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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ホームレス問題(2)(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

ホームレス問題(2)(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

09/03/10

昨日は社会問題としてますます深刻さを
増しているホームレス問題について、
特に福岡市の状況についてお話しました。
昨年の1月の時点で、日本で3番目に多く、
782人であった福岡市のホームレス人口が、
この経済情勢を受けておそらく間もなく集計される
今年の厚生労働省の調査では、
増加していることになるかと思います。
数字の上だけではなく、例えば2011年の開業に向けて
建設の進む博多駅では、終電から始発までの時間を
利用して行われる工事で、重機が駅構内を行きかう中で、
ホームレスの人たちが夜を過ごすという
大変に危険な状況になっています。
そのような中で、今後どのような対策が考えられるのでしょうか。


■福岡市の対策

従来の福祉政策では、毎年140名くらいが
ホームレスの状態から、様々な形で自立をしましたが、
一方でほぼ同数の新たなひとたちが加わることになりました。
2007年の福岡市の784名が、
一年後の2008年に782名になっているのは、
単に2名減ったということではなく、
大きく140人程度が入れ替わって、
総数ではほとんど変動していないということになります。

そこで福岡市では、昨年8月に
「福岡市ホームレス自立支援推進協議会」を発足し、
ホームレスの自立に向けた抜本的な改革について
協議することになりました。
福岡市内の企業や団体、商店会や自治会などの地縁団体、
従来から活動を行ってきた市民団体、地元医師会・
歯科医師会・弁護士会と福岡市の関係部署などの
23人の委員から構成されています。
昨年11月までに7回の協議会と9回の専門部会を
経て出された結果は、個人の状況に応じた
自立支援体制を作るということです。


■自立のプロセス

調査の過程で分かってきたことは、
ホームレスの人たちのおかれた状況も
自立に向かうプロセスも、さまざまということです。
たとえば、仕事があればすぐにでも就職したい
という就労自立を望むひとたちがいます。
2番目に、本来健康状態や年齢から、
むしろ生活保護を受けて、路上生活から脱却すべき
と考えられる人たちも少なからずいます。
そうして最後に、空き缶などを集めながら
日々なんとか生活していて、あえて就職を
望まないという人たちの存在もあります。

そう考えると、自立へのプロセスは、
一つではないということです。
職を得て自立を図る「就労自立」は、
おおきく4つのグループのひとつです。
次に、高齢者や健康状態によっては
「生活保護」などによる自立も、
選択肢のひとつになります。
3つめが、病気やけがや高齢により、
「病院や施設への入所が必要」というケースです。
そして最後の4番目が、働くことによって
得られる収入と生活保護を合わせて自立する
「半就労・半自立」という形態です。
このような4つ位のバリエーションが大きく考えられました。


■解決の2本柱

協議会では、路上生活の状態にある人たちに対して、
相談→自立準備→自立→完全自立の4段階を想定しながら、
トータルな支援体制を提案しました。
具体的には、専門家のチームが出かけて行って、
それぞれの個人の状況を把握し、
先ほどお話しした4つの自立のプロセスの中で、
最適な方法を提示するということです。
従来は本人からの相談を待っていたことからすれば、
積極的にアプローチし、積極的かつ総合的に
サポートする体制を整えるということです。

二つの柱のひとつが今お話しした
相談事業だとすれば、もうひとつの柱は、
自立支援センターの設置です。
緊急一時保護の機能や就労支援や
生活相談の機能を持ち、自立に向けた準備をする
サポート・センターといえます。
この自立支援センターについては、
一大拠点を設置する集中型と小規模な施設を
市内の複数地域に設置する分散型の
ふたつの方策を提案しています。
協議会の提案は、毎年300人のホームレスの
自立を促すという非常にチャレンジングな内容であり、
うまくいけば毎年の増加分を除けば、
現在の782名が150人ずつ減少することになります。

この協議会の提案を受けて、福岡市ではどのように
施策に取り込まれるかはわかりませんし、
また自立支援センターを設置する際には、
地元の住民のみなさんの了解を得ることが不可欠です。
ハードルは高いかと思いますが、
ホームレス問題が社会問題化する中で、
福岡が本当にすみやすい町であるためには、
わたしたち市民のひとりひとりの理解と協力が
必要なのではないかと思います。


■ビッグイシューという取り組み

最後に、ホームレスの自立を応援する
とても小さいけれど世界的な活動について、
お話をしたいと思います。
天神や博多駅で、ビッグイシューという雑誌を
販売する人を見かけたことはありませんか。
ビッグイシューは、1991年に英国で発行され、
日本では2003年に
「ホームレスに仕事を提供し自立を応援する」
ことを目標に、大阪で創刊されました。
若い人たちの関心事や社会的な問題を
先鋭的に取り上げる毎月1日と15日の2回発行の
日本初のストリート・マガジンです。
福岡では、一昨年の5月に、京阪神・首都圏など
10都府県に続いて、販売が開始されました。
現在は全国14都市で販売されています。
ビッグイシューHP
http://www.bigissue.jp/

雑誌を販売するのは、現在ホームレスか、
自分の住まいを持たない人たちです。
1冊300円の雑誌を売れば、そのうちの160円が
販売員の収入になるというしくみです。
最初の10冊は無料で提供し、
その売り上げ3,000円を元手に、
以後は140円で仕入れ300円で販売することにより、
160円が本人の収入です。
雑誌を販売することで、自分のお金で食事をし、
インターネットカフェや旅館で眠ることができます。
毎日少しずつでも貯金をして、
アパートを借りることができれば、
自分の住所を持って就職活動をすることができます。

福岡では一年半で、2人が販売員を卒業して、
現在自立しています。
ちいさなモデルではありますが、
ホームレスの人たちが、自分自身の力で
自立する間には、たくさんの方々の応援があります。
雑誌を街頭で購入される方、
話をして励ましの言葉をかける方、
具体的に仕事を紹介していただく方も見られました。

二日間にわたってホームレス問題を取り上げてきましたが、
わたしたちの住む街で起きている大きな出来事として、
考えていかなくてはいけないのだと思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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