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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 九州大学TiEセミナーの報告(ベンチャー企業/五十嵐 伸吾)

九州大学TiEセミナーの報告(ベンチャー企業/五十嵐 伸吾)

09/03/30

以前にお話した、1月31日開催の
TiEとのコラボイベントは、無事成功いたしました。
ラジオのリスナーの方からシンポジウムへの
お申込みをいただきご参加いただきました。
いつもは一方通行なので、このような反響を
感じられることは本当に嬉しいことです。


■シンポジウムの背景

1月31日に大掛かりな国際シンポジウムを
開催できた背景についてお話すると、
その前日に、九州大学「起業家セミナー」で、
学生向けのセミナーを企画してことがあります。
そのセミナーの講師にTiE(The Indus Entrepreneurs)
東京支部理事長のサイシーブ・スィンハさんに
来ていただくこととなり、スィンハさんから、
「せっかく福岡に行くのであれば、カンワル・レキさんも
行くから、一緒に何か新しいことをやろうよ。」という
ちょっとした会話からシンポジウム開催に繋がりました。
(御参考までに)
TiE:http://www.tie.org/
TiE日本支部:http://www.tiejapan.org/


■九州大学「起業家セミナー」

大学生はビジネスや社会との接点は
薄いのはある意味では当然かも知れません。
かくいう私も、学生時代に社会のことを
考えたことは就職直前まで全く無かったと思います。
特に、自分で会社を作る、あるいは、
独立してフリーランスになるとか、
考えている人は周りにはいませんでした。
最近では、このような考えを持つ学生は
少し増えて来ていたようでが、昨年からの
金融危機による景気が後退により、
せっかくのそのようなマインドが冷めてしまい、
学生たちが安全な道を模索し始めるように
転ずるのではないかと危惧しています。

起業家セミナーでは、起業家精神を持った人を
九州大学に来ていただき、参加した学生と
直接的な対話を中心とするセミナーを開催しています。
私が担当する九大の正規の講義ですが、
毎年、学生たちに企画を任せることにしました。
4回目の今年は10人強の学生有志が集い、
全13回のシリーズを企画してもらいました。
学生の中から、
「最終回は、インパクトがなくてはいけないだろう」
ということで、初めて、外国人講師を呼ぶという
企画を立て、その流れで、インド人の起業家の
スィンハさんに白羽の矢を立てました。
偶然、スィンハさんだけではなく、
TiEの創設者であるカンワル・レキさんが、
来日することとなっており福岡まで
足を運んでいただけました。
そこから、セミナーもレキさん中心となって
対話をすることとなったのです。


■起業家はヒーローか?それともアンチヒーローか?

ちょうど就職活動などと重なり、
参加者は70名程度を少なめでしたが、
学生たちは非常に熱心に聞いてくれました。
しかし、印象としては、熱く語るレキさんと
学生との間に温度差があって、
それがなかなか埋まらないなと感じました。
そこで、休憩直後に、私は、学生たちに
「起業家をヒーローか、アンチヒーローか」を問い、
二者択一の挙手をしてもらいました。
その結果、起業家をヒーローだと思って
手を挙げた学生は70人中7、8人位で、
パラパラとしか、手が挙がりませんでした。

カンワル・レキさんは、
自分は「起業家はヒーロー」と信じて
これまで努力を続けてきたので、
この結果は少し残念に思ったかも知れません。
続いて、「それでは、起業家はアンチヒーロー、
つまり悪者だ、というイメージを持っている人、
手を挙げてください。」と求めると、
一人の女学生が手を挙げてくれました。
挙手したのは彼女一人です。
私は、これもまた勇気のある、つまり、
起業家精神に富んだ行動だと考えるわけですが、、、。

私が尋ねる前に、レキさんが口火を切りました。
「どうして、あなたにとって、起業家はヒーローではなくて、
アンチヒーローなのですか?」と、レキさんは
挙手した女学生に直接尋ねました。
彼女の回答は、「私にとっては、起業して
成功することなんて、大事なことじゃない。
大事なことは、イノベーションを起こすだとか、
何か新しいものを発明するだとか、新しいことを始めて、
社会を変えることの方が大切なのです。ただ単純に
起業し成功しただけなんて認めたくない。」というものでした。
その発言から、レキさんの気持ちのギアが
ローからいきなりトップギアに
三段跳びぐらいでぎゅっと上がり、
「君の考えはそうなのか。私は起業し成功して、
インドの経済に貢献している。私が卒業した
インド工科大学とアメリカの大学に
300万ドル(3億円)ずつ寄付し研究と教育を
支援している。これでも、社会に貢献していないのか
とあなたは考えるのですか。大体にして、
政府というのは色々な雇用創造政策を打ち出しているが、
上手くいった試しがない。私一人でスタートした会社は、
今では数千人人規模の雇用を創造しています。
それでも、社会に貢献していないと言うのですか?
成功して初めて出来ることもたくさんある。
真に社会に貢献するためには成功することこそ
早道かも知れない。それでも、あなたは、
起業家はヒーローじゃないと考えるのか?」
と真剣に女子学生に語りかけ始めました。

後で聞いた話ですが、2年ほど前に、
東京の有名大学で、レキさんが講演に行った時、
200人以上入る大きな会場に50人程度の
学生しか集まらなかったそうです。
しかも、その大学は、日本の中では起業などに
大変関心が高い大学と評価されている大学で、
人数もともかくセミナー自体もなかなか煮え切らずに、
レキさんは「日本の学生の起業意識なんてこんなもの」
と感じてしたようで、この1月にTiEの日本支部がに出来ても、
日本人の起業家精神に危惧を抱いていたようです。
しかし、九州大学で勇気を持って
自分に率直に意見を述べた女子学生を見出し、
ここから、レキさんの起業家魂に火が点り、
急激にレキさんのテンションが上がりました。


■起業後の成功確率は10倍になる?

レキさんは、今度は学生全員と向き合って語り始めます。
「実は、日本人でも、インド人でも、
起業する人の割合は変わらないんだ」と切り出しました。
「所詮は、1%程度の人だけが、このように
起業をして社会を変えようと考える人で、
残りの99%は安定した社会を維持し、
社会を円滑に動かそう考える人。
でも、両方のタイプとも重要なのです。」
「変えようとする人がいなければ
いつまでも社会は進歩しない。
しかし、誰からが維持しようと考えないと社会が安定して
安心して生活できるようにはならないからね。」
言葉を続けて、「起業して成功する確率は
本当に低いので失敗は覚悟する必要がある。
ただ、もしも、君が起業するとするでしょ。
そしたら、起業しただけで、成功確率は
10倍に上がるよ。なぜなら、99%の人は
起業しないから。チャレンジしないということは
彼らはライバルにはなりえない。
だから起業した1%人だけがライバルになるのだ。
そこでの競争を戦えば良いのだから、
起業したらすぐに成功確率は上がるのだ。
君たちは成功確率が10倍上がるとしたら、
それでも起業しないのですか?」
成功確率を100分の1と考えるのか、
10倍と考えるのかで、起業に対する
意識の持ち方一つで随分と見えてくる景色も
変わってくるようですね。

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分野: 五十嵐伸吾准教授 |スピーカー:

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