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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国携帯電話市場・日本企業全面撤退の背景(中国経済と産業/国吉 澄夫

中国携帯電話市場・日本企業全面撤退の背景(中国経済と産業/国吉 澄夫

09/04/01

今回は中国の携帯電話市場についてお話します。

■日本の企業が中国の携帯電話市場から撤退した理由
前回の「自主創新と標準」というテーマの時に、
今年の1月7日に、第三世代の携帯免許が
中国で正式に交付されたという話をしました。
中国の携帯電話市場は非常に大きな市場で、
現在の加入が6億件と世界一であり、
今後新たな買い替え等で日本円に換算して
3兆8千億円位もの市場が開けると見られています。
こうした中で、これまでの第二世代の時には、
日本企業も多く参入しましたが、
第三世代に向かう現在、ほとんど蚊帳の外になっています。
その理由はこれまでの中国の携帯市場では、
大体2002年前後位から、日本の企業で、
NECですとか、松下、三菱電機、東芝、三洋、京セラ、
等々主として合弁ですが、事業を展開してきましたが、
2004年位から徐々に撤退をし始め、2
008年3月には、京セラが撤退して
日本企業は一社残らず中国から撤退してしまったからです。
この理由は日本の技術が良くなかったからではなく、
以前から申していますが、「技術規格や標準」に対して、
日本企業がしっかり取り組めなかったことが
失敗の原因だと私は考えています。
今日はこの点に関して少しお話させていただきたいと思います。
基本的に、日本企業の技術は評価されており、
個別には、日本の携帯電話は非常に素晴らしく、
コンパクトで、非常に機能が高いと言われています。
しかし残念ながら、中国のマーケットでは根付きませんでした。
その原因について、中国のメディアや日本のメディア、
あるいは、大学の先生等が様々なことを言われています。
例えば、人材の登用が下手だったとか、
現地化が遅れたとか、技術が保守的で渡さないとか、
市場に対して非常に消極的であるというものでした。
しかし私からすると、少しピントが外れおり、
本質ではないと思われるので、私の考え方を申し上げたいと思います。

■技術規格の問題
日本の製品が普及しなかった一番大きな理由は、
日中の技術規格、標準の問題です。
中国の携帯電話というのは、
欧州方式のGSM方式であり、CDMA方式も、
一部普及しています。しかし、市場のほとんど、
90%はGSMの方式であり、逆に日本の国内は、
NTTドコモのGPRS方式や、auのCDMA方式であり、
中国とはこうした方式が違っています。
日本企業は欧州方式のGSMの技術を持っていないことが原因で、
市場参入が遅れたり、あるいは諦めたところもあります。
そのため、CDMAに注力したのですが、
結局たった10%の非常に小さい市場の中で、
各社が競争する状況になってしまいました。
2番目の問題点としては第三世代の開始が
中国側の理由で大幅に遅れたことです。
中国独自の第3世代規格TD-SCDMA方式は
これまでも長年、商業試験は行ってきましたが、
正式運行は今年からです。技術標準の違いで
中国市場に入れなかった日本企業は第3世代で、
シェアーを奪回すべく5年も6年も前から
様々な先行投資を行ってきました。
この中国独自規格は、なかなか技術的に熟さず、
実行されるまでに時間がかかってしまいました。
日本企業の、第三世代携帯電話端末は、
ワイドバンド CDMA(W-CDMA)という日欧方式、
アメリカのクアルコムのCDMA2000方式です。
一方中国独自の方式であるTDS-CDMAには、
日本の企業はまだ入っていません。

■流通市場の問題
そして、3番目の問題としては技術標準というより、
むしろ流通市場の問題が挙げられます。
これは、ご存知のように、日本の市場における
携帯電話の販売方式というのは、
通信業者(キャリア)が買い上げて売りますから、
端末メーカーにとっては、キャリア依存体質です。
ところが、中国市場では、メーカー自身が販売しなければなりません。
従ってユーザーの志向を、設計に取り入れたりとかというようなことが、
十分ではなかったと言われています。
私も撤退企業の携帯部門の担当者と話をしましたが、
「中国市場を知らなかった」と嘆いてました。
私から言わせれば、何をそんな今さらといった感じです。
それから、4番目に、既存のCDMAの中国の市場は
非常に小規模です。携帯電話の開発には
何億円という膨大な開発費がかかっていますが、
製品のコストに上乗せしようにも、
販売数量が少ないために上乗せできず、
売れば売るほど赤字になってしまうという体質に、
おそらくほとんどの日本企業がおちいっていたと思われます。

最後に、中国の携帯電話市場の
閉鎖性があったことも事実です。
つまり中国メーカーは国産メーカーを保護するということで、
外資の進出に対して、独資進出に、
制限を加えたり、国内の部品調達の比率を決めたり、
輸出の義務を課したり等、様々な制限がありましたので、
環境が決してよかったというわけではありませんでした。

以上より今後の教訓として、前回(の2月17日)にも申し上げたように、
やはり市場参入するときに、自分たちの標準を
「デファクト」化することも大事なんですが、
それだけではなくて、その国・地域で進められてる標準化、
あるいは国際標準に入り込む努力をしていかないと、
過去の携帯電話撤退の轍を踏むことに
なってしまうのではないかと思われます。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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