QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > これからの世界の課題は何か(経営学/久原 正治)

これからの世界の課題は何か(経営学/久原 正治)

09/04/21


今、経済は非常に暗い状態にありますが、
世界は日の出を待っています。
60年代、私が子どもの頃は、オールディーズ・ソングの
「The World Is Waiting For The Sunrise」
という曲をよく聞いていましたが、
今我々が待っているのは、サンライズではないでしょうか。
今回は、「これからの世界の課題は何か。世界は日の出を待っている。」
というテーマでお話したいと思います。


■金融機関の改革

経済が、駄目になり、なかなか上向きにならないのは、
金融システム自体が大きな傷を負い、そこから、
お金が全く世界中回らなくなったことが原因ですので、
金融機関の改革をどうするのかが、まず一番の問題です。
ここには、2つ問題があると思います。
1つは、政府の規制が、
「何かあったら政府が助けてくれるだろう」という形の
全体の制度の仕組みになってしまったことです。
もう1つは、金融機関自体が、
前回、投資銀行の話で申し上げましたように、
強欲、リスクをどんどんとり、当たれば自分が儲かるけれども、
損したら、人に損を押し付ければいいという組織のデザインに
なってしまったことにあります。
この2つの問題、規制側の問題と金融機関の
組織自体の問題の改革が必要なのです。

他の製造業と違い、金融機関は、
大きな公的な役割があります。
今回のような危機が何度も起きたら、
世界の経済がいつまでも成長しないので、
金融機関の経営者の行き過ぎをどう抑えるか
ということが問題です。
そして、ある程度ガバナンスの役割を果たす規制当局が、
どうしても後追いになってしまっている仕組みも問題ですので、
考えていかないといけません。
つまり、他の金融機関以外の企業と違い、
株主が金融機関をガバナンス(統治)することは、
うまく働かないことが、今回の危機でよく分かった
と思うので、どうするかを考える必要があります。


■右往左往の日本の金融

「アメリカと比べ、日本のサブプライム危機の影響は、たいしてない。」
と、はじめは言われていたのですが、
今では、株価も、日本はアメリカより下がり、
様々な経済の打撃を大きく受けています。
これは、日本が輸出中心の産業構造であることにも
問題があるのですが、日本の金融のシステムが、
未だに銀行中心のシステムであることにも問題があります。
確かに、アメリカの投資銀行は、行き過ぎていましたが、
市場型の金融(直接金融)と
銀行が直接貸し出す金融(間接金融)のバランスが
とれていないと、リスクが銀行に集中してしまいます。
日本は、前回の不況の間、メガバンクといわれる
非常に大きな銀行に集中させるような形をとるようにしており、
これだけ経済が難しくなると、
銀行もリスクをとりたがらなくなってきています。

また、日本の当局は、
従来、アメリカの金融の規制が進んでいると思い込み、
アメリカのものを何でも日本に入れてきたのですが、
今回の危機で、途端にそれがうまくいかなくなり、
どうしたらいいかわからなくなってしまいました。
例えば、日本は金融庁を作りましたが、
また元の仕組みに戻そうとしています。
「とにかく、日本の金融を助けるためには、何でもありだ。」
ということで、数年前に色々な方式を導入したのに、
今度は、また逆の方式を施行するような形で、
右往左往しています。
間接金融依存で、
それを昔の大蔵省がおさめるような形が、
未だに、日本の金融の主体であり、
日本の金融の仕組みは全然進歩していません。
これは大きな問題です。
まずは、日本はアメリカとは違う
ということを考える必要があります。
そして、次に、グローバリゼーションが進んでいるので、
従来の間接金融依存の仕組みではなく、
市場型の金融を上手く取り入れた組織制度全体の
デザインを考えていかなければなりません。


■日本の経済学者

日本の経済学者は、
学問的な分析が非常に曖昧なままで、
突然、思想に走る人が多いです。
つまり、経済学は、本来、科学が大本にあり、
その下に思想がある形が普通ですが、
日本の経済学者の場合は、
まず思想ありきの人が多いと思います。
例えば、最近よくテレビやニュースを見ていると、
懺悔すると言っている経済学者が出ていまして、
私は非常に驚きました。
懺悔をするということは、
この人が従来やっている学問は、
一体何の役に立っているのでしょうか。
また、「日本は大恐慌で資本主義は崩壊している。」と、
授業で教えている先生が、未だに、日本の大学で
教えているのは、どういうことなのでしょうか。
資本主義が崩壊しているのであれば、
どうなっているかが、彼らはわかっているのでしょうか。

経済学者は、現状を正確に分析して、
それに対する処方箋を出す必要があります。
その下で、例えば、自分は自由で競争的な市場を
作るのか、あるいは、マーケットは不完全なので、
弱者を助けるようなことを背景に入れていくのか、
というような思想を入れるべきだと思います。
まず、現状分析をして、政策を立てていかないといけません。
いつまでも、「日本は資本主義では駄目だ。」
と言う経済学者がいると、本当に困ってしまいます。


■アメリカの経営者の見通し

まずアメリカの企業経営者が
どういう見通しを持っているかを見てみましょう。
マッキンゼーが、四半期毎に、
アメリカの経営者の調査を行っていまして、
3月16日の調査では、
「経済状況が悪化していると思うか?」という質問には、
悪化しているという人は、前回と比べて増加していませんでした。
それから、3分の1位の人が、
今年中に経済は回復するであろうと答えています。
調査の結果、53%の人が、上半期の利益は落ち込むが、
人員削減や生産性を向上するような様々なリストラを行うことで、
非常にうまく危機に対処していると答えています。
金融機関は、過剰報酬の話など、
仕組み自体が目茶苦茶になっていますが、
一般の企業は様々なリストラを行い、回復の見通しが、
そろそろ出てきている兆しが調査から感じられました。

アメリカの経営者は楽観的ですが、
サンライズを常に見ていないといけないと思います。
日本は、常にサンセットを見ているという感じがあります。
もう一度、ライジングサンはいけませんが、
サンライズは見なければいけません。
特に、大統領がオバマに変わり、
世界が危機からチャンスへ、大きく色々な考え方が
根本から変わる時代になっているので、
日本はどう動くべきか考えることが大切です。


■日本が考えるべき問題

日本が考えるべき大事な問題は、2つあり、
1つは、環境に対する投資(グリーンニューディール)です。
2つ目は、アメリカ一国中心だった世界が、
これからは、中国が台頭してきたりすることで、
世界が多極化していくという話です。
そこに、これから日本がどう入るかが、非常に重要な問題です。

九州で考えますと、私も、繰り返し言っていますが、
製造業の時代は終わったわけですから、
いつまでも組み立て産業を誘致するのではなく、
ビジネスの仕組み、新しいことを考える必要性があります。
中華圏が勃興してきますと、太平洋ではなく、
日本海が大事になる時代が来るかもしれません。
福岡は日本海に面していて、昔の言葉で言えば、裏日本で、
これからの日本は、太平洋岸がある表日本ではなく、
日本海岸がある裏日本がリードしていくのかもしれません。
九州は、そのような環境下で、リーダーを育成して、
また、グリーンニューディールにどのように
対処していくかを考えることが重要だと思います。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ