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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 「中国の家電を農村に」政策(中国経済と産業/国吉 澄夫)

「中国の家電を農村に」政策(中国経済と産業/国吉 澄夫)

09/04/15


■家電下郷
今回は、「中国の家電を農村に」という政策のお話をさせていただきます。
中国では家電の普及率も上がり、農村部にも普及が拡大しています。
今回お話ししたいのは、国際金融危機の中で、
中国政府が、内需拡大策の一環で家電を、
もっと農村に普及させようという運動を行っていることです。
中国語では「家電下郷」(ジャー ディエン シャ シャン)と言いますが、
「家電を農村に」という政策がこれです。
今、行われているのが、カラーテレビ、洗濯機、冷蔵庫、携帯電話という、
この4つの製品を、農民が購入した時に、
13%の補助金を政府が出すことで、普及と購買力の拡大を、
図っていこうということです。
これは、実は昨年の12月1日から本格的に、
中国の中西部の14の省や自治区、直轄地で行われるようになりましたが、
もともとは、一昨年、2007年12月から、山東省や河南省、四川省の3省で、
試験的に行って、非常にうまくいったので、これが拡大された、
という背景があります。
経済効果があったということで、この2月からは、これを中国全体に広げて、
しかも、先述の4品目以外でもオートバイや、パソコン、温水器、
エアコンなどが、追加されました。これは期限が4年間です。
この制度は、機器メーカーに対して入札制度によって応札する仕組みです。
これにより、企業、メーカーが地域ごとに指定されるわけです。
ただし、製品の上限価格が決まっています。
例えば、カラーテレビで2千元、日本円で2万8千円ほどとなっています。
これ以上の価格ではダメです。
例えば、携帯電話なら千元ですから、1万4千円ほどです。
この金額が上限とされています。
4年間で、大体9千2百億元、約13兆円の需要が見込まれると言われています。

家電の農村への普及に関してですが、農村と都市で大きな差があります。
カラーテレビは、都市では、137%。
つまり、一家に一台以上ありますが、農村では、まだ89%です。
冷蔵庫は、都市部では92%、農村で22%です。
エアコンにいたっては、都市部は88%、農村は7%、と極端に低くなっています。
このように農村需要を喚起するということは、内需拡大という、
政策の目玉となっています。
やはり農業に従事している人がかなりの数が多く、
13億人の中の8~9億人ですから、効果が非常に大きいわけです。

以前から、中国の地場の電気メーカーは、こうした農村の需要を開拓しようと、
色々苦労をしながら拡販を続けてきましたが、なかなかうまくいかなかったようです。
例えば、長虹は、製品ラインナップの中に、10年ほど前から、
「ダブルハッピネス」(「二つの喜び」と書く)というブランドの、
カラーテレビを作っています。
これは農村の新婚家庭をターゲットにして、売り出していたものです。
ところが、あまり売れず、伸び悩んでいます。
しかし、今回のような政策があると、眼の前では輸出が大変厳しく、
壁に当たっている状況では、中国企業にとっても、
大きな救いではないかな、と思います。


■農村部の放送網普及
テレビ放送網の農村部への普及ということも重要なことです。
実は以前から、中国政府は農村政策として、
「村村通」(ツンツントゥン)と言う、村々に隅々まで、
テレビの放送網が普及する政策を行っています。
1998年から、そのようなプロジェクトをスタートしましたが、
その当時で、約2億人の人たちが辺境地区や貧困農村のために、
テレビを見ることができませんでした。
そのような地域に無償でテレビセットを供給したり、
衛星放送やケーブルテレビを使ったりして、
放送網の普及率を100%にしようという運動を進めてきました。

2004年からは、それに加えて、村々の隅々まで電話網を敷こう、
という政策、同じく「村村通」といいますが、
2010年までにテレビと電話を一緒に、100%普及させよう、
ということを現在行っています。


■自動車を農村に
家電を農村にという政策をお話しましたが、最近では、
自動車を農村に、という政策も始まりました。
中国の田舎では、農業用の三輪車をよく使っています。
それを廃棄して、1,300cc以下の小型車に切り替えた時には、
政府が10%、上限を5,000元として、補助金を出す、
という内需拡大策が、最近発表されました。
こうした新しい内需拡大策が、どんどん出てきている、
というのが現状です。
(日本でも最近、類似の景気刺激策が出てきましたが--)


■三農問題
いずれにしろ、中国政府は農村発展を非常に重視しております。
「三農問題」と言いますが、農村と農民と農業を、
どう改善するかを非常に重要な政策課題としています。
このような地域で、家電や自動車を普及させることによって、
貧富の格差の底辺を引き上げていくという流れに、
繋がっていくのでは、と私は考えています。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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