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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国人留学生の日本での就職(中国経済と産業/国吉 澄夫)

中国人留学生の日本での就職(中国経済と産業/国吉 澄夫)

09/04/22

■留学生30万人計画
今回は中国人留学生の日本での就職、というテーマでお話させて頂きます。
私も企業に在籍していた頃には、部下に多くの中国出身の人間がおりましたし、
それから今でも、九州大学で、中国からの留学生に対して教えております。

しかし日本に学びに来るアジアを中心とした留学生は、
少ないと言われています。
これは、他の先進国と比較してですが、2008年の6月段階で、
日本に滞在する外国人留学生は約13万人と言われています。
これは、他の先進国の留学生数、アメリカが58万人、イギリスが33万人、
ドイツが26万人で、フランスが25万人と、これに比べたら、
群を抜いて少ないですね。

最近、日本政府が主導で、「留学生30万人計画」を推進しており、
九州大学も、留学生倍増計画を打ち出しています。
私は、基本的には賛成ですが、多くの中国人との付き合いの経験からすると、
少し喉に小骨が引っかかった感じを受けるのです。

この計画は、2020年までに留学生を今の13万人から30万人に増やして、
日本を世界に対して、より開かれた国にしていこうということで、
2007年にスタートしたものです。
それ以前にも、中曽根内閣の1984年に、10年間で「留学生10万人計画」、
というのが提唱されて、これが、2003年には目標に達成しています。
ただ、実際には、留学生の増加に最も大きく貢献しているのが、
中国人留学生なのですが、留学生が10万人を越えた頃から、
入管の事務手続きや審査が非常に厳しくなってきた、
ということが言われています。
ですから今回の30万人計画ではどうなるのか、心配なところがあります。


■中国人留学生の就職
今回の計画でも、もちろん、日本側の受け入れ態勢として、
様々な手続きの簡素化を図ったり、あるいは、サービスの向上を図る、
つまり大学においては、言語の問題、学位の問題など、
様々な環境作りを行っていると聞いています。
しかし、その手続きの問題以外で、彼らが日本で学んだ後の、
卒業後の社会の受け入れ態勢が、非常に気にかかっています。
特に今、外国人の留学生の中で、中国人の比率が、
大体70%ほどで最も多いわけです。
これが30万人計画で倍増することになったらどうなるか、
中国人留学生の日本での就職が問題です。
全体的に留学生の就職は増えていますが、中国人留学生の就職は、
全体の伸び程には増えていません。
つまり、中国人留学生の就職希望者が3人いても、
その内の1人しか就職できていないという感じなのです。
就職できた人でも、どちらかというと、資本金5千万円以下の、
中小企業に就職している人が、約54%と言われています。
留学生の中には、それを嫌って、独立起業、
自分で会社を作る人たちも、多いわけです。

原因の一つは、日本の大手製造業は生産拠点を中国に移転しており、
中国で直接採用人数を増やしているということがあります。
日本で採用して中国に送り込むのではなく、中国で直接採用しています。
それから、非製造業や中小製造業の一部では、留学生をうまく使って、
会社の業績を上げているところも勿論ありますが、多くの企業で、
業務内容や採用後の育成計画などで、様々な迷いがあります。
さらに、各企業とも、欲しい人材として、日本語ができるだけではなく、
プラスアルファとして、企画力や専門知識などを求める傾向にあります。
そのため、日本での就職希望学生と実際の雇用との間に、
アンマッチングが起こっている状況があります。

「国際ビジネス人材支援会議」という組織が、実は、福岡にあります。
これは県が主催する留学生支援組織で、毎年、
留学生の合同就職面談会を開いています。
そこで採用したい企業と学生が面談をしますが、この数年の傾向として、
応募する留学生の内訳として文系が多くなってきています。
しかし、企業としては、どちらかというと技術系が欲しいという傾向があり、
アンマッチングが起こります。
実際、500人ほどが応募して、内定が出るのが、
たった20人ほどという厳しい状況です。


■中国人留学生側の問題
もう1つ、受け入れ側の日本にも、問題はありますが、
中国人留学生の側にも問題があるのではないかと、私は思っています。
というのは、中国人留学生は一般的に、ブランド志向が強いのです。
中にはそうでない人もいますが、どうしても、
一流企業への就職を希望する傾向があります。
それから、日本で採用されて、中国の現地法人に赴任をしたい、
という学生も少なくありません。
しかし、中国の現地法人で、指導的な立場で活躍するためには、
日中双方で、尊敬を集める能力や、経験が必要なので、
やはりじっくりと、日本で経験を積んでもらいたいのです。
短期間で、希望通り赴任というケースは、稀です。

逆に、日本の中小企業は技術的に優れた企業も少なくありませんし、
留学生がアジアや中国に対する業務で、企画力、営業力を発揮していけば、
経営のトップを補佐する任務を比較的早い時期に任されていく、
というチャンスもあるわけなのです。
また、企業だけではなく地方都市でも、最近はアジアとの交流を、
大きな課題としてに掲げて、街づくりをしていこうという、ところもあります。
このようなところで、役割の一端を担っていくのも、
留学生にとっての夢のある仕事になるのでは、とも思っています。


■国際人材育成の今後
「留学生30万人計画」は日本の将来の姿、
「アジアの中の日本とはどうあるべきか」、ということとを、
重ね合わせながらやっていかないと、絵に描いた餅になってしまいます。
これに関連しては、先だって、福岡で開催した、
国際シンポジウムに来ていただいた、中国社会科学院の、
張 季風(チョウ キフウ)教授と、韓国の永進専門大学の、
銭相杓(ジェン サンピョウ)教授が、「財界九州」という雑誌の4月号で、
対談をしています。
そこでは、私が述べたような、中国や韓国での国際人材の育成と、
日本との関わり、という非常に興味深い話をされていますので、
興味のある方は、是非買って読んでいただきたいと思っています。
中国と韓国には、それぞれの事情がありますし、それと将来日本、
あるいは九州が、この国々とどう関わっていくのかという、
非常に示唆に富んだ話が掲載されていますので参考になると思います。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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