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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 全人代と中国投資(財務戦略/村藤功)

全人代と中国投資(財務戦略/村藤功)

09/04/10

■全国人民代表会議と内需拡大策
先月、全国人民代表会議が、中国で行われました。
目標として、GDPの成長率を8%にしようということを決定しました。
また、失業率やインフレを4%以下くらいにすることを決めました。
実際、改革開放以来、随分と高度成長を続けてきたわけですが、
2008年度の実質GDP成長が9%で二桁を切り、第4四半期が6.8%と、
かなり下落してきました。
これを一体どうやって、8%位まで上げるか、ということを、
色々と考えている状況です。
インフレに関してですが、実は2月に消費者物価指数、
CPIがマイナス1.6%と発表されて、少しデフレ懸念が出てきました。
そういう意味ではこれからインフレになるのか、デフレになるのか、
それ自体がよくわからないのですが、とりあえずGDP成長率8%に向けて、
対策を講じている状況ですね。

経済成長のためには、輸出が期待できない以上、内需拡大が課題です。
以前からお話していますが、4兆元、日本円で57兆円位のお金を投資して、
内需拡大を図ろうと言った途端に、地方政府も、30兆元、約400兆円位の、
お金を投資しよう、ということになってきています。
そこで何に投資するのか、ということが問題となっています。
これには大きく分けて2つあり、鉄道を中心とするインフラ投資を行う話と、
農村で家電や自動車を買ってもらおうという話です。

農村では、テレビ、洗濯機、冷蔵庫などの家電や、
携帯電話関連の通信網が、かなり遅れた状態になっています。
農民だけで、中国人口13億人の内の8億人がいます。
農民8億人に、様々なものを買ってもらえれば、
大変な効果になるということですね。

中国には二つの下郷政策というのがあります。
家電下郷と、それから汽車下郷があります。
汽車というのは、中国では自動車のことです。
これは、家電を農村で買ってもらうために、13%の補助金を付ける、
それから、自動車を買ってもらうために、10%の補助金を付ける、
というものです。
家電というと、テレビや冷蔵庫、洗濯機、携帯電話が、
その範囲だったのですが、この3月からは、
パソコンも補助対象に入れることになりました。
ですからHaier(ハイアール)は、去年の2倍位売ろうという計画を立てています。

自動車に関しては、ヨーロッパの国々でも、補助金を出して、
売り上げを伸ばしている、ということがあります。
中国の場合はこれまで自動車に乗っていなかった農村の人たちに、
補助金を出してどんどん車を買ってもらう、ということなので、
これは大変なことです。
以前もお話しましたが、今年の1月に、中国の自動車の販売市場は、
アメリカを抜いてきました。
アメリカの販売が減少したせいで、中国が追い抜いたのですが。
世界の中で、中国が自動車を買ってくれないと、
どうにもならないというような状況になってきました。


■地方債と鉄道整備
地方が、莫大なお金を使うと言っても、本当にそんなお金があるのか、
ということが問題です。
そこで足りなければ地方債を発行して調達すればよい、
ということになってきています。
今まで、中国では地方債の発行は禁止されていましたが、
これを解禁するということになったわけです。
そして2~3兆円ほどを、地方債で発行しようという話になってきています。

そしてそのお金をどこに投資するのかということです。
欧米や日本では、もうインフラの投資が一区切り付いてしまっています。
しかし中国では、鉄道網がまだまだ未整備です。
鉄道だけでも、3つほど大きな案件があります。
高速鉄道と地下鉄、それから内陸部開発のための鉄道の3種類です。
高速鉄道は、日本の新幹線のようなもので、新幹線よりは速くしよう、
ということを言っています。
これに関して4つの縦の鉄道と、4つの横の鉄道を作れ、という話があります。
去年の11月に発表されたこの南北、縦の4つの線路とは、
北京と上海、北京と深圳(シンセン)、北京と哈爾濱(ハルピン)、
杭州と深圳です。
それから、4つの横の線路は、南京と成都、徐州と蘭州、青島と太原、
杭州と長沙の4つです。
これが出来れば、大変なことになりますね。

そして、都市部では地下鉄の整備です。
これまでも、9都市ほどでは、地下鉄がありました。
これから、2015年頃に向けて、さらに6つほどの都市で、
地下鉄を作って、全部で15ほどの都市で地下鉄が走るようにしよう、
という計画になってきています。
この鉄道網の整備に関しては、日本の企業も、
何かしら関わってくる可能性があります。
高速鉄道の、北京と上海の中国の二大中心部を結ぶ路線が、
最初にあがっている計画です。
この北京と上海線を一体誰が作るのか、ということです。
これはシーメンスと川崎重工が争っていますが、どちらかといえば、
シーメンス有利という状況です。
全部で縦横8つを作るという話になると、総距離12万キロ、
線路敷設や車両の購入費は1兆元規模になるといわれています。
これには世界中の鉄道関連企業が、プロジェクトに加わりたいと、
動いている状況です。


■中国国内のM&A
中国国内の動きで気になるのが、活発になってきたM&Aです。
中国国内のM&Aで、特徴的なのが、世界に対する競争力を持たせよう、
というものです。
鉄鋼産業と自動車産業で、これが特に起こっています。
鉄鋼産業では、ミタル(Mittal Steel Company)という、インドの会社が、
新日鐵の何倍もの鉄を作れるようになってきました。
中国では、世界の鉄鋼業界の三番手として宝鋼集団が台頭してきています。
この宝鋼集団や華北鋼鉄集団、武漢鋼鉄集団などを軸に、
どんどん合併させていって、ミタルに匹敵するような規模の製鉄会社を、
いくつか作ろう、という話になってきています。
世界の鉄の半分近くは、中国で作っている、という感じになってきていますので、
世界的な鉄鋼会社を作るということもあながち無理な話ではありません。
自動車産業でも同様です。
中国の国産自動車会社というと、1位の上海汽車集団、
2位の第一汽車集団、3位の東風汽車集団がありますが、
トヨタやGMと比べると、かなり小さい規模です。
そこで世界のトップ10に入るくらいまで、合併させて大きくしよう、
という計画が進んでいます。


■外に向けての投資
これまで、改革開放で、特に、欧米向けの輸出で成長してきたので、
外貨準備が結構たまっています。
その外貨準備の3分の2位を、アメリカの国債で占めていました。
しかし今回の危機で、アメリカの国債だけで本当にいいのか、
という話が出てきました。
そこで他のものも買おうということになりました。
特に、国が成長しているので、資源を調達しなければならない、
というという話になっています。
資源価格が下がったこの機会に、原油や鉄鉱石、ウランなどの、
良いものを沢山買っておこうということで、
ブラジル、ロシア、ベネズエラなどの資源確保に、
外貨準備を使って動いています。

外貨準備は、一時大変な額まで増えていました。
以前、輸出が減少しましたが、輸入はそれ以上に減少したので、
外貨準備が却って増えた、という話をしました。
輸出マイナス輸入が大きいと外貨準備が増える要因になるのです。
しかし今回、内需拡大ということになって、輸入が増えてきました。
輸入が増えてくると、外貨準備が減ってくるかもしれない、
という状況になっています。

今のところ、欧米の経済が総崩れなので、
中国やインドに頑張ってもらわないともうダメということになっています。
これから、どれ位早く世界の経済が立ち直るかというのは、
中国にかかっているといっても過言ではありません。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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