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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > シリコンバレー報告(ベンチャー企業/五十嵐 伸吾)

シリコンバレー報告(ベンチャー企業/五十嵐 伸吾)

09/04/07

前回まで、福岡でのTiEとの国際シンポジウムの話から、
TiEのシリコンバレー支部に訪問したことまでを
流れでお話をしましたが、今回はTiEを離れて
シリコンバレーの話をしたいと思います、


■ユダヤ人の起業家・経営者

今回は今回の出張でお目にかかった
成功した経営者について、お話をしたいと思います。
その方は、僕も聞いて驚いたのですが、
もともとイラン生まれのユダヤ人でした。
お父様はイランで急に逮捕され
牢獄にもつながれたそうです。
その間に命からがらお母様と二人でイスラエルに移住。
あとでお父様がイスラエルに移ってきたそうですが、
投獄されていた間の話は、
なかなか口を開こうとしないそうです。

彼は、イスラエルの大学を出て、
アメリカ東海岸の大学院に進学しました。
その後、著名基礎研究所の1つであるベル研究所に
入りました。(昔は、AT&Tの研究機関でしたね。)
ベル研で半導体関係の研究をしていたそうですが、
そこから、アプライドマテリアル(AMAT)に移ったそうです。
今でこそ、世界最大の半導体製造装置メーカー
となりましたが、当時はベンチャーでした。
富士通、NEC、ソニーなど半導体に関する会社は
たくさんありますが、半導体を作るためには
製造装置が必要で、現在ではこの製造装置のシェアの
70~80%はアプライドマテリアルが占めています。
圧倒的ですね。巨人中の巨人です。


■ベンチャー時代のアプライドマテリアル

今回、お話をお伺いさせていただいた方は、
ベル研究所からアプライドマテリアルに
移ってきた3人の中興の祖のうちの1人で、
当時のアプライドマテリアルは、
本当に今にもつぶれそうなベンチャーだったそうです。
色々な経緯を経て、別の1人が、
「ライバルのメーカーよりも、僕たちのコンセプトで
やった方が、いい半導体装置が作れる。」と
当時の社長に宣言したそうです。
後で聞くと、それはまったくのハッタリだったとのこと。
実際に開発に成功すれば、それは本当に
凄いことなのだけれども、完成するという根拠も
自信も全くなかったそうです。
しかし、出来ると、社長に宣言してしまいました。
お話いただいた方も実際に逃げ出したくなった
と正直な気持ちを吐露していました。
社長は、迷った挙句に、自分たちの社員を信じ
プロジェクトにGoを出しました。
結果的に苦難の末、開発に成功し、
それが大当たりをしました。
それからAMATは倍々ゲームで企業の成長を遂げ、
提案を行った仲間が、最後は、AMATの社長まで上り詰め、
AMAT成長の立役者とまで称されるに至っています。
今回、お会いした方は、エンジニアのトップで、
彼の資産は900万ドルを超え、億万長者の仲間入りをしました。


■冒険が大事

彼は、昔のことはあまり多くは語らず、
「要は、とにかく冒険をしないとダメなのだ。」と繰り返し、
何度も、アントレプレナーシップを持っていないと
成功しないということを強調しました。
彼は、エンジニアでしたが、技術と産業の将来性を信じ、
誰もが知るベル研からAMATに移った経験をもとに
冒険が大事だと考えるに至ったのだと語っています。
その後、ライバルメーカーの半導体製造装置メーカーの
経営が傾いた時に、AMATを飛び出し、自ら乗り込み、
経営者としてその会社を建て直しました。
直接、経営中枢を担い、経営層の人材をスカウトとし
首を挿げ替えることで会社の文化を変え、
再生に成功しました。それによって、
彼はまた巨万の富を手にしたようです。

現在の彼は、ある意味悠々自適なスタイルで
ベンチャーキャピタル投資をしています。
「つい最近、同じユダヤ人で、
MIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業したばかりの
若者がいる。ナイスガイでね、投資をすることにしたんだ。」
と語ります。
しかし、年齢が若過ぎて経験も少ない。
そこで彼の父親が、同じシリコンバレーで働いていたので、
「お父さんに社長をやってもらいなさい。」と助言したそうです。
それに加えて、AMAT時代のよく知る
有能なセールスマネージャーに声をかけ、
3人での起業を勧めたそうです。
その会社は、ディスプレイ関連の装置を
開発しているとのこと。
調査のためのインタビューが終わった途端に、
「先ほど話した投資企業が近くにあるのだが、
社長に会いに行くか?(あなた方も)アントレプレナーだったら
即座にどちらがいいか判断して予定は変更できるだろう」と、
急に提案され、結局、ご一緒することにしました。
本当に気さくな億万長者でした。

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起業家とともに


■これからは環境!

その会社へ移動するまで、
「これからは、環境ビジネスにしか投資しない」、
「これからは、環境だ。絶対に環境ビジネスが
メジャーになる。」と何度も繰り返していました。
「最近、(経済界では)GMやフォードが
問題になっているが、あんなものはいかん。
日本の車はいいよ。しかも、日本の赤い車は、
本当にいいよ。」と彼は、急に話を転じました。

赤い車で私がイメージするのはスポーツカーです。
以前にもシリコンバレーの話をしましたが、
その際に、成功した起業家が真っ赤なポルシェの
ツーシーター、カブリオレでインタビューに
やって来たことをお話したと思いますが、
成功業家の真っ赤なスポーツカーと言われれば、
ポルシェ(かフェラーリ)が相場だと思いこんでいました。
「すぐ近くだから、僕の車乗って行けよ。
車の中でもっと詳しい話をするから」で、
案内された彼の車は、真っ赤なトヨタのプリウスでした。
アメリカ専用で家庭用の電源から
充電もできる蓋もついています。
プラグイン・ハイブリッドで、この時点では
日本ではまだ未発売。彼のご自慢の愛車です。
億万長者ですから、最高級車を買おうと思えば勿論買えます。


■高い環境マインド

3年前に行った時には、シリコンバレーの
大動脈フリーウェイ101号(ワン・オー・ワン)を走ると、
ホンダのアコードなどの日本車(ガソリン車)が、
たくさん走っていました。
ところが、今回、同じく101を走ると
やたらプリウスばかりが走っており、非常に驚きました。
3年前位には、ポルシェの愛好者も多く、
成功したロシア人起業家に、イラン人起業家の話を引いて
「成功したら起業家が乗るのならポルシェなのですか?」と
ジョークを言うと、彼も「そうだね。僕もポルシェに
乗っているからね」との答えが、随分と大昔の印象です。

数日後、日本人の起業家にも会いに行きました。
その方も、AMATをスピン-オフした方です。
彼も苦労の後、二人で作った会社をうまく売却することができ、
一人25億円~30億円位のキャピタルゲインを得られたそうです。
その後、学生時代にジャズに興味があったので、
ジャズのプロ演奏者を目指して、
サックスに打ち込んでいるようです。
「24時間サックスの練習をするためには
周囲が気になるので果樹園を買った。
果樹園の真中に建屋を建てて、そこで練習することにした。」
スケールの大きな答え。
「ところで、車は何に乗っているのですか?」
と尋ねたところ、「実は僕もプリウスだよ。」

起業して社会にインパクトを与えるような人は、
環境マインドも非常に高いことを知り非常に印象的でした。

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起業家の赤いプリウス

分野: 五十嵐伸吾准教授 |スピーカー:

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