれない、
という話が、先日起きたほどです。
アメリカも銀行を潰さないように、ドルだけでなく、円やユーロも、
供給できるようにするということで、FRBが、日銀やECB(欧州中央銀行)、
イングランド銀行と通貨のスワップ契約を結ぶという対策を行っています。

状況が最悪なのは、自動車ですが、半導体や鉄鋼も、結構悪い状況です。
自動車関連では、3~4割ほど稼動しない工場が出てくるのでは、
という状況です。
この状況から不景気前のレベルに戻るには、2~3年は、
少なくともかかるのでは、というのが中国以外に関する見通しです。
アメリカの商業用不動産も、全く回復の兆しがありません。
しかし住宅価格は、落ちるところまで落ちたので、買う人も、
少しずつ出てきたという状況です。


■IMFの今後
アメリカと共にヨーロッパの経済がやられています。
そうした結果、アメリカ、ヨーロッパの先進国に追い付こうとした、
発展途上国も、ぼろぼろになってしまいました。
欧米諸国が発展途上国からお金を引き上げると、どうしようもない、
というのが途上国の現状です。
これに対して、これまでIMFは2千5百億ドル位の融資枠を持っていましたが、
一気にこれを3倍位の約7千5百億ドルに拡大することにしました。
そうすると、IMFのバランスシートの貸し出しが大きくなってしまいます。
拡大するIMFの自己資本を、誰が持つかということが問題です。
これまで、アメリカや先進国が主導権を握っていましたが、
G20のBRICs参加、特に中国の参加が重要課題になってきました。
世界最大の外貨準備を持つ、中国にも参加してもらおう、ということです。
当初の予定では、2013年頃に参加する予定だったのを、
2年ほど前倒しして、2011年頃に、BRICsの比率、特に中国の出資比率を、
上げようということになってきています。


■アメリカの財政赤字と官民共同投資ファンド
様々な財政出動を行ってきたアメリカですが、政府の財政赤字が心配です。
アメリカ政府は、10月から始まり、その年度は、10月から9月までです。
2008年10月から、2,009年の3月までの財政赤字が9,567億ドル、
大体100兆円規模になっており、前年度比の3倍位のペースなのです。
オバマ大統領は、年度で約1兆7千ドルの赤字になるのではないか、
と言っていましたが、それを越えて赤字になるかもしれないという状況です。
共和党を中心にオバマ大統領で大丈夫なのかという声が上がっていますが、
オバマ大統領でなければもっと大変なことになっていたかもしれません。

オバマ大統領は、金融安定化法をはじめとした法律を、
整備していければならないということを訴えています。
ただ、彼が金融そのものをどれだけ分かっているかというと、
金融安定化法で7千億ドル使うということについては、
ガイトナー財務長官に全て任せるなど、少し心配な部分もあります。
そのような中でも、少しずつ株式市場が回復してきました。
既にダウが8千ドル台になってきています。
株価が上がった背景には官民共同投資ファンドを作る、
と発表したことがあります。
これは、以前から作ると言っていたのですが、なかなか、
細かいところが見えてこなかったため、投資家は不満に思い、
株式市場が全然反応しませんでした。
しかし、政府から、やっと官民共同投資ファンドの中身が発表され、
5千億ドルから1兆ドルほどの不良資産を、金融機関から買い取る、
ということが分かりました。
FRBが資産担保証券の保有者に融資を行ったり、あるいは、
FDICという預金保険機構が、買い取り価格の85%ほどの、
保証を提供したりするということになっています。
これは官民共同ファンドなので、民間企業も投資家として入ってください、
と呼びかけています。
ですからゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなども、
出資を検討しているようで、そのファンドが動き出すのでは、
という見通しがやっと立ってきた状況です。

ただ、最大でも、1兆ドルの不良資産を購入するということになっていますが、
買い取られる対象は20兆ドルほどあると言われています。
ですから本当に20兆ドルに対して1兆ドルの購入で大丈夫なのか、
という懸念はあります。
それでもプランを公表して、株価は上がってきたので、期待はあるようです。


■アメリカの雇用情勢
アメリカの失業率は2007年まで、5%を切っていましたが、
今年の2月には8%を越えました。
これまでも自動車業界についてはお話ししてきましたが、
他にも金融業界や高級百貨店など、お金を使う業界が、
かなり厳しくなってきているという状況です。
そこで景気対策法案を実現させて、2年間で約80兆円を使って、
350万人位の雇用を創出しようというプランを始めました。
既におよそ2千件の計画を承認していて、執行が始まっているので、
今年の後半頃には効果が出てくるのではないか、というところです。

最近、中国をはじめとして世界経済に対して前向きな見方も、
少しずつ見られるようにはなってきていますが、アメリカの回復なしに、
世界全体の回復は語れないという状況に、大きな変化はなさそうです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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