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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > モジュール化と水平分業(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

モジュール化と水平分業(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

09/03/17

今回はモジュール化と水平分業についてお話します。
「水平分業」とは簡単に言うならば、
これまで1つの企業内部で行われていた業務、業務活動を
それぞれ専門化し、独立した市場の方に分離していくこと
と言われています。前回お話した「垂直統合」は、
企業内で全部やってしまうということですから、全く逆の動きになります。

■モジュール化

まず、モジュール化について具体的な事例を挙げてお話しします。
モジュール化の事例としてよく挙げられているのは、パソコン産業です。
IBMは、1980年代に、パソコンの資料を公開し、
規格に合ったモジュールであれば、
内部はブラックボックスであっても構わないという研究開発体制をとりました。
この理由は、当時のIBMがPC市場の出遅れを取り戻すために、
自社のPCをオープンアーキテクチャーとするように、
意思決定を行ったからです。
これは、ソフトとハードの結び付きの部分を除いて、
全て他社に依存するという方法のことです。
例えば、PCの心臓部分であるチップでは
インテルの規格品を使い、PCを動かす必要なソフトも
マイクロソフトから調達し、これによって研究開発体制を行いました。
この結果、研究開発の期間が短縮され、
PC市場における出遅れを取り戻すことができました。
しかしその反面、全世界に無数に部品メーカーが誕生し、
PCメーカーは、安いモジュールを世界から調達し、
それを組み立てるというビジネスモデルの方に特化するようになりました。
これは従来の統合型企業内、
要するに内部で行われてきた研究開発体制と全く異なるパラダイムとなることで、
こうしたパラダイムの変化によって、
従来の大企業はなかなか対応できず、
IBMも結局PC産業から撤退せざるを得なくなりました。

■水平分業

水平分業が近代の企業経営の仕方として、
メインストリームのように感じられますが、
これは産業によって異なります。1つの例としては、
PCそうですが、最近のバイオもそれにあたります。
これは例えば、製造する企業と、開発する企業が
それぞれ独立した市場に特化して、全く関係ないというか、
関係ないように、業務活動行っているということです。
更に、もう1つよく取り上げられるのが半導体産業です。
なぜこういうことが起こったかというと、
実は、設計専用技術と製造技術がかなり普及したことによって、
半導体産業として「ファブレス」と「ファウンドリ」という
新しい形態が誕生しました。1950年代から1970年代にかけて、
製造と生産現場における非常に緊密な相互作用が必要でした。
そういう時代だったので、当時の半導体製造に従事した企業、
例えば、テレビ企業や軍事関連産業、テレコミュニケーションの大企業等の
統合型企業の方が非常に優位でした。
しかし、1980年代になると、工程の自動化が進み、
更に特定の技術は、装置機械、半導体製造機械の方に
具現化されるようになりました。極端に言えば、
要するに技術持たなくても機械を買えば製造できるということです。
当然、やはり、製造に必要な設備投資が、巨額になり、
高い稼働率が求められるようになるわけです。
そういうことになって、やっぱり規模の経済が求められますので、
それまで同じ企業内で行われてきた設計と製造は、
やっぱり分離されまして、外注先としては、
ファウンドリ企業が誕生しました。
これに対して、製造設備は持たないけれども、
設計だけを行うファブレス企業も誕生しました。

こうした「水平分業」が進展することによって、
結果的にはそれまでの大企業の方が大きな挑戦を迎えています。
先ほど申し上げましたように、1950年代というのは、
主に統合型企業の方が優位でした。
しかし、最近では、例えば、ICチップとかLSIの時代になりまして、
新規参入企業の方が多数増えてきました。
現在の半導体販売の世界ランキングを見ると、
上位にランクされている企業は設計のみを行っている
ファブレス企業が多いです。例えば、
2005年のアメリカの半導体企業のデータをみると、
販売上位の35社中24社というのが、
1970年代以降に誕生した比較的非常に若い企業です。
例えばザイリンクスという1984年に誕生した企業ですが、
現在PLDというチップのディバイスの分野において、
世界全体の60%のマーケットシェアを持っています。
さらに生産能力を見ると、
台湾のファンドレ企業の方が非常に注目されており、
全世界のランクトップ10の中に、4つがランクされています。
よって、アジアにおいて製造機能が最も進んでいるところはどこですか、
という話になると、台湾だということになります。

■垂直統合と水平統合の今後の流れ

基本的には、なぜ水平分業が起こっているかということに関しまして、
1つは「技術のモジュール化」が挙げられています。
半導体産業のみに限っていうならば、
例えば、日本企業は、1980年代において、
DRAMメモリの分野において、世界トップでした。
しかし、その後、「水平分業」の流れに伴って、
韓国のサムソンや台湾のファウンドリ等の
新しい企業はどんどん進出してきて、
日本企業はDRAM分野から撤退せざるを得ない
というような事情もありました。最近では、
ロジックチップの分野に力を入れるという
戦略転換が図られていましたが、
なかなかマーケットシェアをとっていないというのが現状です。
一方アメリカの企業としては、ほんとに特化した分野にしかフォーカスしておらず、
日本企業のように何でもかんでも持っている、
いわばエレクトロニクス産業のような構造ではなくて、
非常に専門化された企業の方がどんどん出てきているのが現状です。
今後、日本、アメリカ、あるいはアジアという、
3つの地域によって行われる半導体産業、
あるいは「垂直統合」から「水平分業」の方に変わっていくパターンも
異なるのではないかと思われます。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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