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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 在庫の考え方②(国際ロジスティクス・国際経営/星野 裕志)

在庫の考え方②(国際ロジスティクス・国際経営/星野 裕志)

09/04/14

■在庫を防ぐ方法

昨日は企業が在庫を持つことの
問題点と原因について解説をしました。
3月末から時限的に週末の高速料金が
1,000円に設定されたことを受けて、
ETCの供給が間に合わないという状況があります。
まさに想定された需要よりも多くの売れ行きで、
在庫がなくなっているか、あるいは全国で
在庫の遍在という状況が生じているのかと思います。

せっかく売れる時に商品がない、
まさに機会損失になるわけですが、
過剰な在庫を持つ以外に、それを防ぐためには
どのような方法が考えられるのでしょうか。
企業間の取引=Bto Bの関係では、
VMI とCRPといわれる方法が代表的です。


■VMIとは

VMIは、「Vendor Managed Inventory
=ベンダー主導型在庫管理」といわれるもので、
コンビニや小売店のPOSなどを使って得られた
顧客の売り上げ情報を、小売業自体ではなく、
メーカーや卸売り業者が管理して、
必要な商品の供給を行うシステムです。
小売業にとっては、店頭での品切れはなくなりますし、
そのために必要な在庫を持つことや、
ディストリビューション・センターを自社で保有する
必要がなくなるという利点があります。
商品を供給するメーカーにとっても、
顧客情報を直接把握することで、
より精度の高い生産計画を立てることができます。


■CRPとは

CRPとは、「Continuous Replenishment Program
=継続的補充計画」と呼ばれ、本来小売業が行うべき
物流倉庫やディストリビューション・センターの在庫情報を、
メーカーや卸売り業者が管理することによって、
販売実績と在庫数、納品のリードタイムを考慮しながら
精緻な需要予測をもとに適正な在庫状況を
維持する考え方です。
基本的な考え方は、アメリカのウォルマートと
P&Gの間で作られたといわれています。
VMIが主に店舗などの川下の部分で、
サプライヤーが関与するのに対して、
CRPでは主に物流センターの在庫管理を
サプライヤーが行うことになります。


■サプライヤーに負担がかかるVMI

どちらの方式をとるにしても、
商品のサプライヤーと小売店の間に、
情報の共有などの緊密な関係が
築かれていることが前提となりますが、
このような方法がとれるのは
コンビニ・チェーンとか量販店などの
購買力・交渉力のある小売企業になります。
なぜなら、これらの企業にとっては
欠品の可能性や在庫のコストなどのリスクが、
サプライヤーに転嫁されることになるからです。

また、VMI(ベンダー主導型の在庫管理)のケースでは、
多くの場合サプライヤーから供給された商品のうち、
販売あるいは使用した分のみが
購入される契約となっています。
つまり、発注した小売店に商品が納入された時点では、
小売店は費用を支払う必要はなく、
商品が最終顧客に販売された時点で、
費用を転嫁する仕組みになっています。
小売業には在庫負担が軽くなるだけでなく、
サプライヤーの負担でいつも適正な在庫が
保たれていることになります。


■VMIの例

このVMIの考え方をもう少しわかりやすく言えば、
「置き薬」(おきぐすり)という日本独自の
医薬品の販売方法があります。
富山の薬売りというユニークなビジネス・モデルです。
家庭を訪問し、日常に使いそうな風邪薬・胃腸薬・
湿布薬・包帯といった医薬品の入った箱(配置箱)を置いて、
次回の訪問時に使用した分の代金を
精算し、集金する仕組みです。

つまりサプライヤーが使える状態に商品を配置して、
使用した分だけ費用を徴収する仕組みです。
サプライヤーには顧客の手元に置くことで、
いつでも利用される機会が増えることになりますし、
顧客にとっては、サプライヤーの費用で
いつでも使える状態の商品が提供されることになります。
最近では、まったく同じ考え方で、
オフィスにお菓子を配置するサービスや
無料でコーヒーサーバーが置かれるオフィス・コーヒーの
サービスも同じコンセプトかもしれません。
しかし、良い事ばかりではなく、
サプライヤーにとっては、そこまで供給しながら、
費用はすぐには回収できないという問題点もあります。


■リスクやコストの転嫁

トヨタをはじめ先端的な製造企業が進める
ジャスト・イン・タイムという方式では、
自社では在庫を持たないことが強調されていますが、
部品の供給業者などのサプライヤーから、
常にアセンブリー・メーカーが使える状態で
部品が供給されるVMIに支えられていることが少なくありません。
メーカーは、リスクを背負わないで、サプライヤーに
リスクやコストを転嫁しているのではないか、とも考えられます。
そう考えますと、本当にトータルな意味で、
両者の関係はウィン・ウィンとは言えないのかもしれません。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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