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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 最近の韓国経済動向と企業の対応策(国際企業戦略論/永池克明)

最近の韓国経済動向と企業の対応策(国際企業戦略論/永池克明)

09/05/05

日本政府観光局が最近発表した
本年1月の訪日外国人数は、
前年同月比18.4%減の58万人と
6カ月連続で前年実績を下回りました。
特に、急激な円高・ウォン安が進んだ
韓国からの訪日数が半減したことが響きました。
非常に身近な例でいいますと、
最近、福岡の町でも韓国人の旅行者が
すごく減ったという話を良く聞きますが、
実際、韓国人観光客は12万9千人と
前年比52.3%減少しています。
観光旅行者数の減少だけでなく、
世界金融危機以降の韓国経済の落ち込みは深刻です。


■経済成長の大幅減速

韓国の2008年10~12月の国内総生産(GDP)は
前期比5.6%減と急激に落ち込みました。
(GDPの統計は、2、3ヶ月遅れで公表されるので、
今の段階で最も新しい調査が、10~12月期となります。)
これは、1998年1~3月期のアジア通貨危機時の
7.8%減以来の厳しい落ち込みで、
年率換算では20%を上回るマイナス成長です。
2008年の年間の成長率は2.5%となり、
1昨年までの実績は4~5%、
李明博大統領の公約7%とは大きくかい離しています。
2009年の成長率はマイナス3~4%に
落ち込むという予測も出ています。


■通貨不安

アジア地域の中でも韓国経済の
苦境の表れが通貨不安となっています。
昨年9月のリーマンショック以降、
ウォンはドルなどに対して下落し、
円に対する価値は昨年春に比べ約半分になりました。
アメリカに端を発した経済危機の影響を
受けている中でも、韓国が厳しい理由は、
日本以上の貿易依存度の高さにあります。
輸出入合計の名目GDPに対する比率は
日本の場合、30%そこそこですが、
韓国の場合およそ70%です。
今回の欧米の景気後退による需要減が、
韓国からの輸出を大きく減速させました。
通貨安の背景には、韓国が他のアジア諸国に比べて
欧州系金融機関からの借り入れが最も多いことがあります。
欧米の金融機関が経済危機で資金不足になり、
投資資金を引き揚げたのです。
08年の経常収支が前半の原油高の影響で、
アジア通貨危機以降11年ぶりの赤字となったことも
通貨安に拍車をかけました。
また、株安もウォン安の原因となっています。
韓国のウォンは年明けから急落し、
3月には一時1ドル=1600ウォン台寸前まで急落、
対円相場も過去最安値の水準で推移しています。
一方、これに関連し、韓国の対外債務返済への
不安も台頭しています。
1年以内に韓国が返済期限を迎える
長・短期債務は1940億ドル(約18兆円)で
外貨準備の96.4%を占め、深刻さを増しています。


■輸出企業の動向

今年の10~12月期辺りが、
一番経済が落ち込む時期だと言われています。
そういう中で、企業も、相当苦戦をしています。
韓国企業は輸出に企業の成長をかけており、
輸出に熱心な企業が強みでした。
半導体、液晶パネル、携帯電話、薄型デジタルテレビ、
冷蔵庫なども海外市場で人気を博していました。
造船も強く、自動車も米国等でシェアを伸ばしていました。
しかし、今回の経済不況による輸出の不振で
苦境に陥っている企業が目立っています。
サムスン電子は韓国を代表する輸出企業で、
韓国全体の輸出総額の2割近くを占めていましたが、
昨年10~12月期の営業赤字は
9400億ウォン(約600億円)に上り、
4半期ベースで初の赤字に転落しました。
同業のLG電子やハイニックス半導体も赤字でした。
今年に入り、上海汽車と合弁企業経営だった
韓国第5位の双龍自動車も再生法適用
という形で厳しい状況にあります。


■韓国企業の輸出不振は日本の部品企業にも悪影響

日韓の貿易依存関係も年々深まっています。
韓国にとって、日本は中国に次いで2位となっており、
日本にとっては中国、米国に次ぐ第3位の貿易相手国です。
同時に、韓国の対日貿易赤字も膨らんでいます。
08年の韓国の対日赤字300億ドル強となり、過去最大。
韓国の主要輸出品は、半導体やメモリーや
液晶パネル、携帯電話などです。
こうしたエレクトロニクス製品の多くは、
日本の素材や部品、製造装置に依存しています。
日本製の中間財を輸入して加工し、
第三国に輸出する構造なので、
韓国の輸出が増えれば日本からの輸入が増え、
対日赤字が膨らむという構造になっています。
こうした赤字の増加もウォン安につながっています。
今は、韓国の企業の輸出が減り、それに応じて
日本のメーカーの韓国への輸出が減り、
日本にも影響が出てきています。


■韓国政府の景気対策、企業のリストラ

韓国政府は、李 明博(イ・ミョンバク)大統領が、
輸出依存を軽減するために
内需振興策を打ち出しています。
米国のオバマ大統領の
「グリーン・ニューディール政策」にならい、
韓国でも50兆ウォン(約3兆5千億円)規模の
財政資金を投じて、96万人の雇用を
創出する計画しています。
これは、いわゆるフィスカルポリシーという
補整的な財政政策で、有効需要を創出する為に、
財政、公的資金をどんどん投入するというやり方です。
内需不振で苦しい造船や建設業界では
政府主導のリストラを進め、財務内容で
企業を選別して救済策を講じることにして、
だめな企業には破たん手続きを勧告しています。
また、政府は不況の深刻化で
生活が厳しい低所得者向けに、
総額6兆ウォン(3900億円)規模の
支援策をまとめました。
一定の効果はあると思います。
輸出主体の企業では、サムスングループが
大規模な幹部人事による経営刷新などを実施しています。
現代自動車は、ロシア、ブラジルの現地工場の
建設延期などを打ち出しています。
韓国の経済団体である全国経済人連合会が、
同国の30大財閥が新卒者の初任給を
最大28%抑制することで合意した
と発表したのを皮切りに、金融機関、官庁などで
正社員、幹部社員、役員などで賃金返納、
役員年俸の削減等の動きが広がっています。


■韓国の国民所得、一人当たり国民所得が低下、景気回復はいつ?

韓国銀行が3月27日に発表した
2008年実質国民総所得増加率が
為替危機後初めてマイナスとなり
金融危機の衝撃が大きかったことを示しました。
特に1人当たり国民所得が2007年の
21千ドルから再び19千ドル台に後退し、
2009年には15千ドル前後に
低下する可能性もあります。
韓国の国家債務10年で4倍に拡大しました。
韓国政府は経済危機を克服するために
財政支出を増やしたことにより、
国家債務が10年で4倍に増え、
国民当たり750万ウォンを
超えることになりました。
韓国の景気回復時期について、
多くの金融機関は概して本年末から
来年初めを挙げる意見が多い。
ただし、V字型回復ではなくU字型回復を
予想する向きが多く、回復力が比較的に弱く、
ずるずる、じわじわと回復するような形に
なるだろうと思われています。
今年、2009年は、かなり厳しい景気動向に
直面する日々が続くと思います。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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